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3.夜の出会い
5.悪役令嬢と夜の王子
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アレン様は険しい顔つきで剣を抜き、私に突き付けた。
「答えろ。お前は誰だ」
やばいっ、めちゃめちゃ怒ってる!!
「ぼ、僕はキースと申します。今日、田舎から出てきたんですけど、道に迷ってしまって…」
「ほう、道に迷っていただけの者が衛兵の真似事か?」
さらに剣を突きつけられ、喉元に触れた。
令嬢の私にはありえないシュチュエーションで、恐怖の高揚感で変にドキドキしてしまう。
ここをどう切り抜けるかが私の腕の見せ所ね。
私は一歩身を引き、人生で初めての土下座した。
「も、も、も、申し訳ございませんっ!田舎から出てきたのは本当ですっ。でも実は、貴族様の従者になりたくて…。手土産に手柄を立てたくて、怪しい連中を探して捕まえてやろうと思っていましたっ」
どうよ、いかにも人畜無害なヘタレモブだから関わる必要ないですよ作戦っ!
アレン様はきっと呆れて相手にせず、すぐこの場を立ち去るはずよ。
私がそう思いながら、少し顔を上げアレン様を見上げた瞬間ー…。
ドスッー…。
両手をついていた間にアレン様の剣が突き刺さった。
「はっ…、浅はかな考えだな」
アレン様は冷ややかな目で私を見下した。
ひーっ!!怖っ!!
あまりにも冷たすぎる目線と私の手から1ミリ離れた場所に突き刺さった剣先を見て、私は流石にまずいと思った。
もしかしたら私、婚約者に殺されるのかしら。
「申し訳ございません」
とりあえずもう一度頭を下げるとアレン様は「ふんっ」と鼻で笑い、剣を抜き鞘に収めた。
「で、何か情報は得たのか?」
そう言ったアレン様の声からは殺気が消えていた。
もしかしてヘタレモブ作戦成功かしら?
「え?…ああ…、ベリー王国の刺客が何人か入国しているようです。狙いは光魔導士候補のメアリー・ブライトニー。刺客のボスらしき『ライアン』という男がすでにエレメリア学園の学生寮に潜入しているようです」
私はとりあえず得た情報はすべてアレン様に伝えた。きっとそれだけ伝えればアレン様がメアリーを守ってくれるはずだから。
「ほう、田舎から出てきたばかりの割には有能じゃないか。…しかしお前の話、どこまで信じられる?」
アレン様は冷たい目で私を見下ろしている。
うーん、意外とアレン様は疑り深くてしつこい性格なのね。ちょっとめんどくなってきたわ。
私は少し呆れてため息をついた。
「はあー、じゃあ僕の話なんか信じなくていいですよ。それよりここで伸びてる刺客を吊し上げて自白させればいいじゃないですか。もっと詳しい情報を持っているはずですよ」
私が刺客を指差すと、伸びていたはずの3人の意識が戻り始め「くそ…頭がクラクラするぜ…」とブツブツ言いながら剣を持って立ち上がった。
「あ、ちょうど目も覚めたようですね。さあ、王子自慢の剣を思いっきり振ってみてはいかがですか?」
私は腕を組み挑発するようにアレン様を見た。
そもそもアラン様が邪魔しなければ、とっくにこいつらを捕まえられていたのに。
「ふん、こんな雑魚供に思いっきり振る必要もないな」
アレン様がそう言った瞬間、あっという間に3人組の方へ移動し、骨が折れるような鈍い音と共に刺客がバタバタと倒れた。
倒れた刺客は白目を剥いて泡を吹き、全く動かなくなった。
「えっ!?殺しちゃったんですか!?」
「峰打ちだ。まあ、当分目を覚さないだろうがな。お前もやるなら徹底的にやれ。中途半端な腕じゃどこにも雇われないぞ」
相変わらず冷たい目をしたアレン様は、私に不適な笑みを向けた。
うわ…、怖すぎる。
もうここから立ち去りたい。
「あははー、みたいですね。田舎に戻って出直します!では!!」
私はその場から全力で逃げた。
「答えろ。お前は誰だ」
やばいっ、めちゃめちゃ怒ってる!!
「ぼ、僕はキースと申します。今日、田舎から出てきたんですけど、道に迷ってしまって…」
「ほう、道に迷っていただけの者が衛兵の真似事か?」
さらに剣を突きつけられ、喉元に触れた。
令嬢の私にはありえないシュチュエーションで、恐怖の高揚感で変にドキドキしてしまう。
ここをどう切り抜けるかが私の腕の見せ所ね。
私は一歩身を引き、人生で初めての土下座した。
「も、も、も、申し訳ございませんっ!田舎から出てきたのは本当ですっ。でも実は、貴族様の従者になりたくて…。手土産に手柄を立てたくて、怪しい連中を探して捕まえてやろうと思っていましたっ」
どうよ、いかにも人畜無害なヘタレモブだから関わる必要ないですよ作戦っ!
アレン様はきっと呆れて相手にせず、すぐこの場を立ち去るはずよ。
私がそう思いながら、少し顔を上げアレン様を見上げた瞬間ー…。
ドスッー…。
両手をついていた間にアレン様の剣が突き刺さった。
「はっ…、浅はかな考えだな」
アレン様は冷ややかな目で私を見下した。
ひーっ!!怖っ!!
あまりにも冷たすぎる目線と私の手から1ミリ離れた場所に突き刺さった剣先を見て、私は流石にまずいと思った。
もしかしたら私、婚約者に殺されるのかしら。
「申し訳ございません」
とりあえずもう一度頭を下げるとアレン様は「ふんっ」と鼻で笑い、剣を抜き鞘に収めた。
「で、何か情報は得たのか?」
そう言ったアレン様の声からは殺気が消えていた。
もしかしてヘタレモブ作戦成功かしら?
「え?…ああ…、ベリー王国の刺客が何人か入国しているようです。狙いは光魔導士候補のメアリー・ブライトニー。刺客のボスらしき『ライアン』という男がすでにエレメリア学園の学生寮に潜入しているようです」
私はとりあえず得た情報はすべてアレン様に伝えた。きっとそれだけ伝えればアレン様がメアリーを守ってくれるはずだから。
「ほう、田舎から出てきたばかりの割には有能じゃないか。…しかしお前の話、どこまで信じられる?」
アレン様は冷たい目で私を見下ろしている。
うーん、意外とアレン様は疑り深くてしつこい性格なのね。ちょっとめんどくなってきたわ。
私は少し呆れてため息をついた。
「はあー、じゃあ僕の話なんか信じなくていいですよ。それよりここで伸びてる刺客を吊し上げて自白させればいいじゃないですか。もっと詳しい情報を持っているはずですよ」
私が刺客を指差すと、伸びていたはずの3人の意識が戻り始め「くそ…頭がクラクラするぜ…」とブツブツ言いながら剣を持って立ち上がった。
「あ、ちょうど目も覚めたようですね。さあ、王子自慢の剣を思いっきり振ってみてはいかがですか?」
私は腕を組み挑発するようにアレン様を見た。
そもそもアラン様が邪魔しなければ、とっくにこいつらを捕まえられていたのに。
「ふん、こんな雑魚供に思いっきり振る必要もないな」
アレン様がそう言った瞬間、あっという間に3人組の方へ移動し、骨が折れるような鈍い音と共に刺客がバタバタと倒れた。
倒れた刺客は白目を剥いて泡を吹き、全く動かなくなった。
「えっ!?殺しちゃったんですか!?」
「峰打ちだ。まあ、当分目を覚さないだろうがな。お前もやるなら徹底的にやれ。中途半端な腕じゃどこにも雇われないぞ」
相変わらず冷たい目をしたアレン様は、私に不適な笑みを向けた。
うわ…、怖すぎる。
もうここから立ち去りたい。
「あははー、みたいですね。田舎に戻って出直します!では!!」
私はその場から全力で逃げた。
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