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3.夜の出会い
1.悪役令嬢は動き出す
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「おかえりなさいませ、キーナ様。随分早いお帰りですね~。」
私は能天気に出迎えたジルを睨み付けた。
「…ジル、私、今機嫌が悪いの。しばらくほっといてくれる?」
まあ、本当は機嫌が悪いんじゃなくて、落ち込んでるだけなんだけど…。
今、ジルの毒舌を聞いていたら本当にキレそうな気がするので、私は彼を牽制した。
「みたいですね。じゃあ機嫌が直ったら教えてください。キーナ様が捕まえたひったくりの調査結果を報告いたしますので。」
ジルはにっこり笑った。
うう、やっぱりジルは仕事が早い。
きっと大通りを歩いた私たちを遠くから警護し、ひったくり犯の素性も独自のルートから情報を集めたのだろう。しかもこんな短時間で。
「はぁー、あなた本当ムカつくけど優秀な従者だわ。すぐに部屋で話を聞くわ。」
ジルは「恐れ入ります。」と笑顔のまま答えた。
「なるほどね。やっぱりベリー王国の刺客がすでに入国しているのね。」
「はい。しかも結構な人数だと思います。一応アレン王子もメアリー様周辺の警護を強化したみたいですけど、いつメアリー様が誘拐されてもおかしくない状況ではありますね。」
「…うーん。」
私は天井を見上げて考えた。
アレンはきっとそのせいで忙しいのだろう。
夏祭りは他国からも注目されているフィルコートの大イベントだ。
その最中で国際問題なんか起こせば、国の信用に関わってくる。
できれば穏便に解決したいはずだ。
「ベリー王国の刺客、私が全員捕まえようかしら。」
「ダメです。」
私の提案をジルは素早く否定する。
「結構腕には自信があるのよ。」
「初級魔法しか使えないじゃないですか。無理です。」
「魔法は半人前でも剣の腕はそれなりよ?」
「温室育ちの令嬢が趣味程度に身につけた剣の腕、がそれなりです。実戦には使えません。」
「私の得意分野は魔法薬よ。使い方次第で国家魔導士より役に立つわ。」
「…しかし…。」
お、ジルが言い淀んだ。ってことは、あと一押しね。
「ベリー王国はハンドリー公爵家の最大の貿易国よ?穏便に済ませるのは我が家にとっても重要な事でしょ。」
「…まあ、そうですが…。」
「だいたい貴方がこの情報を私に伝えようとした時点で、こうなる事は分かってたでしょ?」
私はジルの真似をして、にっこり笑ってみせた。
ジルは嫌そうな顔をして、ため息をついた。
「まあ、…はい。それでもアレン王子の婚約者として賢明なご判断をされると思ってました。」
「5ヶ月後には破棄されるのよ。だったらもう婚約者の仮面を被る必要はないわ。」
私はアレンからもらった髪飾りにそっと触れた。
髪飾りのお礼にアレン様の仕事を手伝ってあげようじゃない。
私は出かける準備を始めた。
私は能天気に出迎えたジルを睨み付けた。
「…ジル、私、今機嫌が悪いの。しばらくほっといてくれる?」
まあ、本当は機嫌が悪いんじゃなくて、落ち込んでるだけなんだけど…。
今、ジルの毒舌を聞いていたら本当にキレそうな気がするので、私は彼を牽制した。
「みたいですね。じゃあ機嫌が直ったら教えてください。キーナ様が捕まえたひったくりの調査結果を報告いたしますので。」
ジルはにっこり笑った。
うう、やっぱりジルは仕事が早い。
きっと大通りを歩いた私たちを遠くから警護し、ひったくり犯の素性も独自のルートから情報を集めたのだろう。しかもこんな短時間で。
「はぁー、あなた本当ムカつくけど優秀な従者だわ。すぐに部屋で話を聞くわ。」
ジルは「恐れ入ります。」と笑顔のまま答えた。
「なるほどね。やっぱりベリー王国の刺客がすでに入国しているのね。」
「はい。しかも結構な人数だと思います。一応アレン王子もメアリー様周辺の警護を強化したみたいですけど、いつメアリー様が誘拐されてもおかしくない状況ではありますね。」
「…うーん。」
私は天井を見上げて考えた。
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できれば穏便に解決したいはずだ。
「ベリー王国の刺客、私が全員捕まえようかしら。」
「ダメです。」
私の提案をジルは素早く否定する。
「結構腕には自信があるのよ。」
「初級魔法しか使えないじゃないですか。無理です。」
「魔法は半人前でも剣の腕はそれなりよ?」
「温室育ちの令嬢が趣味程度に身につけた剣の腕、がそれなりです。実戦には使えません。」
「私の得意分野は魔法薬よ。使い方次第で国家魔導士より役に立つわ。」
「…しかし…。」
お、ジルが言い淀んだ。ってことは、あと一押しね。
「ベリー王国はハンドリー公爵家の最大の貿易国よ?穏便に済ませるのは我が家にとっても重要な事でしょ。」
「…まあ、そうですが…。」
「だいたい貴方がこの情報を私に伝えようとした時点で、こうなる事は分かってたでしょ?」
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ジルは嫌そうな顔をして、ため息をついた。
「まあ、…はい。それでもアレン王子の婚約者として賢明なご判断をされると思ってました。」
「5ヶ月後には破棄されるのよ。だったらもう婚約者の仮面を被る必要はないわ。」
私はアレンからもらった髪飾りにそっと触れた。
髪飾りのお礼にアレン様の仕事を手伝ってあげようじゃない。
私は出かける準備を始めた。
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