120 / 135
119.未来
しおりを挟む
「ごめん、聞こえてた?」
「少しね。でも俺はいいと思う。」
「え?」
「子供。出来るか分からないけど、そういう未来も楽しいかなって思ってる。それに相手が竜人なら同性同士でも絶対出来ないわけじゃないんだろ?」
グレイの意外な気持ちにルイは固まる。
いつかその話はしないといけないと思っていたが、まさかグレイから言われるとは思わなかった。
「グレイ、お前知っていたのか?」
「うん、結婚する時にクラウド公爵家に挨拶しに行っただろ?その時にリンセントからやり方を聞いた。もちろん、俺から聞いたんだ。だからリンセントを責めるなよ?」
ルイは胸が苦しくなり、笑って話すグレイを強く抱きしめた。
ああ、なんて自分は不甲斐ないんだろう。
当時のグレイがどんな気持ちでリンセントにその話をしたのか想像するだけで泣けてくる。
相当勇気がいるだろうし恥ずかしかっただろうし心配だったはずだ。
グレイに変なプレッシャーを与えたくないと思うあまり、その話題には触れてこなかった。
「…ごめん、グレイ。まず最初に私が話すべきだった。お前に負担をかけたくなかったのに、逆に気を遣わせて辛い思いをさせてしまった。」
「えっ、ルイ、泣いてるのか?ははっ、そんな気にすることないのにー。リンセントは子供がいるから聞いてみただけだよ。辛い思いなんてしてないよ。
なあ、ルイ。お前はどうしたい?俺はもう覚悟は出来ているよ。」
グレイはルイの背中をポンポンと優しく叩いた。
「私にはグレイが必要だ。グレイがいなくちゃもう生きてはいけない。だから子供を作るリスクを考えると正直怖い。でもグレイとの子供がいたら楽しいだろうなと考えてしまう時もあるんだ。」
「俺の体は丈夫だから怖がる必要なんてないぞ。それにもし危なくなったらルイが治癒魔法で助けてくれるだろ?」
グレイは自分の体を1番に心配してくれるルイに愛しさを感じながら、昔、リンセントから聞いた話を思い出す。
竜人は同性同士でも子供を作る方法がある。
互いの魔力を球状にして力を注ぎ込み、それをどちらかの体内へ埋め込むと、その体は母体に適した作りに変わっていく。母体は約1ヶ月の発情期になり、その期間中に2人の魔力と愛情を注ぎ込み続けるとやがて球に命が宿るのだ。ただその方法は成功例も少なく、母体となる体には相当な負担がかかる。
また竜人の体は母体化する可能性が極めて低いため、人間か魔族が母体となることが多いらしい。
「助けるよ、絶対助ける。でも母体は私の体を使おう。グレイに無理はさせたくない。グレイの気持ちと体が最優先だ。」
「うん、ありがとう。でも母体は俺の体でいいよ。少しでも可能性が高い方がいい。それに言っただろ?覚悟は出来てるって。だから任せとけって。」
「ふふ、グレイは男前だな。」
辛そうにしていたルイの表情にやっと笑みが戻ってきた。
「だろ?惚れ直した?」
グレイが冗談ぽく言えば、引き寄せられてキスされた。
「惚れ直さない。これ以上無いってくらいずっとお前に惚れてるんだから。」
「少しね。でも俺はいいと思う。」
「え?」
「子供。出来るか分からないけど、そういう未来も楽しいかなって思ってる。それに相手が竜人なら同性同士でも絶対出来ないわけじゃないんだろ?」
グレイの意外な気持ちにルイは固まる。
いつかその話はしないといけないと思っていたが、まさかグレイから言われるとは思わなかった。
「グレイ、お前知っていたのか?」
「うん、結婚する時にクラウド公爵家に挨拶しに行っただろ?その時にリンセントからやり方を聞いた。もちろん、俺から聞いたんだ。だからリンセントを責めるなよ?」
ルイは胸が苦しくなり、笑って話すグレイを強く抱きしめた。
ああ、なんて自分は不甲斐ないんだろう。
当時のグレイがどんな気持ちでリンセントにその話をしたのか想像するだけで泣けてくる。
相当勇気がいるだろうし恥ずかしかっただろうし心配だったはずだ。
グレイに変なプレッシャーを与えたくないと思うあまり、その話題には触れてこなかった。
「…ごめん、グレイ。まず最初に私が話すべきだった。お前に負担をかけたくなかったのに、逆に気を遣わせて辛い思いをさせてしまった。」
「えっ、ルイ、泣いてるのか?ははっ、そんな気にすることないのにー。リンセントは子供がいるから聞いてみただけだよ。辛い思いなんてしてないよ。
なあ、ルイ。お前はどうしたい?俺はもう覚悟は出来ているよ。」
グレイはルイの背中をポンポンと優しく叩いた。
「私にはグレイが必要だ。グレイがいなくちゃもう生きてはいけない。だから子供を作るリスクを考えると正直怖い。でもグレイとの子供がいたら楽しいだろうなと考えてしまう時もあるんだ。」
「俺の体は丈夫だから怖がる必要なんてないぞ。それにもし危なくなったらルイが治癒魔法で助けてくれるだろ?」
グレイは自分の体を1番に心配してくれるルイに愛しさを感じながら、昔、リンセントから聞いた話を思い出す。
竜人は同性同士でも子供を作る方法がある。
互いの魔力を球状にして力を注ぎ込み、それをどちらかの体内へ埋め込むと、その体は母体に適した作りに変わっていく。母体は約1ヶ月の発情期になり、その期間中に2人の魔力と愛情を注ぎ込み続けるとやがて球に命が宿るのだ。ただその方法は成功例も少なく、母体となる体には相当な負担がかかる。
また竜人の体は母体化する可能性が極めて低いため、人間か魔族が母体となることが多いらしい。
「助けるよ、絶対助ける。でも母体は私の体を使おう。グレイに無理はさせたくない。グレイの気持ちと体が最優先だ。」
「うん、ありがとう。でも母体は俺の体でいいよ。少しでも可能性が高い方がいい。それに言っただろ?覚悟は出来てるって。だから任せとけって。」
「ふふ、グレイは男前だな。」
辛そうにしていたルイの表情にやっと笑みが戻ってきた。
「だろ?惚れ直した?」
グレイが冗談ぽく言えば、引き寄せられてキスされた。
「惚れ直さない。これ以上無いってくらいずっとお前に惚れてるんだから。」
3
お気に入りに追加
640
あなたにおすすめの小説
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる
彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。
国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。
王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。
(誤字脱字報告は不要)
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる