純粋で一途な命の恩人を50年放置してたらグレた。

そら。

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118.父の想い

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食後のコーヒーを飲みながら3人で話をしていると、ディアルドは長いため息をつきルイを見た。
その仕草は、話しにくい事を話し始める前にするディアルドの癖だった。

ルイはすぐにその仕草に気付き、眉を顰めてディアルドの目を見る。案の定、ディアルドはゆっくり話し出した。

「お前たちはもう大人だ。お前たちの生活に口を挟むつもりはない。ただ、これだけは言わせてくれ。私には自慢の息子が3人いる。私にとって何ものにも代え難い宝物だ。お前たちがいなければ私の人生はひどくつまらないものだったよ。」

今までディアルドからそんなことを言われた事がないルイとリンセントは反応に困りお互いの顔を見合わせた。

「だから…子供がいるのは幸せだぞ。」

その一言で父が何を言いたいのかはこれ以上聞かなくても分かった。それにその事はルイ自身も密かに願ってしまう夢だった。
ただそれは簡単なことではない。

「…分かってます。でもグレイには決してそういった事は言わないでくださいね。」

ルイは念のため、釘を刺した。

「当たり前だ。あの子には嫌われたくないからな。」

ディアルドは少しムッとしてコーヒーを飲んだ。

「まあまあ、2人とも。重苦しい話題はここまでにしましょう。そろそろ休み時間も終わりますしね。」

リンセントはそう言ってコーヒーを飲み干した。



その日の夜遅くにルイが帰宅するとグレイが出迎えてくれた。
いつものグレイなら既に寝ている時間だが、次の日が休みの日はこうして起きて待っていてくれる。

「おかえり、ルイ。相変わらず仕事が忙しそうだな。」

「ああ、でももう少しで区切りが付く。そうしたらお前といる時間を目一杯取るつもりだ。」

「ははっ、俺の事は気にしなくていいから無理はするなよ。」

「私がグレイとの時間を沢山作りたいんだ。その為なら無理したって仕事を終わらせる。」

「なんだよ、それ。まあ、悪い気はしないな。腹は減ってない?」

「ああ、大丈夫だ。それよりもう風呂は入ったのか?明日は休みなんだろ?」

ルイは期待してグレイを見つめる。

「…まだだけど。」

グレイは少し恥ずかしそうに目をそらす。
結婚して1年経つのに、この初々しい反応がたまらない。

「じゃあ一緒に入ってくれる?」

「…ん、いいけど。」

さすが私の伴侶だ。
グレイは必ず自分の期待に答えてくれる。
ルイはグレイを抱きしめた。


そして2人は風呂で愛し合いながら幸福な癒しの時間を過ごした。




風呂から上がり、グレイがベッドに横になるとルイは心配そうに水を持ってきた。

「大丈夫?のぼせてない?ほら、水飲んで。」

「…そんなに心配するならもう少し抑えろよ。」

グレイは少しルイを睨みながらコップを受け取った。
ルイは「ごめん。グレイが可愛すぎて。」と笑って、グレイの額にキスをした。
すると疲労感がスッと消えた。きっと治癒魔法をかけたのだろう。

グレイは水を飲み、ひと息ついてルイを見上げた。

「今日、ディアルドたちと真剣に話してなかった?」

「あー、そうだっけ?あんまり覚えてないな。」

「誤魔化すなよ。子供の話だろ?」

グレイに金色の瞳が「嘘をつくな」と訴えている。

ルイは余計な話をした父を恨みながらため息をついた。


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