101 / 135
100.幸せな朝
しおりを挟む
外から小鳥の鳴き声がする。
きっと今日もいい天気なんだろうな。
まだ眠いけど、そろそろ起きなきゃ…。
グレイは重い瞼をゆっくり開けた。
目の前にはグレイを抱きしめて眠っている裸のルイがいた。
初めて出会った頃は竜人貴族の象徴のような長い髪は、今は短くなりルイの目に少しかかっている。
グレイはそっと手を伸ばし髪をかきあげた。
長い睫毛に形が良く品のある鼻と口。
昨日、この口でいろんなところにキスをされたんだ。
「~~~っ!」
グレイは昨晩の出来事を思い出し、頭から湯気が出そうなくらい真っ赤になった。
夜が明けるまで愛し合っていたせいで、ひどく疲れたはずなのに心も体もすごく満たされている。
人生でこんなに幸せな朝を迎えられたことに感動すら覚える。
ルイがまだ寝ていることを確認したグレイはそっとルイに抱きついた。胸に耳を当てれば、ルイの鼓動が聞こえてくる。
ルイの右腕には大きな古傷が残っている。
それは魔王と戦った時の傷だった。
ルイは普段平気な顔をしているが、きっとまだ痛むはずだ。
俺にもっと魔力があれば完治させられたのかな…。
グレイはやるせない気持ちになりながら、ルイの古傷にそっと触れた。
するとルイの腕に力が入り、グレイはルイの胸の中にすっぽりと引き込まれた。
「…ん、おはよ。体は大丈夫?」
ルイはまだ眠そうな声でグレイに聞いた。
「…はよ。多分大丈夫…。」
「良かった。今日はゆっくり休むといい。
…あー、もう朝か。このままグレイと寝ていたいよ。離れたくない。」
ルイはグレイのおでこにキスをした。
「…甘えたこと言うな。今日も仕事に行くんだろ?準備しなくていいのか?」
「うん、準備するよ。でもその前に…。」
「んっ…!」
グレイに深く長いキスをした。
唇を離したルイはグレイを見つめ、優しく微笑む。
「グレイのおかげで人生で1番幸せな朝を迎えられた。心も体もすごく満たされてる気分だ。今日も愛してる。」
「ーっ!!」
相変わらず激甘なルイの言動に、グレイは言葉を失い真っ赤になる。
しかもグレイと同じ気持ちだった事が嬉しくて、また涙が出そうになる。
その様子を見たルイは更に目尻を下げて微笑んだ。
「ふふ、真っ赤だ。可愛い。」
「も、も、もういいからっ!早く仕事に行けよ!!」
そう言ってグレイはルイを突き飛ばした。
ー…あ、またやっちゃった。
またひどい態度をとってしまった。
それでもルイは嬉しそうだったが、グレイは相変わらず素直になれない自分にうんざりした。
ー…ちゃんと素直な気持ちを伝えなきゃ。
その後2人で朝食を食べ、ルイは出掛ける準備を終わらせた。
ベッドの中ではボサボサだった髪はきれいにセットされ、シワひとつないスーツを着こなしている。寝不足のくせに顔色は良く色気さえ漂う。
ー…きっとモテるんだろうな。
グレイの心にジワっと小さく不安が広がる。
「じゃあ、行ってくる。何かあればすぐに連絡してくれ。」
ルイが部屋から出ようとした時、グレイは勇気を出して腕を掴んだ。
「…。」
「グレイ、どうしたんだ?」
下を向くグレイが心配になったルイはしゃがんで顔を覗き込むとネクタイを引っ張られた。
ちゅ。
「無理しなくていいけど、早く帰ってこいよ。…俺だって離れたくないんだ。じゃ、いってらっしゃい。」
そう言ってグレイはすぐにドアを閉めてしまった。
不意打ちにキスとデレの攻撃を受けたルイは1人廊下で悶絶した。
きっと今日もいい天気なんだろうな。
まだ眠いけど、そろそろ起きなきゃ…。
グレイは重い瞼をゆっくり開けた。
目の前にはグレイを抱きしめて眠っている裸のルイがいた。
初めて出会った頃は竜人貴族の象徴のような長い髪は、今は短くなりルイの目に少しかかっている。
グレイはそっと手を伸ばし髪をかきあげた。
長い睫毛に形が良く品のある鼻と口。
昨日、この口でいろんなところにキスをされたんだ。
「~~~っ!」
グレイは昨晩の出来事を思い出し、頭から湯気が出そうなくらい真っ赤になった。
夜が明けるまで愛し合っていたせいで、ひどく疲れたはずなのに心も体もすごく満たされている。
人生でこんなに幸せな朝を迎えられたことに感動すら覚える。
ルイがまだ寝ていることを確認したグレイはそっとルイに抱きついた。胸に耳を当てれば、ルイの鼓動が聞こえてくる。
ルイの右腕には大きな古傷が残っている。
それは魔王と戦った時の傷だった。
ルイは普段平気な顔をしているが、きっとまだ痛むはずだ。
俺にもっと魔力があれば完治させられたのかな…。
グレイはやるせない気持ちになりながら、ルイの古傷にそっと触れた。
するとルイの腕に力が入り、グレイはルイの胸の中にすっぽりと引き込まれた。
「…ん、おはよ。体は大丈夫?」
ルイはまだ眠そうな声でグレイに聞いた。
「…はよ。多分大丈夫…。」
「良かった。今日はゆっくり休むといい。
…あー、もう朝か。このままグレイと寝ていたいよ。離れたくない。」
ルイはグレイのおでこにキスをした。
「…甘えたこと言うな。今日も仕事に行くんだろ?準備しなくていいのか?」
「うん、準備するよ。でもその前に…。」
「んっ…!」
グレイに深く長いキスをした。
唇を離したルイはグレイを見つめ、優しく微笑む。
「グレイのおかげで人生で1番幸せな朝を迎えられた。心も体もすごく満たされてる気分だ。今日も愛してる。」
「ーっ!!」
相変わらず激甘なルイの言動に、グレイは言葉を失い真っ赤になる。
しかもグレイと同じ気持ちだった事が嬉しくて、また涙が出そうになる。
その様子を見たルイは更に目尻を下げて微笑んだ。
「ふふ、真っ赤だ。可愛い。」
「も、も、もういいからっ!早く仕事に行けよ!!」
そう言ってグレイはルイを突き飛ばした。
ー…あ、またやっちゃった。
またひどい態度をとってしまった。
それでもルイは嬉しそうだったが、グレイは相変わらず素直になれない自分にうんざりした。
ー…ちゃんと素直な気持ちを伝えなきゃ。
その後2人で朝食を食べ、ルイは出掛ける準備を終わらせた。
ベッドの中ではボサボサだった髪はきれいにセットされ、シワひとつないスーツを着こなしている。寝不足のくせに顔色は良く色気さえ漂う。
ー…きっとモテるんだろうな。
グレイの心にジワっと小さく不安が広がる。
「じゃあ、行ってくる。何かあればすぐに連絡してくれ。」
ルイが部屋から出ようとした時、グレイは勇気を出して腕を掴んだ。
「…。」
「グレイ、どうしたんだ?」
下を向くグレイが心配になったルイはしゃがんで顔を覗き込むとネクタイを引っ張られた。
ちゅ。
「無理しなくていいけど、早く帰ってこいよ。…俺だって離れたくないんだ。じゃ、いってらっしゃい。」
そう言ってグレイはすぐにドアを閉めてしまった。
不意打ちにキスとデレの攻撃を受けたルイは1人廊下で悶絶した。
12
お気に入りに追加
640
あなたにおすすめの小説


Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜
天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。
彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。
しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。
幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。
運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる
彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。
国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。
王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。
(誤字脱字報告は不要)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる