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97.素直な気持ち
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グレイがバスルームから出ると、ルイがしょんぼりした様子でちゃんと外で待っていた。
「あ、グレイ…その、さっきは悪かった。配慮に欠けた言い方だった。反省している。」
「…別に、もういいよ。」
悪いのは一方的に怒った自分なのに、ルイに先に謝られるとばつが悪い気持ちになる。
グレイは逃げるようにベッドルームへ入ろうとした。
「グレイ、少し話がしたいんだが時間をもらえるか?」
「…うん。」
ルイの静かな声に嫌な予感がした。
もしかしたら、「もうお前には付き合いきれない」とか、「私が好きになったのは昔のお前で、今のお前じゃなかった」とか言われるのかもしれない。
ルイにソファに座るように促され、大人しく座って待っていると温かいミルクティーを用意してくれた。
「体が温まるようにハチミツと少しだけ生姜を入れたんだ。グレイの口に合うといいんだが。」
一口飲めば少しピリッとした生姜の風味と甘いハチミツとミルクティーが心まで温めてくれる。
「美味いよ。ありがとう。」
お礼を言えばルイは優しく微笑み、グレイの隣りに座った。微妙な距離感にグレイに緊張が走る。
「さっきは本当にすまなかった。グレイが私の元に帰ってきてくれた事と私の血を選んでくれた事に舞い上がって、自分の気持ちを押し付けた言い方をしてしまった。」
「…別に。俺の方こそ酷い態度だった。ごめん。」
「そんな事ないよ。正直、グレイが怒ってる姿も可愛いくて抱きしめたくなる。私はとことんお前に惚れてるよ。」
「なっ!な、何言ってんだよ!馬鹿っ!」
ルイの拍子抜けするくらい甘い言葉にグレイはまた怒ってしまう。
ああ、なんで俺はまたこんな言い方しちゃうんだろ。さっき反省したばかりなのに同じ事を繰り返してしまう。馬鹿は俺の方だ…。謝らなきゃ…。
「ごめん。私のこういう言い方が良くないんだよな。私の重過ぎる気持ちがグレイの負担になってるって分かっているのに。」
「え…。」
また先に謝られた。
今度は俺が先に謝りたかったのに…。
それにルイの気持ちは全然負担になっていない。むしろ死ぬほど嬉しいんだ。だって俺もルイが好きなんだから。
ドグライアスにいた頃はあんなに簡単に「好きだ」と伝えられたのに、なんで今はその一言が言えないんだ…。
「グレイ?」
名前を呼ばれ顔を上げれば、ルイの顔がぼやけて見える。
「グレイ、なんで泣いているんだよ?あ、もしかして私と一緒にいるのも苦痛なのか?悪かった。もしそうなら今日から違う部屋で…」
それ以上は聞きたくない。
グレイは持っていたカップを机に叩きつけるように置いた。
「だから何で先にルイが謝るんだよ!?お前に対して反抗的な態度ばかりして、謝らなきゃいけないのは俺の方だろ?
俺だってルイが好きなんだ!出会った頃からずっとずっと恋しくてたまらなかった!
洞窟で俺を見つけてくれて本当に嬉しかったし、諦めないで良かったと思ったよ。それだけで充分救われたんだ!
それなのにお前が好きだ、愛してるだ、結婚しようなんて軽々しく言うから、どこまで本気なのか分からないし、嬉しいけど、死ぬほど嬉しいけどっ!戸惑って素直になれないんだ!!
俺だって好きな奴と、…ルイとヤリたいよ!好きなんだから!お前が欲しいんだ!決まってんだろ!!」
グレイは息継ぎもせず自分の気持ちを吐き出した。興奮で、はぁ、はぁと息切れまでしている。
ポカンとした顔でグレイの話を聞いていたルイは、顔がボンッと真っ赤になった。
え?今俺なんて言った?
……っ!!
グレイ自身も自分の言葉を思い出し真っ赤になる。
「お、お、お、おれはっ、もうねるから!!」
グレイが立ち上がった瞬間、ルイに思いきり引き寄せられ抱きしめられた。
「全部本気に決まってるだろ!私が欲しければいくらでもやるさ。大好きだ、グレイ!」
「…っお、俺だってルイが大好きだよ!」
グレイはやっと素直に自分の気持ちを伝えた。
「あ、グレイ…その、さっきは悪かった。配慮に欠けた言い方だった。反省している。」
「…別に、もういいよ。」
悪いのは一方的に怒った自分なのに、ルイに先に謝られるとばつが悪い気持ちになる。
グレイは逃げるようにベッドルームへ入ろうとした。
「グレイ、少し話がしたいんだが時間をもらえるか?」
「…うん。」
ルイの静かな声に嫌な予感がした。
もしかしたら、「もうお前には付き合いきれない」とか、「私が好きになったのは昔のお前で、今のお前じゃなかった」とか言われるのかもしれない。
ルイにソファに座るように促され、大人しく座って待っていると温かいミルクティーを用意してくれた。
「体が温まるようにハチミツと少しだけ生姜を入れたんだ。グレイの口に合うといいんだが。」
一口飲めば少しピリッとした生姜の風味と甘いハチミツとミルクティーが心まで温めてくれる。
「美味いよ。ありがとう。」
お礼を言えばルイは優しく微笑み、グレイの隣りに座った。微妙な距離感にグレイに緊張が走る。
「さっきは本当にすまなかった。グレイが私の元に帰ってきてくれた事と私の血を選んでくれた事に舞い上がって、自分の気持ちを押し付けた言い方をしてしまった。」
「…別に。俺の方こそ酷い態度だった。ごめん。」
「そんな事ないよ。正直、グレイが怒ってる姿も可愛いくて抱きしめたくなる。私はとことんお前に惚れてるよ。」
「なっ!な、何言ってんだよ!馬鹿っ!」
ルイの拍子抜けするくらい甘い言葉にグレイはまた怒ってしまう。
ああ、なんで俺はまたこんな言い方しちゃうんだろ。さっき反省したばかりなのに同じ事を繰り返してしまう。馬鹿は俺の方だ…。謝らなきゃ…。
「ごめん。私のこういう言い方が良くないんだよな。私の重過ぎる気持ちがグレイの負担になってるって分かっているのに。」
「え…。」
また先に謝られた。
今度は俺が先に謝りたかったのに…。
それにルイの気持ちは全然負担になっていない。むしろ死ぬほど嬉しいんだ。だって俺もルイが好きなんだから。
ドグライアスにいた頃はあんなに簡単に「好きだ」と伝えられたのに、なんで今はその一言が言えないんだ…。
「グレイ?」
名前を呼ばれ顔を上げれば、ルイの顔がぼやけて見える。
「グレイ、なんで泣いているんだよ?あ、もしかして私と一緒にいるのも苦痛なのか?悪かった。もしそうなら今日から違う部屋で…」
それ以上は聞きたくない。
グレイは持っていたカップを机に叩きつけるように置いた。
「だから何で先にルイが謝るんだよ!?お前に対して反抗的な態度ばかりして、謝らなきゃいけないのは俺の方だろ?
俺だってルイが好きなんだ!出会った頃からずっとずっと恋しくてたまらなかった!
洞窟で俺を見つけてくれて本当に嬉しかったし、諦めないで良かったと思ったよ。それだけで充分救われたんだ!
それなのにお前が好きだ、愛してるだ、結婚しようなんて軽々しく言うから、どこまで本気なのか分からないし、嬉しいけど、死ぬほど嬉しいけどっ!戸惑って素直になれないんだ!!
俺だって好きな奴と、…ルイとヤリたいよ!好きなんだから!お前が欲しいんだ!決まってんだろ!!」
グレイは息継ぎもせず自分の気持ちを吐き出した。興奮で、はぁ、はぁと息切れまでしている。
ポカンとした顔でグレイの話を聞いていたルイは、顔がボンッと真っ赤になった。
え?今俺なんて言った?
……っ!!
グレイ自身も自分の言葉を思い出し真っ赤になる。
「お、お、お、おれはっ、もうねるから!!」
グレイが立ち上がった瞬間、ルイに思いきり引き寄せられ抱きしめられた。
「全部本気に決まってるだろ!私が欲しければいくらでもやるさ。大好きだ、グレイ!」
「…っお、俺だってルイが大好きだよ!」
グレイはやっと素直に自分の気持ちを伝えた。
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