純粋で一途な命の恩人を50年放置してたらグレた。

そら。

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41.謝罪

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目の前に現れた竜人がルイの部下だと分かったグレイは、ルイとの出会いから魔王との決闘の話まで全て話した。

「では、師団長はとりあえず今は無事、という事ですね。」

グレイに銃を向けたまま話を聞いていたエドワードだったが、表情は少し和らぎ、銃を持つ手を下ろした。
ユーロンは少し離れた場所で黙って話を聞いていた。

「ああ、でも5日、いや4日後にはジルドが戻って来る。またルイに酷いことをするかもしれない。俺はそれが心配なんだ。だからそれまでにルイを逃がしたい。」

グレイの言葉にユーロンの眉尻が上がった。

「…お前はルインハルトを助けたいのか。」

「当たり前だ。俺の大事な人だ!」

ユーロンは何も答えず、グレイに疑心の目を向けている。
明らかにグレイの事を信用していない。

グレイもどうせ自分の話は信じてもらえないだろうと思ったが、一か八かで口を開いた。

「…だからお前たちに協力して欲しいんだ。」

「…どういう事だ。」

ユーロンは腕を組んだ。

「ルイはあと2、3日は安静が必要らしいけど、ジルドが戻って来る前にドグライアスから逃す。
俺は城の掃除をしているから城の造りには詳しいんだ。見つからないように逃す事も出来ると思う。
ドグライアスには魔族以外が出入りできないように結界が張られているけど、魔族と一緒なら結界を抜けられる。だから俺が結界の外までルイを連れて行く。でももし途中で他の魔族に見つかったら俺1人じゃ対応できない。だからお前たちに援護をしてもらいたい。」

「しかし俺たちじゃドグライアスには入れないんだろ。入れるようにしてくれるのか。」

「それは出来ない。俺はルイを逃がしたいけどドグライアスに竜人は入れたくない。お前らだってどうせ魔族が嫌いなんだろ?竜人聖騎士なんか入れたら城や魔王様に攻撃してくるかもしれないだろ?それは困る。」

「俺たち竜人はお前ら魔族とは違う。そんな姑息な事はしない。」

「そうやって魔族を差別するだろ!言っとくけど、魔族は強くて悪いヤツばっかりじゃない!!弱いヤツだっているし優しいヤツもいる。それなのに人間や竜人が魔族ってだけで嫌悪感を持ってるだろ!?俺たちだって何されるか分からない恐怖で自分を守るために攻撃するんだよ!」

グレイは泣きたくなんかないのに、涙が流れてきてしまう。
この涙は恐怖心からではない。
魔族というだけ差別されてきた怒りや悲しみが涙へ変わってしまうのだ。

2人の竜人は何も言わずグレイの話に耳を傾けている。
弱い魔族が何を泣きながら喚いているのか、とでも思っているのだろうか。

「…と、とにかく、お前らには結界の外で待機していて欲しい。
場所は東山にある洞窟の前だ。俺はいつもそこを使って地上に出ている。…まあ、詳しい場所は分かってるんだろ。俺が鱗を身に付けているから。」

グレイはそういって鱗のペンダントを見せた。

「…お前、その鱗の役割を知っているのか?」

「追跡出来るんだろ?ルイから聞いた。」

「…そうか。」

ユーロンとエドワードのグレイを見る目が揺らぐ。

「俺の話は信じなくてもいいけど、とにかく俺は3日後にルイを外に連れ出す。」

「いや、信じよう。俺たちも3日後に洞窟の前で待機する。…ルインハルトを頼む。」

そう言ってユーロンはグレイに手を差し出した。
グレイは少し躊躇いがちにその手を掴んだ。

掴んだ瞬間に暖かい風がグレイを包み込み、蹴られた場所の痛みが消えた。

「酷いことをしたな。申し訳なかった。」

ユーロンはグレイに頭を下げた。
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