9 / 135
8.ちょっと待て(ルイ視点)
しおりを挟む
なるべく優しい声でグレイに話しかけた。
するとグレイの金色の目はぐぐっと大きくなり、顔が真っ赤になった。
まるで初めて恋を知った少女のようだ。
ーまさか、この魔物は本気で私に惚れたのだろうか…。
ルイが若干戸惑いを感じていると、急にグレイに抱きつかれた。
「うん、俺も嬉しい!ねぇ、ルイ、俺はお前のために何か出来るかな?
お前のこと好きだから役に立ちたい!」
グレイはまるでご主人様に好かれたくてしょうがない子犬のような目でルイを見てくる。
「はは、ありがとう。でも急に役に立ちたいと言われてもな…。
とりあえず牢から出れないと何も考えられないな。」
ルイは同情を引くように、あえて悲しそうな顔をして繋がれた鎖に視線をやった。
「あ、そっか。まずは外に出たいよな。俺もルイと散歩したい、空飛びたい!!きっと楽しいよ!じゃあ、俺、魔王様にお願いしてくる!!」
「…え?は?ちょ、ちょっと待て。グレイは魔王と会えるのか?」
今にも牢から飛び出そうとするグレイを慌てて呼び止めた。
今までルイたちがどんなに必死に探しても見つからなかった魔王にそんな簡単に会えるのか?
もしかしてグレイはすごい魔族なのか?
いや、待て、いくらなんでも魔王がルイをそんな簡単に解放する訳がない。
ルイがパニックになっていると「あははっ!変な顔!うん、こうやってー、魔王様と話がしたいですーって思いながら城の中を歩くと会いに来てくれるんだ。」と言ってグレイは両手を組んだ祈りのポーズをしてみせた。
今、コイツ私のことを変な顔と言ったか?
いや、まあ、そんなことどうでもいい。
「グレイ、私はこれでも聖騎士師団長だ。つまり魔族にとって敵だぞ?
グレイがお願いしたところで、魔王が私を解放してくれるとは思えない。むしろ私を治療したグレイも一緒に殺すのではないか?」
「そうかな?魔王様はそこまで怖い人じゃないよ。
確かに戦争に参加するような強い魔族は怖いヤツらが多いけど、魔王様はすごい強いのに、すごい優しい人なんだ。弱い魔族を城で守ってくれてるしさ。」
ルイはますます混乱した。
確かに現魔王は大人しいと聞いていたが、多くの魔族に力を与え、暴走を引き起こした張本人だ。
それが弱い魔族を守る優しい人だと?
情報が足りなすぎる。それならー…。
「グレイ、魔王にお願いするのは後でいい。
せっかくグレイと知り合えたんだ。まずはお前と話がしたい。」
ルイはにっこり微笑んだ。
グレイはまた子犬のような表情をしてルイに抱きついた。
するとグレイの金色の目はぐぐっと大きくなり、顔が真っ赤になった。
まるで初めて恋を知った少女のようだ。
ーまさか、この魔物は本気で私に惚れたのだろうか…。
ルイが若干戸惑いを感じていると、急にグレイに抱きつかれた。
「うん、俺も嬉しい!ねぇ、ルイ、俺はお前のために何か出来るかな?
お前のこと好きだから役に立ちたい!」
グレイはまるでご主人様に好かれたくてしょうがない子犬のような目でルイを見てくる。
「はは、ありがとう。でも急に役に立ちたいと言われてもな…。
とりあえず牢から出れないと何も考えられないな。」
ルイは同情を引くように、あえて悲しそうな顔をして繋がれた鎖に視線をやった。
「あ、そっか。まずは外に出たいよな。俺もルイと散歩したい、空飛びたい!!きっと楽しいよ!じゃあ、俺、魔王様にお願いしてくる!!」
「…え?は?ちょ、ちょっと待て。グレイは魔王と会えるのか?」
今にも牢から飛び出そうとするグレイを慌てて呼び止めた。
今までルイたちがどんなに必死に探しても見つからなかった魔王にそんな簡単に会えるのか?
もしかしてグレイはすごい魔族なのか?
いや、待て、いくらなんでも魔王がルイをそんな簡単に解放する訳がない。
ルイがパニックになっていると「あははっ!変な顔!うん、こうやってー、魔王様と話がしたいですーって思いながら城の中を歩くと会いに来てくれるんだ。」と言ってグレイは両手を組んだ祈りのポーズをしてみせた。
今、コイツ私のことを変な顔と言ったか?
いや、まあ、そんなことどうでもいい。
「グレイ、私はこれでも聖騎士師団長だ。つまり魔族にとって敵だぞ?
グレイがお願いしたところで、魔王が私を解放してくれるとは思えない。むしろ私を治療したグレイも一緒に殺すのではないか?」
「そうかな?魔王様はそこまで怖い人じゃないよ。
確かに戦争に参加するような強い魔族は怖いヤツらが多いけど、魔王様はすごい強いのに、すごい優しい人なんだ。弱い魔族を城で守ってくれてるしさ。」
ルイはますます混乱した。
確かに現魔王は大人しいと聞いていたが、多くの魔族に力を与え、暴走を引き起こした張本人だ。
それが弱い魔族を守る優しい人だと?
情報が足りなすぎる。それならー…。
「グレイ、魔王にお願いするのは後でいい。
せっかくグレイと知り合えたんだ。まずはお前と話がしたい。」
ルイはにっこり微笑んだ。
グレイはまた子犬のような表情をしてルイに抱きついた。
2
お気に入りに追加
640
あなたにおすすめの小説
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる
彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。
国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。
王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。
(誤字脱字報告は不要)
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる