純粋で一途な命の恩人を50年放置してたらグレた。

そら。

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8.ちょっと待て(ルイ視点)

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なるべく優しい声でグレイに話しかけた。
するとグレイの金色の目はぐぐっと大きくなり、顔が真っ赤になった。
まるで初めて恋を知った少女のようだ。

ーまさか、この魔物は本気で私に惚れたのだろうか…。

ルイが若干戸惑いを感じていると、急にグレイに抱きつかれた。

「うん、俺も嬉しい!ねぇ、ルイ、俺はお前のために何か出来るかな?
お前のこと好きだから役に立ちたい!」

グレイはまるでご主人様に好かれたくてしょうがない子犬のような目でルイを見てくる。

「はは、ありがとう。でも急に役に立ちたいと言われてもな…。
とりあえず牢から出れないと何も考えられないな。」

ルイは同情を引くように、あえて悲しそうな顔をして繋がれた鎖に視線をやった。

「あ、そっか。まずは外に出たいよな。俺もルイと散歩したい、空飛びたい!!きっと楽しいよ!じゃあ、俺、魔王様にお願いしてくる!!」


「…え?は?ちょ、ちょっと待て。グレイは魔王と会えるのか?」

今にも牢から飛び出そうとするグレイを慌てて呼び止めた。

今までルイたちがどんなに必死に探しても見つからなかった魔王にそんな簡単に会えるのか?
もしかしてグレイはすごい魔族なのか?
いや、待て、いくらなんでも魔王がルイをそんな簡単に解放する訳がない。


ルイがパニックになっていると「あははっ!変な顔!うん、こうやってー、魔王様と話がしたいですーって思いながら城の中を歩くと会いに来てくれるんだ。」と言ってグレイは両手を組んだ祈りのポーズをしてみせた。

今、コイツ私のことを変な顔と言ったか?
いや、まあ、そんなことどうでもいい。

「グレイ、私はこれでも聖騎士師団長だ。つまり魔族にとって敵だぞ?
グレイがお願いしたところで、魔王が私を解放してくれるとは思えない。むしろ私を治療したグレイも一緒に殺すのではないか?」

「そうかな?魔王様はそこまで怖い人じゃないよ。
確かに戦争に参加するような強い魔族は怖いヤツらが多いけど、魔王様はすごい強いのに、すごい優しい人なんだ。弱い魔族を城で守ってくれてるしさ。」

ルイはますます混乱した。
確かに現魔王は大人しいと聞いていたが、多くの魔族に力を与え、暴走を引き起こした張本人だ。
それが弱い魔族を守る優しい人だと?
情報が足りなすぎる。それならー…。

「グレイ、魔王にお願いするのは後でいい。
せっかくグレイと知り合えたんだ。まずはお前と話がしたい。」

ルイはにっこり微笑んだ。
グレイはまた子犬のような表情をしてルイに抱きついた。


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