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竜人嫌いの魔族、竜人の子供を育てる
31.友達
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ミール王国の夜空に大輪の花火が次々と咲き乱れる。
「すっげー!花火って本当綺麗だよな。人間ってすげぇよな。こんな綺麗なものを魔法も使わずに作っちゃうんだからさ」
ルーフの隣でグレイが目を輝かせながら花火を見上げている。
「そうか?俺には火薬が爆発してるだけにしか見えねぇけど」
「もー。ルーフは本当にドライだよね。…まあ、でもそんなお前がまさか竜人の子供と一緒に暮らしてるなんてな。正直、俺は今だに信じられない。シロっだけ?いい子だよな。ルーフの事、すごく心配してる」
そう言って穏やかに笑うグレイは、少し離れた場所で話をしているシロとルイの方に視線を移した。つられてルーフもシロたちを見る。きっとまだルーフの傷跡について話しているのだろう。それとも竜人同士、積もる話でもあるのだろうか。
(何をそんなに話すことがあるのかねぇ…)
ルーフはため息をついて酒を飲んだ。
花火を見るため酒場の屋上に移動したルーフたちや他の客は、皆、酒を片手に適当にくつろぎながら花火を見ている。
ルカとアリスは買ってきたお菓子を食べながら、次はどんな花火が上がるのか予想して、きゃっきゃっと楽しそうに騒いでいる。
その中でシロとルイは、花火も見ずに真剣に話をしている。
「…シロってさ、魔王様にすごく似てるよね」
グレイがポツリと呟いた。
「…髪と目の色だけな」
「魔力だって魔王様と同じ匂いがする」
「へぇ、お前にそんなことが分かるのか。確かにシロは魔王様の魔力を継承している。まあ、魔王になるかならないかはシロ次第だけどな」
「そっか。竜人嫌いだったルーフがシロと暮らしているのは、それが理由?」
普段なら「お前に関係ないだろ」と返すルーフだったが、酒を飲みすぎたせいか、美しすぎる花火を見ているせいか、素直に本音がこぼれ出した。
「…ああ。魔王様と同じ特徴を持つあいつをほっとけなかった。竜人だと気付いた時は、さっさと孤児院にでも連れて行こうと思ったよ。だけど魔王様と同じ瞳のシロの顔を見ていると、俺がそばにいてやらなきゃ、なんて思ったんだ。俺も大概バカだよな。俺は魔王様に必要とされていなかったのに、今だに引きずってシロに魔王様を重ねて、守ってやらなきゃなんて思ってるんだ。シロだって、本当は竜人に預けた方が幸せに決まってる。…ははっ、誰も俺を求めてねぇよって話だよな」
ルーフは自嘲気味に笑うと、グレイはひどく驚いた顔でルーフを見た。
「…ルーフ、お前、どうしちゃったの?無責任で無遠慮で酒クズ…は今もか。無責任で無遠慮で無関心で無駄に自信家だったくせに!しかも1人になりたがっていた魔王様の願いを無視して、勝手に側に居座りづつけて、雑用は全部俺に押し付けて悪びれもせず遊び歩いていた、あのルーフがしおらしくなっちゃってさ!シロを竜人に預けた方が幸せ?誰も求めてない?強気なルーフはどこ行っちゃたんだよ!?」
「…てめぇ、グレイ!おちょくりやがって!調子乗んなよ!!」
ルーフは恥ずかしくなってグレイの胸ぐらを掴んだ。しかしグレイは涙を流しながら大笑いした。
「あはははっ!ごめん、ごめん。ルーフが本音で話してくれた事が嬉しくてさ。ルーフって自分では気付いてないかもしれないけど、結構世話焼きだし優しいんだよ。自分の思うように生きろ、って人の背中を押すくせに、お前自身は本音を隠して、傷付いても平気なフリして何事にも興味なさそうに振る舞ってる」
「おい、いい加減やめろ。まるで俺が思春期のガキみてぇな性格じゃねえか」
「ああ、まさにそんな感じ!というか、傷付きたくなくて警戒している野良犬みたい!」
「もう、いい。黙れ、グレイ。お前、マジでぶっ飛ばす」
目の据わったルーフは拳を振り上げた。しかし、グレイは平然と話し続ける。
「だから俺はルーフが好きなんだ」
「あ?」
「興味なさそうにしてるけど、困ったときは助けてくれる。俺とルイが今一緒にいれるのは、ルーフのおかげなんだ。お前がいなかったら俺は死んでいたし、ルイもどうなっていたか分からない。魔王様だって1人になりたがっていたけど、困ったときは真っ先にお前に相談していただろ?それにお前以外を絶対そばに置かせなかった。魔王様にとってもお前は特別だったんだ。シロは魔王様に似ているけど、ただの竜人だったとしてもルーフは助けていたよ。お前の不器用な優しさがちゃんと伝わってるからシロもお前が好きなんだ」
「…うざ」
ルーフはグレイを離しそっぽを向いた。グレイはくしゃくしゃになった服を整え、ルーフの背中に寄りかかった。
「ルーフは俺の大事な友達だ。だからさ、ルーフも自分の事、もっと大事にしろよ。目の検査もちゃんと受けろ。誰も求めてないなんて思うなよ。もっと俺たちを頼ってよ」
グレイはニシシッと笑った。
「…クッソ生意気」
ルーフはグレイの頬をつねった。
「すっげー!花火って本当綺麗だよな。人間ってすげぇよな。こんな綺麗なものを魔法も使わずに作っちゃうんだからさ」
ルーフの隣でグレイが目を輝かせながら花火を見上げている。
「そうか?俺には火薬が爆発してるだけにしか見えねぇけど」
「もー。ルーフは本当にドライだよね。…まあ、でもそんなお前がまさか竜人の子供と一緒に暮らしてるなんてな。正直、俺は今だに信じられない。シロっだけ?いい子だよな。ルーフの事、すごく心配してる」
そう言って穏やかに笑うグレイは、少し離れた場所で話をしているシロとルイの方に視線を移した。つられてルーフもシロたちを見る。きっとまだルーフの傷跡について話しているのだろう。それとも竜人同士、積もる話でもあるのだろうか。
(何をそんなに話すことがあるのかねぇ…)
ルーフはため息をついて酒を飲んだ。
花火を見るため酒場の屋上に移動したルーフたちや他の客は、皆、酒を片手に適当にくつろぎながら花火を見ている。
ルカとアリスは買ってきたお菓子を食べながら、次はどんな花火が上がるのか予想して、きゃっきゃっと楽しそうに騒いでいる。
その中でシロとルイは、花火も見ずに真剣に話をしている。
「…シロってさ、魔王様にすごく似てるよね」
グレイがポツリと呟いた。
「…髪と目の色だけな」
「魔力だって魔王様と同じ匂いがする」
「へぇ、お前にそんなことが分かるのか。確かにシロは魔王様の魔力を継承している。まあ、魔王になるかならないかはシロ次第だけどな」
「そっか。竜人嫌いだったルーフがシロと暮らしているのは、それが理由?」
普段なら「お前に関係ないだろ」と返すルーフだったが、酒を飲みすぎたせいか、美しすぎる花火を見ているせいか、素直に本音がこぼれ出した。
「…ああ。魔王様と同じ特徴を持つあいつをほっとけなかった。竜人だと気付いた時は、さっさと孤児院にでも連れて行こうと思ったよ。だけど魔王様と同じ瞳のシロの顔を見ていると、俺がそばにいてやらなきゃ、なんて思ったんだ。俺も大概バカだよな。俺は魔王様に必要とされていなかったのに、今だに引きずってシロに魔王様を重ねて、守ってやらなきゃなんて思ってるんだ。シロだって、本当は竜人に預けた方が幸せに決まってる。…ははっ、誰も俺を求めてねぇよって話だよな」
ルーフは自嘲気味に笑うと、グレイはひどく驚いた顔でルーフを見た。
「…ルーフ、お前、どうしちゃったの?無責任で無遠慮で酒クズ…は今もか。無責任で無遠慮で無関心で無駄に自信家だったくせに!しかも1人になりたがっていた魔王様の願いを無視して、勝手に側に居座りづつけて、雑用は全部俺に押し付けて悪びれもせず遊び歩いていた、あのルーフがしおらしくなっちゃってさ!シロを竜人に預けた方が幸せ?誰も求めてない?強気なルーフはどこ行っちゃたんだよ!?」
「…てめぇ、グレイ!おちょくりやがって!調子乗んなよ!!」
ルーフは恥ずかしくなってグレイの胸ぐらを掴んだ。しかしグレイは涙を流しながら大笑いした。
「あはははっ!ごめん、ごめん。ルーフが本音で話してくれた事が嬉しくてさ。ルーフって自分では気付いてないかもしれないけど、結構世話焼きだし優しいんだよ。自分の思うように生きろ、って人の背中を押すくせに、お前自身は本音を隠して、傷付いても平気なフリして何事にも興味なさそうに振る舞ってる」
「おい、いい加減やめろ。まるで俺が思春期のガキみてぇな性格じゃねえか」
「ああ、まさにそんな感じ!というか、傷付きたくなくて警戒している野良犬みたい!」
「もう、いい。黙れ、グレイ。お前、マジでぶっ飛ばす」
目の据わったルーフは拳を振り上げた。しかし、グレイは平然と話し続ける。
「だから俺はルーフが好きなんだ」
「あ?」
「興味なさそうにしてるけど、困ったときは助けてくれる。俺とルイが今一緒にいれるのは、ルーフのおかげなんだ。お前がいなかったら俺は死んでいたし、ルイもどうなっていたか分からない。魔王様だって1人になりたがっていたけど、困ったときは真っ先にお前に相談していただろ?それにお前以外を絶対そばに置かせなかった。魔王様にとってもお前は特別だったんだ。シロは魔王様に似ているけど、ただの竜人だったとしてもルーフは助けていたよ。お前の不器用な優しさがちゃんと伝わってるからシロもお前が好きなんだ」
「…うざ」
ルーフはグレイを離しそっぽを向いた。グレイはくしゃくしゃになった服を整え、ルーフの背中に寄りかかった。
「ルーフは俺の大事な友達だ。だからさ、ルーフも自分の事、もっと大事にしろよ。目の検査もちゃんと受けろ。誰も求めてないなんて思うなよ。もっと俺たちを頼ってよ」
グレイはニシシッと笑った。
「…クッソ生意気」
ルーフはグレイの頬をつねった。
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