44 / 112
竜人嫌いの魔族、竜人の子供を育てる
18.イノシシ魔族のキバ
しおりを挟む
シロの学校もいよいよ明日から夏休みを迎え、最後の授業終了のベルが鳴った。
「よっしゃーっ、終わった終わった!明日から夏休みだなーっ!シロっ、夏祭りは一緒に行こうぜ!」
ルカは嬉しそうにシロの肩を組んだ。
「夏祭り?」
「そうっ、年に一度のミール王国の城下町の夏祭り!美味いもんの出店や射的や輪投げの出店もいっぱいあるんだぜ!あと仮装する人も多いし、最後には花火が打ち上がるんだ!」
楽しそうに身振り手振りで話すルカの元にアリスもやって来た。
「それにダンスや美男美女コンテストもあるのよ!あと力比べや大食いバトルもあるの。とにかく色んなイベントがあるから毎年大盛り上がりですごく楽しいわよ。私も一緒に行きたい!」
ルカはアリスの肩も組んで「もちろん3人で行こうぜ!」と笑った。
「へぇー、楽しそうだね。でも僕、夏休み中はルーフさんと魔力の特訓をしなきゃいけないから残念だけど行けないや。ごめんね」
シロは教科書を鞄に入れながら2人に謝ると、アリスはシロの頬をムニっとつねった。
「…顔、ニヤけてるわよ。全然残念だと思ってないじゃない。夏休み中はずっとルーフと一緒に過ごすから嬉しいくせに」
「本当だよ。友情を大事にしない男は嫌われるぜ?」
ルカも呆れながらため息をついた。
「えへへ、ごめんごめん。だってルーフさんて本当に忙しい人で一緒に過ごせる事が少ないんだ。でも夏休み中は僕のために特訓に付き合ってくれるって約束してくれたから嬉しくて」
「あらら、惚気ちゃって。まあ、魔力の特訓ならしょうがないわね。でももし来れそうなら一緒に行きましょうよ」
「ちぇっ、シロに城下町の案内をしたかったのに」
「2人ともありがとう。一応ルーフさんに聞いてみるね」
3人が話していると勢いよく教室の扉が開いた。
「おいっ!竜人のシロって奴はいるか!?」
現れたのは、つい先日ルカの胸ぐらを掴みシロの魔力によって気を失ったイノシシ魔族の少年だった。
しかしルカとアリスはアリーの忘却の魔法によってその時の出来事は覚えていない。
魔族の少年も忘れているはずなのに、とシロが不思議そうに彼を見ているとバチっと目が合った。
「いたー!!お前がシロだろっ!!」
少年はシロを指差し、勢いよくシロ目掛けて突進して来た。
「うわ、5年のキバじゃん。あいつ乱暴で有名なんだよ」
ルカは嫌そうな顔をしてアリスを庇うように前に立った。
「シロ、面識あるの?」
アリスはルカの肩から顔を出し聞いた。
「んー…まぁ、少しね。でもあまり関わりたくないなぁ」と言ってシロは苦笑いをした。
「あいつ、シロに子分になれって言う気じゃないか?とにかく怒らせないように気を付けろよ」
ルカにそっと耳打ちされたが、すでにキバは目の前までやって来た。
「おいっ、何ごちゃごちゃ話してんだ!それより俺はイノシシ魔族のキバだ。シロ、俺の親分になれ!!」
キバは腕を組み自信に満ちた笑顔で顎を上げた。
意味の分からないセリフに、シロとルカとアリスはぽかんと口を開けた。
「よっしゃーっ、終わった終わった!明日から夏休みだなーっ!シロっ、夏祭りは一緒に行こうぜ!」
ルカは嬉しそうにシロの肩を組んだ。
「夏祭り?」
「そうっ、年に一度のミール王国の城下町の夏祭り!美味いもんの出店や射的や輪投げの出店もいっぱいあるんだぜ!あと仮装する人も多いし、最後には花火が打ち上がるんだ!」
楽しそうに身振り手振りで話すルカの元にアリスもやって来た。
「それにダンスや美男美女コンテストもあるのよ!あと力比べや大食いバトルもあるの。とにかく色んなイベントがあるから毎年大盛り上がりですごく楽しいわよ。私も一緒に行きたい!」
ルカはアリスの肩も組んで「もちろん3人で行こうぜ!」と笑った。
「へぇー、楽しそうだね。でも僕、夏休み中はルーフさんと魔力の特訓をしなきゃいけないから残念だけど行けないや。ごめんね」
シロは教科書を鞄に入れながら2人に謝ると、アリスはシロの頬をムニっとつねった。
「…顔、ニヤけてるわよ。全然残念だと思ってないじゃない。夏休み中はずっとルーフと一緒に過ごすから嬉しいくせに」
「本当だよ。友情を大事にしない男は嫌われるぜ?」
ルカも呆れながらため息をついた。
「えへへ、ごめんごめん。だってルーフさんて本当に忙しい人で一緒に過ごせる事が少ないんだ。でも夏休み中は僕のために特訓に付き合ってくれるって約束してくれたから嬉しくて」
「あらら、惚気ちゃって。まあ、魔力の特訓ならしょうがないわね。でももし来れそうなら一緒に行きましょうよ」
「ちぇっ、シロに城下町の案内をしたかったのに」
「2人ともありがとう。一応ルーフさんに聞いてみるね」
3人が話していると勢いよく教室の扉が開いた。
「おいっ!竜人のシロって奴はいるか!?」
現れたのは、つい先日ルカの胸ぐらを掴みシロの魔力によって気を失ったイノシシ魔族の少年だった。
しかしルカとアリスはアリーの忘却の魔法によってその時の出来事は覚えていない。
魔族の少年も忘れているはずなのに、とシロが不思議そうに彼を見ているとバチっと目が合った。
「いたー!!お前がシロだろっ!!」
少年はシロを指差し、勢いよくシロ目掛けて突進して来た。
「うわ、5年のキバじゃん。あいつ乱暴で有名なんだよ」
ルカは嫌そうな顔をしてアリスを庇うように前に立った。
「シロ、面識あるの?」
アリスはルカの肩から顔を出し聞いた。
「んー…まぁ、少しね。でもあまり関わりたくないなぁ」と言ってシロは苦笑いをした。
「あいつ、シロに子分になれって言う気じゃないか?とにかく怒らせないように気を付けろよ」
ルカにそっと耳打ちされたが、すでにキバは目の前までやって来た。
「おいっ、何ごちゃごちゃ話してんだ!それより俺はイノシシ魔族のキバだ。シロ、俺の親分になれ!!」
キバは腕を組み自信に満ちた笑顔で顎を上げた。
意味の分からないセリフに、シロとルカとアリスはぽかんと口を開けた。
1
お気に入りに追加
336
あなたにおすすめの小説


飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる