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竜人嫌いの魔族、竜人の子供を育てる
4.シロの魔力
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ユーロンに見透かされた気分になり一気に酔いが覚めたルーフは「…うるせぇな」と言って舌打ちをして目線を逸らした。
キッチンからは楽しそうに料理をするシロが見える。
シロを拾った当時は、竜人とは関わりたくないと思っていた。
それは魔族ならだれでも一度は必ず抱く竜人への劣等感のせいもある。
竜人は生まれた時からすでに強大な魔力と権力を手にしていて、人間からも存在自体を敬われる。それに対し魔族の魔力量はバラバラで、権力はすべて力で決まる。
そして協調や共存よりも個人行動を好む者が多い。そのため協調性を持つ竜人や人間とは価値観が合わず、衝突することも多かった。そのせいで昔は、人間や竜人に姿を見せるだけで疎まれる時代もあったくらいだ。
なによりもルーフが仕えていた魔王は、竜人と人間が召喚した勇者によって連れ去られてしまったのだ。
魔王がどこかで幸せで暮らしているならそれでいい、と何度も自分に言い聞かせてきたが、自分の大切な人を奪われたルーフにとって竜人は一線引きたい存在だった。
(そんな俺がまさか竜人の子供と暮らすようになるとはな…。)
ルーフは頬杖ついてシロの後ろ姿を眺めた。
最初は、シロのケガが治るまでは保護してやるつもりだった。拾った頃のシロは感情表現も乏しく無愛想に見えた。その上、どう見ても訳ありの竜人だ。関わってもロクなことはない。
そう思っていたのに、いざ一緒に暮らし始めればシロは分かりやすくコロコロと表情を変え、いつも嬉しそうにルーフの後を付いてくる。要領もいいし、仕事も早い。
シロとの暮らしは思っていた以上に過ごしやすい日々に変わっていった。
そしてルーフがシロと今後も暮らしていこうと思った一番の理由は…。
「なあ、ユーロン。竜人の魔力は光魔力なんだろ?…闇魔力を持つ竜人もいるのか?」
ルーフはゲイルとの戦いでシロが放った闇魔力についてずっと疑問を感じていた。
「竜人が闇魔力?それは聞いた事がないな。竜人の魔力は基本的に光魔力だ。中には火魔力や水魔力に特化した竜人もいるが、流石に闇魔力は存在しない。そういえばゲイルとの戦いで強大な闇魔力を感じたが、あれはルーフの力か?」
ユーロンはルーフを試すような目をして尋ねた。ルーフが真実を話すか見定めようとしている。
きっとここで下手に誤魔化してもいずれシロの魔力はバレるだろう。
「…あれはシロの放った闇魔力だ。おそらくシロは闇魔力に特化している。しかも魔王様と同じオーラだった」
「そうか」
ユーロンは驚きもせず、静かに答えた。
「…やっぱりお前も気付いていたんだな」
「魔王と同じオーラという事までは気付かなかったが、シロが放った闇魔力は感じ取っていた。なぜ竜人のシロが闇魔力に特化しているのかは分からないが、魔力暴走を起こさなければ今まで通り暮らしていても問題ないだろう。しかしシロが闇魔力を悪用したりコントロールが出来なくなったら…」
「監禁でもさせるのか?」
「そういう選択をする可能性もある」
魔王がそうだったように闇魔力はコントロールが出来ないと周りにも悪影響を及ぼす。魔王はドグライアス城で身を潜めていたが、魔王が消えた時にその城も崩壊してしまった。行き場のないシロはアスディアの監獄にでも放り込まれるだろう。
ユーロンは苦しそうな表情で話を続けた。
「ただ、シロが魔力をしっかりコントロールさせていれば問題ない。だからルーフ、お前もしっかりシロを見ててくれ。シロには幸せな人生を歩んでいって欲しい。俺も極力サポートをしていくが、あれだけ強大な闇魔力を持っているなら監視もしなければならない。最悪の場合は…」
「分かっている」
ルーフはそれ以上先の言葉を聞きたくなくて話を遮った。
シロの方を見れば、相変わらず楽しそうに鍋をかき混ぜている。こんな日々が続いて欲しい。
シロを監禁させる未来なんて想像したくもない。
キッチンからは楽しそうに料理をするシロが見える。
シロを拾った当時は、竜人とは関わりたくないと思っていた。
それは魔族ならだれでも一度は必ず抱く竜人への劣等感のせいもある。
竜人は生まれた時からすでに強大な魔力と権力を手にしていて、人間からも存在自体を敬われる。それに対し魔族の魔力量はバラバラで、権力はすべて力で決まる。
そして協調や共存よりも個人行動を好む者が多い。そのため協調性を持つ竜人や人間とは価値観が合わず、衝突することも多かった。そのせいで昔は、人間や竜人に姿を見せるだけで疎まれる時代もあったくらいだ。
なによりもルーフが仕えていた魔王は、竜人と人間が召喚した勇者によって連れ去られてしまったのだ。
魔王がどこかで幸せで暮らしているならそれでいい、と何度も自分に言い聞かせてきたが、自分の大切な人を奪われたルーフにとって竜人は一線引きたい存在だった。
(そんな俺がまさか竜人の子供と暮らすようになるとはな…。)
ルーフは頬杖ついてシロの後ろ姿を眺めた。
最初は、シロのケガが治るまでは保護してやるつもりだった。拾った頃のシロは感情表現も乏しく無愛想に見えた。その上、どう見ても訳ありの竜人だ。関わってもロクなことはない。
そう思っていたのに、いざ一緒に暮らし始めればシロは分かりやすくコロコロと表情を変え、いつも嬉しそうにルーフの後を付いてくる。要領もいいし、仕事も早い。
シロとの暮らしは思っていた以上に過ごしやすい日々に変わっていった。
そしてルーフがシロと今後も暮らしていこうと思った一番の理由は…。
「なあ、ユーロン。竜人の魔力は光魔力なんだろ?…闇魔力を持つ竜人もいるのか?」
ルーフはゲイルとの戦いでシロが放った闇魔力についてずっと疑問を感じていた。
「竜人が闇魔力?それは聞いた事がないな。竜人の魔力は基本的に光魔力だ。中には火魔力や水魔力に特化した竜人もいるが、流石に闇魔力は存在しない。そういえばゲイルとの戦いで強大な闇魔力を感じたが、あれはルーフの力か?」
ユーロンはルーフを試すような目をして尋ねた。ルーフが真実を話すか見定めようとしている。
きっとここで下手に誤魔化してもいずれシロの魔力はバレるだろう。
「…あれはシロの放った闇魔力だ。おそらくシロは闇魔力に特化している。しかも魔王様と同じオーラだった」
「そうか」
ユーロンは驚きもせず、静かに答えた。
「…やっぱりお前も気付いていたんだな」
「魔王と同じオーラという事までは気付かなかったが、シロが放った闇魔力は感じ取っていた。なぜ竜人のシロが闇魔力に特化しているのかは分からないが、魔力暴走を起こさなければ今まで通り暮らしていても問題ないだろう。しかしシロが闇魔力を悪用したりコントロールが出来なくなったら…」
「監禁でもさせるのか?」
「そういう選択をする可能性もある」
魔王がそうだったように闇魔力はコントロールが出来ないと周りにも悪影響を及ぼす。魔王はドグライアス城で身を潜めていたが、魔王が消えた時にその城も崩壊してしまった。行き場のないシロはアスディアの監獄にでも放り込まれるだろう。
ユーロンは苦しそうな表情で話を続けた。
「ただ、シロが魔力をしっかりコントロールさせていれば問題ない。だからルーフ、お前もしっかりシロを見ててくれ。シロには幸せな人生を歩んでいって欲しい。俺も極力サポートをしていくが、あれだけ強大な闇魔力を持っているなら監視もしなければならない。最悪の場合は…」
「分かっている」
ルーフはそれ以上先の言葉を聞きたくなくて話を遮った。
シロの方を見れば、相変わらず楽しそうに鍋をかき混ぜている。こんな日々が続いて欲しい。
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