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竜人嫌いの魔族、竜人の子供を拾う。
19.ローハン公爵
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「どけ、シロ。へへっ、俺がぶっ飛ばしてやる。」
ルーフはベッドから起き上がり、やる気満々で腕を回した。
「だ、だ、だめですっ!まだ病み上がりなんですからっ。」
シロは慌ててルーフの腕にしがみついたが、ルーフは気にせずローハン公爵の前に立った。
「あんたがシロのじぃちゃんだろ?あんまり似てねぇんだな。可愛い孫を連れ戻しにきたのか?」
控えていたジンが声を張り上げ、ルーフを睨み付けた。
「貴様っ、ローハン公爵様に向かって失礼だぞ!!」
威勢のいいフリをしているが額には脂汗をかき、顔色もかなり悪い。ルーフとの対決後、まだ魔力も体力もほとんど回復していないようだった。
「腕磨けって言ったろ。また俺にやられたいなら、せめて魔力戻ってからにしろよ。それとも今度はドグライアスの山奥にでも転移させてやろうか?血に飢えた好戦的な魔族がお前を迎えてくれるぞ。」
そう言ってルーフは魔力でジンに圧をかけた。
「くっ、魔族が偉そうにっ。やれるもんならやってみろ…」
バキッー…!!
ジンが攻撃魔法の構えをした瞬間、ローハン公爵はジンの顔を殴り、床に叩きつけた。
「でしゃばるな、ジン。弱い従者はゴミと同じだ。弱いお前を連れて来たのは道案内のためだけだ。」
「も、申し訳…ございません…。」
ジンは流れる血を気にもせず、額を床に擦り付けて土下座した。
「ありゃりゃ、ひでぇ殿様だな。反吐が出るぜ。」
ルーフは両手を腰に当て、「ウエッ」と言って舌を出した。
「黙れ、駄犬。」
ローハン公爵が今度はルーフを殴ろうと拳を上げた。ルーフはすぐに防御魔法で拳を弾き返し、反動でローハン公爵に飛び蹴りをした。しかし、足を掴まれそのまま投げ飛ばされた。
「ルーフっ!!」
シロの叫び声が聞こえたのと同時にルーフは壁に叩きつけられ、メキメキッと嫌な音が頭の奥まで響いた。
「ぐぅ…!!」
自分の骨が折れる音なのか、壁が壊れる音なのが分からないまま、壁を突き破り、外まで飛ばされ、大きな水飛沫を上げて湖に落下した。
「ルーフっ!」
シロは追いかけようと外へ出ようとした時、腕をローハン公爵に掴まれた。
「地下室に戻れ。」
冷たい瞳がシロを硬直させる。でも今は怖がっている場合じゃない。ルーフを助けに行かなければ。
「嫌だっ!離せっ!」
バシンッー!!
公爵は鉄のように硬い平手でシロの頬を叩いた。反動で床に倒れたシロの髪を掴み、持ち上げた。
「随分反抗的になったものだな。再教育が必要か。」
公爵の冷たい目、声、殺気を纏った圧でシロの体は震え出した。
ー…怖い。怖い。怖い。
ー…でも、強くなるって決めたんだ。ルーフさんを助けにいかなくちゃっ!!
シロはぎゅっと目を瞑った。
船の上でルーフとの会話を思い出す。
ー…『俺だったら公爵邸ごと吹き飛ばしてから逃げるけどな。』
ニヤッと笑ってそう言ったルーフはかっこ良くて無敵に感じた。
シロは公爵の腕を掴み、熱魔法を放った。
それは以前、料理を温めようとして爆発させてしまった熱魔法だった。
ドゴオォンー!!
ルーフの家を爆破させてしまった時より、遥かに大きな爆発音と共に湖の小屋が吹き飛んだ。
ルーフはベッドから起き上がり、やる気満々で腕を回した。
「だ、だ、だめですっ!まだ病み上がりなんですからっ。」
シロは慌ててルーフの腕にしがみついたが、ルーフは気にせずローハン公爵の前に立った。
「あんたがシロのじぃちゃんだろ?あんまり似てねぇんだな。可愛い孫を連れ戻しにきたのか?」
控えていたジンが声を張り上げ、ルーフを睨み付けた。
「貴様っ、ローハン公爵様に向かって失礼だぞ!!」
威勢のいいフリをしているが額には脂汗をかき、顔色もかなり悪い。ルーフとの対決後、まだ魔力も体力もほとんど回復していないようだった。
「腕磨けって言ったろ。また俺にやられたいなら、せめて魔力戻ってからにしろよ。それとも今度はドグライアスの山奥にでも転移させてやろうか?血に飢えた好戦的な魔族がお前を迎えてくれるぞ。」
そう言ってルーフは魔力でジンに圧をかけた。
「くっ、魔族が偉そうにっ。やれるもんならやってみろ…」
バキッー…!!
ジンが攻撃魔法の構えをした瞬間、ローハン公爵はジンの顔を殴り、床に叩きつけた。
「でしゃばるな、ジン。弱い従者はゴミと同じだ。弱いお前を連れて来たのは道案内のためだけだ。」
「も、申し訳…ございません…。」
ジンは流れる血を気にもせず、額を床に擦り付けて土下座した。
「ありゃりゃ、ひでぇ殿様だな。反吐が出るぜ。」
ルーフは両手を腰に当て、「ウエッ」と言って舌を出した。
「黙れ、駄犬。」
ローハン公爵が今度はルーフを殴ろうと拳を上げた。ルーフはすぐに防御魔法で拳を弾き返し、反動でローハン公爵に飛び蹴りをした。しかし、足を掴まれそのまま投げ飛ばされた。
「ルーフっ!!」
シロの叫び声が聞こえたのと同時にルーフは壁に叩きつけられ、メキメキッと嫌な音が頭の奥まで響いた。
「ぐぅ…!!」
自分の骨が折れる音なのか、壁が壊れる音なのが分からないまま、壁を突き破り、外まで飛ばされ、大きな水飛沫を上げて湖に落下した。
「ルーフっ!」
シロは追いかけようと外へ出ようとした時、腕をローハン公爵に掴まれた。
「地下室に戻れ。」
冷たい瞳がシロを硬直させる。でも今は怖がっている場合じゃない。ルーフを助けに行かなければ。
「嫌だっ!離せっ!」
バシンッー!!
公爵は鉄のように硬い平手でシロの頬を叩いた。反動で床に倒れたシロの髪を掴み、持ち上げた。
「随分反抗的になったものだな。再教育が必要か。」
公爵の冷たい目、声、殺気を纏った圧でシロの体は震え出した。
ー…怖い。怖い。怖い。
ー…でも、強くなるって決めたんだ。ルーフさんを助けにいかなくちゃっ!!
シロはぎゅっと目を瞑った。
船の上でルーフとの会話を思い出す。
ー…『俺だったら公爵邸ごと吹き飛ばしてから逃げるけどな。』
ニヤッと笑ってそう言ったルーフはかっこ良くて無敵に感じた。
シロは公爵の腕を掴み、熱魔法を放った。
それは以前、料理を温めようとして爆発させてしまった熱魔法だった。
ドゴオォンー!!
ルーフの家を爆破させてしまった時より、遥かに大きな爆発音と共に湖の小屋が吹き飛んだ。
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