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24 目の前で騒ぐ人達に頭が痛い
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大きくなった自身のお腹を撫でながら上目遣いでイサーク様を見るジョセリンに、クラ、と眩暈がする。
なるほど、ジョセリンが妊婦の体を押してまで、この結婚式に来た理由が分かった気がする。
一度ならず二度までもジョセリンは僕から夫を奪おうと目論んでいるらしい。
なぜ、そこまでして僕から奪いに来るのか。そんなに僕が嫌いなのか。そんなにΩが気に入らないのか。
オクトーも夫ならジョセリンの暴走をちゃんと止めろ! そんな気持ちを込めてオクトーへ目線を移すが、僕の視線に気が付いた途端に目を逸らし、青い顔で脂汗を流すだけで何の役にも立たない。
こんなに情けない奴に以前の僕はあんなにも良い様に扱われていたのかと思うとオクトーにも自分にも苛立つ。
「君は、さっきから何を言っているのかな?」
今まで、黙っていたイサーク様が面倒臭そうに口を開く。その顔は笑顔は保ってはいるけれど決して目は笑っていない。なのに、その事に気が付かないジョセリンは自分を見て貰えた、と嬉しそうに眼を輝かせている。
「わたくし、イサーク様の赤ちゃんを産んで差し上げたいんですの」
「気持ちの悪い事を言わないでくれ」
「え?」
張り付けていた笑顔すら剥ぎ捨て、嫌悪感を前面に出して吐き捨てる様に言うイサーク様に、ジョセリンの勢いが止まる。
「まず、私は君に会いに行った事なんて無いが?」
「何を言ってらっしゃるの!? いつもわたくしのお家にいらしてたじゃないですか! あれは、わたくしに会いに来られていたんでしょ? わたくしが可愛らしいからだって、お母様だってそう仰っていたわ!」
「ファリオンの家に行ってはいたが、それはウォレンと会う為だ。君にはいつも私がウォレンと会う大切な時間を邪魔されて、ほとほと困っていたんだよ」
「なっ、なっ……」
確かに、記憶ではイサーク様が我が家へ来られると必ずジョセリンが駆け寄り侍っていたような気がする。ジョセリンはその事を迷惑と切り捨てられてしまい、顔が真っ赤だ。
「だいたい、君は何か勘違いをしているようだが、なぜ君に子供を産んで貰わなければいけないんだ。私には愛するウォレンがいるんだよ? ウォレンには私の子を産んで欲しいと思うが、他の者、ましてや配偶者のいる相手との間に子供を儲けて平然としている者に産んで欲しいなんて一欠けらだって思わないね。しかも、兄の夫と略奪結婚して尚、再び別の男の子供を産みたいだなどと公衆の面前で恥ずかしげも無く言うなんて、君には羞恥心という物が無いのか? 私の事を分かっている、と言うのならもう二度とウォレンの前に顔を出さないで欲しいね」
「酷い!! わ、わたくしはお兄様の代わりに子供を作って結婚させられたんですのよ! 略奪だなんて、そんなッ!! 第一、お兄様は不妊だって言ってるじゃありませんか!! 産めないんですのよ! そのΩは不良品ですの! 皆そう言ってますわよ! 使えないΩだって!!」
「へ~……皆って? 誰だい? 私の愛するウォレンをそんな風に言う輩がいるとは許しておけないな。私はね、ウォレンの事を貶す輩は一族郎党根絶やしにしなければ気が済まないんだよ」
「ひっ!!」
決して荒げてはいないものの、冷え冷えとしたイサーク様の声に底知れない怒りを感じる。
流石のジョセリンも、やっとイサーク様の怒りに気が付いた様で、赤かった顔を青くして数歩後退った。
気が付くのが遅すぎる。やっと、自分が誰に向かって話していたのか理解出来たようだ。
「申し訳ございません! 私は決してその様な事は申しておりません! 全てこの女の妄言で御座います!!」
「わっ! わたくしが悪いって言うんですの!? オクトー様が妊娠しないなんて役立たずだって言ったんじゃないですか!」
「バカ! こんな所で! あ、いえ! 言っていません!! な、なぁ、ウォレン。僕はそんな事言った事ないよね?」
ガバッとオクトーが土下座をして聞き苦しい言い訳を始めた。必死になって僕に訴えかけてくるけれど、僕に直接言っていないだけで外では好き勝手言っていただろう事は予測できる。
見苦しく言い合いを始める二人に、面白がって見ていた周りの招待客も眉を顰め始める。
「い、イサーク様!! 我が娘が大変な失礼を申した様で、誠に申し訳ございません!! まだ年若い娘でして、何卒お許しを! ほら、ウォレンも謝らないか!!」
「イサーク様に恋心を募らせていた事もあって、少し言葉が過ぎてしまっただけなんです! 可愛い義妹の小さな過ちと思って、ここは寛大なお心でお許しくださいませんでしょうか? ウォレン、あなたからもイサーク様にとりなしてちょうだい。ジョセリンはあなたの為を思って言ったのよ?」
会場中の注目を集めてしまったこの騒ぎをどう収めようか、と悩んでいる所に、今更父様と母様が慌てた様子で飛んで来た。しかも、言うに事欠いて僕にこの場を収めろと……
今の今まで、ジョセリンが僕に絡んで来ていたのを遠巻きに眺めていただけだったクセに、我が身に火の粉が振りかかりそうになった途端やって来て、それでこれか。
僕とイサーク様の結婚式だと言うのに、恥ずかしいやら情けないやらで下唇を噛む。
招待客が大勢いる中で、これ以上身内の恥を晒し、イサーク様に迷惑をかける訳にはいかない。一先ずこの場から出て行って貰わなければ。
自分の思い通りにならなければ理不尽に怒る人達だ。この際、多少の𠮟責も仕方ない。
「父様、今は——」
「なぜ、暴言を吐かれたウォレンが謝らなければいけない? その娘の言葉のどこがウォレンの為だというのだ?」
だけど、僕の言葉よりも先に苛立った様子でイサーク様が声を上げた。
「そっ、それはですね……ジョセリンは不妊の兄の為に力になろうと! 子を産めないウォレンに代わって胎をお貸ししようと思っての言葉でして」
「子に関しては、出来なければ私の親族からの養子も考えていると伝えた筈だが?」
「それよりも、ご自身の子の方が宜しいのでは?」
「そうですわよ! ジョセリンならウォレンと血も繋がっておりますし、親戚から養子を取るより——」
「ほう?」
イサーク様のたった一言で、その場が凍り付くかと思った。
威嚇のフェロモンは出していない筈なのに父様も母様も黙り、ジョセリンとオクトーの様に顔色を悪くして小刻みに震え出した。
それ程に怒りを含んだ冷え切った声だった。
「それが、お前達の考えか。娘にもそう唆したのか? もう一度、ウォレンから夫を寝取れ、と。そして、私にはそこで土下座して震えている男と同じ事をしろと言うのか? 番った夫がいる身で、あろう事か義理の妹と不義の子を儲けて番を捨てた。その男がウォレンにした仕打ちと同じ事を私にやれ、と!?」
「めめめめめ滅相もございません!!! その様なつもりでは!!」
そんなつもりじゃ無ければ、どんなつもりであんな事を言ったんだ。
イサーク様の憤怒の声に父様と母様は膝を折り、オクトーと同じ様にその場で跪いた。
なるほど、ジョセリンが妊婦の体を押してまで、この結婚式に来た理由が分かった気がする。
一度ならず二度までもジョセリンは僕から夫を奪おうと目論んでいるらしい。
なぜ、そこまでして僕から奪いに来るのか。そんなに僕が嫌いなのか。そんなにΩが気に入らないのか。
オクトーも夫ならジョセリンの暴走をちゃんと止めろ! そんな気持ちを込めてオクトーへ目線を移すが、僕の視線に気が付いた途端に目を逸らし、青い顔で脂汗を流すだけで何の役にも立たない。
こんなに情けない奴に以前の僕はあんなにも良い様に扱われていたのかと思うとオクトーにも自分にも苛立つ。
「君は、さっきから何を言っているのかな?」
今まで、黙っていたイサーク様が面倒臭そうに口を開く。その顔は笑顔は保ってはいるけれど決して目は笑っていない。なのに、その事に気が付かないジョセリンは自分を見て貰えた、と嬉しそうに眼を輝かせている。
「わたくし、イサーク様の赤ちゃんを産んで差し上げたいんですの」
「気持ちの悪い事を言わないでくれ」
「え?」
張り付けていた笑顔すら剥ぎ捨て、嫌悪感を前面に出して吐き捨てる様に言うイサーク様に、ジョセリンの勢いが止まる。
「まず、私は君に会いに行った事なんて無いが?」
「何を言ってらっしゃるの!? いつもわたくしのお家にいらしてたじゃないですか! あれは、わたくしに会いに来られていたんでしょ? わたくしが可愛らしいからだって、お母様だってそう仰っていたわ!」
「ファリオンの家に行ってはいたが、それはウォレンと会う為だ。君にはいつも私がウォレンと会う大切な時間を邪魔されて、ほとほと困っていたんだよ」
「なっ、なっ……」
確かに、記憶ではイサーク様が我が家へ来られると必ずジョセリンが駆け寄り侍っていたような気がする。ジョセリンはその事を迷惑と切り捨てられてしまい、顔が真っ赤だ。
「だいたい、君は何か勘違いをしているようだが、なぜ君に子供を産んで貰わなければいけないんだ。私には愛するウォレンがいるんだよ? ウォレンには私の子を産んで欲しいと思うが、他の者、ましてや配偶者のいる相手との間に子供を儲けて平然としている者に産んで欲しいなんて一欠けらだって思わないね。しかも、兄の夫と略奪結婚して尚、再び別の男の子供を産みたいだなどと公衆の面前で恥ずかしげも無く言うなんて、君には羞恥心という物が無いのか? 私の事を分かっている、と言うのならもう二度とウォレンの前に顔を出さないで欲しいね」
「酷い!! わ、わたくしはお兄様の代わりに子供を作って結婚させられたんですのよ! 略奪だなんて、そんなッ!! 第一、お兄様は不妊だって言ってるじゃありませんか!! 産めないんですのよ! そのΩは不良品ですの! 皆そう言ってますわよ! 使えないΩだって!!」
「へ~……皆って? 誰だい? 私の愛するウォレンをそんな風に言う輩がいるとは許しておけないな。私はね、ウォレンの事を貶す輩は一族郎党根絶やしにしなければ気が済まないんだよ」
「ひっ!!」
決して荒げてはいないものの、冷え冷えとしたイサーク様の声に底知れない怒りを感じる。
流石のジョセリンも、やっとイサーク様の怒りに気が付いた様で、赤かった顔を青くして数歩後退った。
気が付くのが遅すぎる。やっと、自分が誰に向かって話していたのか理解出来たようだ。
「申し訳ございません! 私は決してその様な事は申しておりません! 全てこの女の妄言で御座います!!」
「わっ! わたくしが悪いって言うんですの!? オクトー様が妊娠しないなんて役立たずだって言ったんじゃないですか!」
「バカ! こんな所で! あ、いえ! 言っていません!! な、なぁ、ウォレン。僕はそんな事言った事ないよね?」
ガバッとオクトーが土下座をして聞き苦しい言い訳を始めた。必死になって僕に訴えかけてくるけれど、僕に直接言っていないだけで外では好き勝手言っていただろう事は予測できる。
見苦しく言い合いを始める二人に、面白がって見ていた周りの招待客も眉を顰め始める。
「い、イサーク様!! 我が娘が大変な失礼を申した様で、誠に申し訳ございません!! まだ年若い娘でして、何卒お許しを! ほら、ウォレンも謝らないか!!」
「イサーク様に恋心を募らせていた事もあって、少し言葉が過ぎてしまっただけなんです! 可愛い義妹の小さな過ちと思って、ここは寛大なお心でお許しくださいませんでしょうか? ウォレン、あなたからもイサーク様にとりなしてちょうだい。ジョセリンはあなたの為を思って言ったのよ?」
会場中の注目を集めてしまったこの騒ぎをどう収めようか、と悩んでいる所に、今更父様と母様が慌てた様子で飛んで来た。しかも、言うに事欠いて僕にこの場を収めろと……
今の今まで、ジョセリンが僕に絡んで来ていたのを遠巻きに眺めていただけだったクセに、我が身に火の粉が振りかかりそうになった途端やって来て、それでこれか。
僕とイサーク様の結婚式だと言うのに、恥ずかしいやら情けないやらで下唇を噛む。
招待客が大勢いる中で、これ以上身内の恥を晒し、イサーク様に迷惑をかける訳にはいかない。一先ずこの場から出て行って貰わなければ。
自分の思い通りにならなければ理不尽に怒る人達だ。この際、多少の𠮟責も仕方ない。
「父様、今は——」
「なぜ、暴言を吐かれたウォレンが謝らなければいけない? その娘の言葉のどこがウォレンの為だというのだ?」
だけど、僕の言葉よりも先に苛立った様子でイサーク様が声を上げた。
「そっ、それはですね……ジョセリンは不妊の兄の為に力になろうと! 子を産めないウォレンに代わって胎をお貸ししようと思っての言葉でして」
「子に関しては、出来なければ私の親族からの養子も考えていると伝えた筈だが?」
「それよりも、ご自身の子の方が宜しいのでは?」
「そうですわよ! ジョセリンならウォレンと血も繋がっておりますし、親戚から養子を取るより——」
「ほう?」
イサーク様のたった一言で、その場が凍り付くかと思った。
威嚇のフェロモンは出していない筈なのに父様も母様も黙り、ジョセリンとオクトーの様に顔色を悪くして小刻みに震え出した。
それ程に怒りを含んだ冷え切った声だった。
「それが、お前達の考えか。娘にもそう唆したのか? もう一度、ウォレンから夫を寝取れ、と。そして、私にはそこで土下座して震えている男と同じ事をしろと言うのか? 番った夫がいる身で、あろう事か義理の妹と不義の子を儲けて番を捨てた。その男がウォレンにした仕打ちと同じ事を私にやれ、と!?」
「めめめめめ滅相もございません!!! その様なつもりでは!!」
そんなつもりじゃ無ければ、どんなつもりであんな事を言ったんだ。
イサーク様の憤怒の声に父様と母様は膝を折り、オクトーと同じ様にその場で跪いた。
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