麗しい夫を持った妻の苦悩。押しかけ妻の自覚はありますが浮気は許しません。

沙橙しお

文字の大きさ
上 下
19 / 22

19.お仕置き?!※

しおりを挟む
「さて、話は終わった。これからは夫婦の時間だ」

「ん?」

 メイナードは早業でエルシィをベッドに押し倒した。あれ~? 今そんな空気じゃなかったはずなのに。気付けばガウンをひん剥かれて丹念に全身を愛撫され準備をされた。そして気付けばエルシィは横になっているメイナードの上に跨っていた。彼の硬い腹筋に手をついて途方に暮れている。

「さあ、頑張って挿れて」

 いつもなら気持ち良くなったところで彼と繋がるのにお預けをされた。ひ、ひどい……。

「む、むりぃ~」

 メイナードはじっとエルシィを見上げている。彼の剛直は臨戦態勢なのだが自分で挿れるのって難しい。たぶんここだという場所に宛がうのだけど恐怖心からか腰が引けて剛直がつるんと逃げる。早く欲しいのにじれったい!!

「エルシィ。一人で楽しまないで私も気持ちよくしてくれ」

 メイナードにお仕置として気持ち良くしてくれと言われた。いつも気持ち良くしてもらっているから私とてやぶさかではない、のだが……。

「いま頑張っているからもう少し待ってて……」

 再び剛直を優しく掴み腰を浮かせる。そして今度こそ――。

「あん」

「くっ」

 また逃げられた。しかも花弁をかすめて感じてしまった。これはもう、どうやったら挿れられるのか分からない。足が疲れたよお。
 メイナードを見れば眉を寄せ歯を食いしばっている。彼も苦しいらしい。それならばと甘えた声で懇願する。

「お願い。メイナード」

「……これは宿題にする」

 そう言うと彼は体を起こしエルシィ―を横たえた。そして片足を肩に担ぐと剛直をズブンと勢いよく入れた。

「ああああああーーーーー!」

 エルシィは背を仰け反らした。白い世界に放りこまれる。待ち焦がれた熱い圧迫感に胎内が歓喜する。

「エルシィ!」

 メイナードはすぐに激しく腰を打つ付ける。彼は冷静さを失っているのではと思うほど夢中なのに、角度を微調整しながらエルシィの感じるところを責める。まさに匠の技!

「あっあっあ……あああん……」

 再び快感に腰を震わせる。大きいものがくる。足先が丸まり体が仰け反るとメイナードも低くうなりながら腰を押し付けエルシィの中に熱い飛沫を放つ。ドクドクと聞こえるような勢いでお腹の中が満たされる。

 エルシィがビクンビクンと震えているとメイナードは大きな胸を両手で包み込んで優しく揉む。指が器用な動きで固くなった先端をあやす。それが気持ち良くて胎内のメイナードをぎゅっと締め付けたのが自分でも分かった。メイナードは深い息を吐いた。

 ――ああ、この人が好き――。

「メイナード。愛してるわ」

 メイナードはまさに驚愕という表情を浮かべたがすぐに泣き笑いのような顔になった。もっと早く素直になって彼に伝えればよかった。エルシィは彼の首に手を伸ばし顔を引き寄せた。そして自ら口付けを強請る。

「エルシィ。私もだ。愛してる」

 唇が優しく重なる。角度を変えふにふにと触れ合う。

「ふふふ」

 少しくすぐったくて笑ってしまった。

「余裕だな?」

 メイナードは不敵に口角を上げると口付けを再開した。それは深くなり舌を絡ませていく。エルシィも拙いながらに必死に応えた。息が苦しくて角度を変えながらも夢中になっていた。だって今二人は上も下も繋がってひとつになっている。彼の心も手に入れたと実感するといつもよりもずっと全身の感度がよくなった気がする。

(ああ、嬉しい)

 彼は私のものだ。そして私も彼のもの。
 唇を離すとメイナードは再び腰を揺らし始めた。今度はゆっくりとエルシィを味わうように、そしてエルシィを高めるように。甘い快感に浸り切なく啼けば再びメイナードの腰遣いが激しくなる。ベッドがギシギシと荒々しく悲鳴をあげている。

「あっあっ、もっと、メイナード」

「いいよ、私のエルシィ。君の望むだけあげよう」

「あああっあああ…………」

 彼の低くて色気のある声が耳を犯すとあっという間に高みに昇る。再び白い世界に包まれエルシィの意識は飛んだ。

 遠ざかる意識の中でメイナードを満足させられるお仕置の宿題ってどうすればいいのかしらと頭の中をよぎったのだった。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな
恋愛
 伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。  そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。  その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。  そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。  ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。  堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

処理中です...