上 下
3 / 22

3.妻は夫に寝込みを襲われる※

しおりを挟む
 私たちは愛し合って結婚したわけじゃない。だから夜会で側にいてくれないのは仕方がない。望んで娶った愛してもいない妻の側に四六時中いては息がつまるだろう。夜会くらい羽を伸ばしたくなるのも当然だ。エルシィはどうしても耐えられなくなれば離婚することも頭の隅に入れている。でも今はまだ駄目だ。なぜなら辺境に小麦の栽培のノウハウをという話は建前で別の理由があって結婚した。だからまだ離婚できない。何よりも本心では彼を好きで別れたくない――。



「ああん……」

「んっんん……」

 何だか艶めかし女性の声がする。もしかして誰かが致している最中? 喘ぎ声が聞こえる……。まさかメイナードが女性を連れ込んでいるとか?!

 いや、いや。自分は寝ているはずだからこれは夢だ。夢でそんな不埒な声が聞こえるということは、もしかして自分は欲求不満なのだろうか。

 ああ、なんだか気持ちいい……。もっと……。そう考えた瞬間まるで全身を雷に打たれたかのような衝撃が走る。背中が弓なりに反り腰がガクガクと震える。

「あっあああああーーーー」

 目を開ければ部屋は明るかった。何が起こったかよく分からないまま、はあはあと酸素を取り込む。

(なんで? 今のって……イッたみたいな? どうして?)

「エル。起きたのか?」

 頭をもたげ声のする足元の方へ視線を向ければ自分はなんと足を広げている。
その間にメイナードがいた。ええっ? なんで、どうして。しかも自分は全裸で彼の手で足をМ字に固定されている。明るい部屋で恥ずかしい格好をしていた。メイナードと目があった瞬間彼はニヤリと笑い顔を下に向けエルシィの足の間に埋めた。すぐにそこから背筋に快感が走る。

「ああん。なんでぇ~」

 彼は蜜口に吸い付いた。そして花弁をその熱い舌で上下にねっとりとなぞる。大きな快感が繰り返し襲う。あそこから蜜が溢れていることに気付いた。ぴちゃぴちゃといやらしい音が聞こえる。エルシィは腰を揺らし喘いでしまう。

「あっあっああああ……ああ……あん……」

 メイナードに口淫されている!
 快感に耐えて両肘をついて体を少し起こせばメイナードはエルシィを上目遣いで見つめながら愛撫を繰り返す。現状を認識した途端、体が快感をダイレクトに拾って再び愛液が溢れた。目線を胸へ移せば先端はすっかり硬くピンと立ち上がってぬらぬらと光っている。どうやらすでに愛撫を受けていたようで直視すればその卑猥さに恥ずかしくなる。

「な、なんで……あん……」

「エル。私はいい子で待っていてと言ったはずだ。護衛もつけずに一人で帰ったね。君がいないから心配して探し回った私の身にもなってくれ」

「しんぱい?」

 彼がエルシィを心配? 信じられるもんか。自分を放置して女性たちとダンスに夢中だったくせに。

「悪い子にはお仕置きだよ。エルシィ?」

 メイナードが悪いのだから自分がお仕置きされる謂れはない。むしろこっちがお仕置きをしたいんだけど! と言いたかったのだが――。
 メイナードは素早く体を起こすとすっかりと硬く勃ちあがった自身の剛直をエルシィの蜜口に早急に沈めていく。

「いや、無理!」

 とっさに叫ぶ。メイナードのそれは凶悪なまでに大きい。エルシィはメイナード以外と体を合わせたことがないので他の男性と比較したことはないが大きいと確信している。初めての時はそれを受け入れるのは苦しく痛みもあり物凄い圧迫感があった。彼は体を重ねる時は丹念に解してくれるが、準備なしに受け入れることは無理だ。そう思い拒絶の言葉を発した。
 だがエルシィの体は何の抵抗もなくメイナードの剛直を受け入れていく。むしろ歓喜して迎え入れるようだった。あっというまに二人は隙間なく密着し剛直はエルシィの中に収められた。

「あっ、うそ……」

「準備はしたから大丈夫なはずだ。苦しくないだろう?」

 苦しいどころか気持ちいい。お仕置じゃなくてご褒美? それにしてもこれほど準備が整うまで愛撫されていたのにぐっすり眠っていたのは不覚だ。あ、そうか。ホットワインを飲んで気持ち良く眠ったんだ。胎内を満たす馴染んだ彼の体とその温度にうっとりとしてしまう。

「イイ……」

 寝ぼけ眼で本心を漏らす。メイナードは不敵に口角を上げる。
 苦しくもなければ痛くもない。それどころかものすごく気持ちがいい。膣壁はもっとと強請るように蠕動した。自分の中にいる彼の形が分かってしまいそうだ。メイナードは眉間を寄せ何かに耐えるように歯を食いしばっている。その顔を見たら無性に愛おしく感じ無意識に腰を揺らした。メイナードは嬉しそうに目を細めエルシィの細い腰を掴み揺さぶる。

「あ、あ、ああっ――!!」

 激しい律動にエルシィはあっという間に高みに昇った。背を弓なりにしてガクガクと痙攣する。それなのにメイナードは容赦なく繰り返し穿つ。どうにかなってしまいそうなので止まってくれと訴える。

「とまって……」

「駄目だ。これはお仕置きだからね」

 無情な拒否の言葉を放つと彼は強く奥を抉る。全身が快楽で震える。気持ち良すぎて苦しい。
 メイナードの顔に汗が流れエルシィのお腹に落ちる。彼はいつもの余裕をどこかに置いてきたように夢中でエルシィの中をかき回す。切羽詰まった顔を自分がさせていると思うと心が満たされる。

「エルシィ、エル……」

「ああ、気持ちいい……ああん……」

 エルシィの理性はとっくに溶けてなくなり快感に容易く屈した。メイナードから与えられるものに応えるようにエルシィの膣壁はうねうねと剛直に子種を強請る。

「エルシィ、出すぞ」

「あっだめ、あっ、出して、欲しい!」

 もはや何を言っているのか自分でも分からない。次の瞬間、お腹の中に熱い飛沫が放たれた。エルシィを支配するほど熱いものが奥へと注がれる。同時に胸が満たされる。

 メイナードは荒い息を鎮めると体を屈めてエルシィに口付ける。応えるようにそっと唇を開けばその隙間からメイナードの舌が口内をそっと探る。

「んんっ」

 エルシィの感じる上顎の裏をゆっくりとなぞる。連動するようにお腹の奥がきゅうとなる。膣壁も激しく蠕動を再開するとメイナードの剛直はすでに臨戦態勢に復活していた。

(嘘でしょう。もう復活したの? 早すぎる~)

 メイナードは口付けを深くしながら腰を緩く動かす。そうするとゆったりとした快感が広がる。じわじわと程よい快感が体中に伝播していく。少しもどかしく感じるのにこのままでいて欲しいとも思う。
 メイナードが唇を離すと腰の動きを止めた。自分を見つめる目が獲物を捕らえた肉食動物のようにギラギラとしている。

「エルシィ。腰が揺れている。もっと欲しいのか?」

「ちょうだい」

 甘えるように強請ればメイナードは目を丸くして天を仰いだ。

「これはずるいだろう……」

「はやく~」

 よく分からないけど催促すればメイナードは肩を竦め剛直を抜こうとした。ムッとして思わず睨む。欲しいって言ったのに酷い。自分の体は続きを期待するほど高められてしまったのにメイナードは止めてしまえるほど冷静なのだ。エルシィはメイナードを逃がすまいと両足でホールドした。だってお腹の奥は疼いている。

「おねがい……メイ……もっと」

「っ!」

 メイナードはするりとエルシィの絡めた足を解く。なんで。ひどい。もう、泣きそうだ。ところがメイナードは止めたわけではなかった。その足を両肩に担ぎエルシィの腰を強く掴んだ。そして律動を再開する。欲しかったものが与えられた。彼はエルシィの感じるところを何度もかすめ奥を侵略する。気が狂いそうな快感がやってきた。

「ああ、ああああぁぁっーーーーーー」

 エルシィは腰を浮かせ更に深くなった結合に耐えきれなく絶頂した。何も見えないほどの真っ白な世界にいる。感じ過ぎてその世界から戻れない。体が痙攣しているのにメイナードはさらに荒々しくエルシィの中を蹂躙する。メイナードが動くたびに先ほど彼が放った白濁とエルシィが溢す蜜がぐちゅぐちゅと飛び散る。エルシィはひたすら喘ぎ続ける。

「ああぁぁ……んんっ! もう…………ダメ……っ……ああっあぁぁ!!」

 エルシィの限界を無視してメイナードは自身が果てようと追い込みをかける。容赦なさすぎ。鬼畜!
 
「エル、エル! 愛してる」

 メイナードは苦しそうに自分を呼ぶ。嬉しくなって思わず笑みを浮かべた瞬間、膣内が激しくメイナードの剛直を締め上げた。それに応えるようにメイナードが再びエルシィの胎内に熱い飛沫を叩きつける。

(熱い……)

 疲れ切って朦朧としたエルシィはそのままゆっくりと目を閉じた。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

彼の子を身篭れるのは私だけ

月密
恋愛
『もう一度、触れさせて欲しい』『君にしか反応しないんだ』 *** 伯爵令嬢のリーザは、一年前に婚約者に浮気された挙句婚約破棄され捨てらて以来、男性不信に陥ってしまった。そんな時、若き公爵ヴィルヘルムと出会う。彼は眉目秀麗の白銀の貴公子と呼ばれ、令嬢の憧れの君だった。ただ実は肩書き良し、容姿良し、文武両道と完璧な彼には深刻な悩みがあった。所謂【不能】らしく、これまでどんな女性にも【反応】をした事がない。だが彼が言うにはリーザに触れられた瞬間【反応】したと言う。もう自分に一度触れて欲しいとリーザは迫られて……。

王女の朝の身支度

sleepingangel02
恋愛
政略結婚で愛のない夫婦。夫の国王は,何人もの側室がいて,王女はないがしろ。それどころか,王女担当まで用意する始末。さて,その行方は?

【完結】妖精姫と忘れられた恋~好きな人が結婚するみたいなので解放してあげようと思います~

塩羽間つづり
恋愛
お気に入り登録やエールいつもありがとうございます! 2.23完結しました! ファルメリア王国の姫、メルティア・P・ファルメリアは、幼いころから恋をしていた。 相手は幼馴染ジーク・フォン・ランスト。 ローズの称号を賜る名門一族の次男だった。 幼いころの約束を信じ、いつかジークと結ばれると思っていたメルティアだが、ジークが結婚すると知り、メルティアの生活は一変する。 好きになってもらえるように慣れないお化粧をしたり、着飾ったりしてみたけれど反応はいまいち。 そしてだんだんと、メルティアは恋の邪魔をしているのは自分なのではないかと思いあたる。 それに気づいてから、メルティアはジークの幸せのためにジーク離れをはじめるのだが、思っていたようにはいかなくて……? 妖精が見えるお姫様と近衛騎士のすれ違う恋のお話 切なめ恋愛ファンタジー

【R18】王と王妃は側妃をご所望です。

とらやよい
恋愛
王太子妃になるべく厳しく育てられた侯爵令嬢イエリンだったが、努力の甲斐なく彼女が王太子妃選ばれることはなかった。 十代で夢破れ第二の人生に踏み出しても、見合いすら断られ続け結婚もできず六年が経過した。立派な行き遅れとなったイエリンにとって酒場で酒を飲むことが唯一の鬱憤の捌け口になっていた。 鬱々とした日々の中、ひょんなことから酒場で出会い飲み友になったアーロン。彼の存在だけが彼女の救いだった。 そんな或日、国王となったトビアスからイエリンを側妃に迎えたいと強い申し入れが。 王妃になれなかった彼女は皮肉にも国王トビアスの側妃となることになったのだが…。 ★R18話には※をつけてあります。苦手な方はご注意下さい。

【完結】貴方を愛するつもりはないは 私から

Mimi
恋愛
結婚初夜、旦那様は仰いました。 「君とは白い結婚だ!」 その後、 「お前を愛するつもりはない」と、 続けられるのかと私は思っていたのですが…。 16歳の幼妻と7歳年上23歳の旦那様のお話です。 メインは旦那様です。 1話1000字くらいで短めです。 『俺はずっと片想いを続けるだけ』を引き続き お読みいただけますようお願い致します。 (1ヶ月後のお話になります) 注意  貴族階級のお話ですが、言葉使いが…です。  許せない御方いらっしゃると思います。  申し訳ありません🙇💦💦  見逃していただけますと幸いです。 R15 保険です。 また、好物で書きました。 短いので軽く読めます。 どうぞよろしくお願い致します! *『俺はずっと片想いを続けるだけ』の タイトルでベリーズカフェ様にも公開しています (若干の加筆改訂あります)

愛されていたのだと知りました。それは、あなたの愛をなくした時の事でした。

桗梛葉 (たなは)
恋愛
リリナシスと王太子ヴィルトスが婚約をしたのは、2人がまだ幼い頃だった。 それから、ずっと2人は一緒に過ごしていた。 一緒に駆け回って、悪戯をして、叱られる事もあったのに。 いつの間にか、そんな2人の関係は、ひどく冷たくなっていた。 変わってしまったのは、いつだろう。 分からないままリリナシスは、想いを反転させる禁忌薬に手を出してしまう。 ****************************************** こちらは、全19話(修正したら予定より6話伸びました🙏) 7/22~7/25の4日間は、1日2話の投稿予定です。以降は、1日1話になります。

クーパー伯爵夫人の離縁

桃井すもも
恋愛
クーパー伯爵夫人コレットは離縁を待つ身である。 子を成せず夫からの愛も無い。 夫には既に愛を覚える女性がいる。 離縁された後、独り身になっても生家との縁は切れており戻る場所は無い。 これからどう生きようか。 コレットは思案する。 ❇相変わらずの100%妄想の産物です。 ❇妄想遠泳の果てに波打ち際に打ち上げられた妄想スイマーによる寝物語です。 疲れたお心とお身体を妄想で癒やして頂けますと泳ぎ甲斐があります。 ❇座右の銘は「知らないことは書けない」「嘘をつくなら最後まで」。 ❇例の如く、鬼の誤字脱字を修復すべく激しい微修正が入ります。 「間を置いて二度美味しい」とご笑覧下さい。

皇妃は寵愛を求めるのを止めて離宮に引き篭ることにしました。

恋愛
ネルネ皇国の后妃ケイトは、陰謀渦巻く後宮で毒を盛られ生死の境を彷徨った。 そこで思い出した前世の記憶。 進んだ文明の中で自ら働き、 一人暮らししていた前世の自分。 そこには確かに自由があった。 後宮には何人もの側室が暮らし、日々皇帝の寵愛を得ようと水面下で醜い争いを繰り広げていた。 皇帝の寵愛を一身に受けるために。 ケイトはそんな日々にも心を痛めることなく、ただ皇帝陛下を信じて生きてきた。 しかし、前世の記憶を思い出したケイトには耐えられない。命を狙われる生活も、夫が他の女性と閨を共にするのを笑顔で容認する事も。 危険のあるこんな場所で子供を産むのも不安。 療養のため離宮に引き篭るが、皇帝陛下は戻ってきて欲しいようで……? 設定はゆるゆるなので、見逃してください。 ※ヒロインやヒーローのキャラがイライラする方はバックでお願いします。 ※溺愛目指します ※R18は保険です ※本編18話で完結

処理中です...