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23.今度こそ(ハリスン)
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ハリスンはクラム王国の王子として生まれた。王族として傅かれながら周りの期待に応え、模範的な品行方正な王太子として過ごし、自分に相応しい然るべき婚約者を得た。
婚約者となるエイマーズ公爵令嬢ルシンダと初めて顔を合わせたとき、雷に打たれたような衝撃を受けた。
(マリオン!!)
唐突に前世の記憶が蘇った。
ルシンダは赤い髪にエメラルドグリーンの瞳、儚げでマリオンそっくりの顔だった。雰囲気は明るくどこか影を感じるマリオンとは違うが見た目だけならマリオンそのものだ。その日は混乱しながらも喜びが胸の中を支配した。
(神は私にもう一度マリオンとやり直すチャンスを下さったのか!!)
あの頃の私は未熟で上手く立ち回れなかった。彼女からの言葉を待っていたが、それでは駄目なのだ。自分から愛を告げるべきだった。そうすればマリオンだってクリフトンの思いに応えただろう。
前世の懺悔を込めて今生こそマリオンを幸せにしよう。ルシンダの様子を見る限り彼女は前世の記憶がないようだ。前世では見ることのなかった無邪気な笑顔、自分に甘える仕草、何よりもルシンダは気持ちを言葉にしてくれる。
「ハリスン様が大好きです!」
「私もルシンダが好きだよ」
気持ちが通い合うとはこんなに心が浮き立つものなのか。ふわふわとした雲の上を歩いているようで楽しい。未来はハリスンにとって素晴らしいものになるはずだった。違和感を抱くようになったのは十七歳を過ぎ本格的に二人で公務を始めた頃だ。
「ルシンダには難しいお話はよくわかりません」
視察先の地方の河川の工事現場での説明にルシンダは頬を膨らませた。ハリスンは頭を抱えたくなった。別に理解できなくていい。ハリスンだって全てを理解しているわけではない。ただこの工事は王家主導だと知らしめるために来ている。笑みを浮かべ「ご苦労様」ということがそれほど難しいことなのか?
ひとつ気になると次も気になる。夜会の振る舞いで見過ごせない場面を見た。
「まあ、アリア様のドレスはルシンダ様と同じ色ですわ。ちょっと配慮が足りないのではないかしら?」
「いいのよ。私は気にしていないわ」
ルシンダの取り巻きが一人の令嬢を囲み文句を言っている。ルシンダは口ではそう言いながら手に持っていた葡萄ジュースのグラスを傾けその女性のドレスにかけた。
「あ……」
「あら、ごめんなさい。手が滑ってしまったわ。ドレスは弁償するから我が家に請求して下さいね」
優しそうな声音で目は令嬢を睨みつけている。ドレスの色が同じだといってもデザインは違う。それにルシンダのドレスの方が遥かに高級で比べようもないのにそんなことで不機嫌になるなんて理解できない。もちろんルシンダはハリスンが見ていたことに気付いていない。
これがマリオンか? いくら生まれ変わってもこれほど性格が違うものになるのか。それ以降も注意深くルシンダを観察していたが次第に彼女の言動にある既視感を覚える。ライラだ。ライラによく似ている……。男性には媚びるように甘い声ですり寄る。自分が嫌いな女性には嫌がらせをする。
愕然とした……。もしルシンダがマリオンの生まれ変わりであっても受け入れられない。それでも婚約者だ。今さら正当な理由なく解消など出来ない。ハリスンは考えた。
(まだ、若くて未熟なだけだ。前世でマリオンは気苦労が多かった。今世では家族から愛され甘やかされているから仕方がない。年齢と共にしっかりしてくる。もう少し見守ってみよう)
「ハリスンさまあ。妃教育、難し過ぎてもう嫌です! ハリスン様から王妃様にお願いして下さいませんかあ?」
鼻にかかった甘い声が煩わしい。それでも優しく諭すように言った。
「これはルシンダが身につけるべき知識だろう?」
ルシンダは上目遣いで瞳を潤ませ悲しそうに眉を下げた。
「ハリスン様は私の味方ではないのですか?」
そういう問題ではない。彼女はもうすぐ十八歳で社交界では成人同様の扱いを受けるのに、まるで幼女と話しているようだ。
「もちろん味方だけどこれは君の仕事なんだ」
「え――。でもお父様は難しいことは臣下にさせればいいって言っていたわ。私は民が安心できるようにいつも笑顔でいることが仕事だって」
「……」
前世でライラも同じようなことを言っていたのを思い出した。
『難しいことはできる人がすればいいのよ。私は笑顔でみんなを幸せにするのが仕事なの!』
見た目はマリオンなのに内面がライラに見えるようになった。そうなると嫌悪感しかない。
ある日、一人で隣国に行く機会があった。その国に王子が生まれ祝いの品と国王からの祝辞を伝えに行った。それを無事に済ませるとお忍びでさらに隣国に足を延ばした。他国の文化を学ぶためという建前だったが本音ではルシンダにうんざりしていて帰国をのばす口実だった。
「平民のための学校? そんなものがあるのか」
護衛を連れて商家の息子のような格好で王都内を見て周ると真新しい建物があった。そこは平民が無償で学べる学校らしい。子供たちの歌う声が聞こえてくる。活気があり楽しそうだ。
「シンシアさま~」
「みんな上手だったわ」
子供と会話をする涼やかな女性の声の方を見ればそこには美しい女性が立っていた。凛として気品があり優し気な表情が温かい。ブラウンの髪に紅茶色の瞳、顔立ちは正統派の美人だ。
「まさか……マリオン?」
見た目はマリオンと似通ったところはない。雰囲気だって明るく笑顔でマリオンの面差しはないのに、彼女の魂はマリオンだとハリスンの心が感じ取った。
(何故こんなところにマリオンがいる? どうして違う国に生まれ変わったんだ?)
でもこれなら納得がいく。ルシンダはマリオンじゃなかった。たまたまマリオンによく似た外見をしていたので間違えてしまった。ハリスンは安堵するとその間違いを正さなければと考えた。
あの女性をすぐにでも攫ってしまいたかったが周りには多くの護衛がいる。きっとそれなりの身分だ。高位貴族なら慈善活動をして当然だし、心優しいマリオンの生まれ変わった姿だと思えば自然なことに思えた。お忍びで来て一目惚れをしたことにして求婚しよう。
(私は王太子だ。他国からとはいえ王族からの婚約の申し込みを無下には出来ないはずだ。あとは彼女の身分が問題だ。爵位が釣り合うかどうか……いざとなれば養子縁組などで何とでもなる)
ハリスンは今度こそ本当の運命の再会だと信じた。前世でマリオンを死なせてしまった報いで、きっと神様は意地悪をして遠回りをさせたのだ。今度はもう間違えない。部下に彼女の調査を命じハリスンは帰国をした。
婚約者となるエイマーズ公爵令嬢ルシンダと初めて顔を合わせたとき、雷に打たれたような衝撃を受けた。
(マリオン!!)
唐突に前世の記憶が蘇った。
ルシンダは赤い髪にエメラルドグリーンの瞳、儚げでマリオンそっくりの顔だった。雰囲気は明るくどこか影を感じるマリオンとは違うが見た目だけならマリオンそのものだ。その日は混乱しながらも喜びが胸の中を支配した。
(神は私にもう一度マリオンとやり直すチャンスを下さったのか!!)
あの頃の私は未熟で上手く立ち回れなかった。彼女からの言葉を待っていたが、それでは駄目なのだ。自分から愛を告げるべきだった。そうすればマリオンだってクリフトンの思いに応えただろう。
前世の懺悔を込めて今生こそマリオンを幸せにしよう。ルシンダの様子を見る限り彼女は前世の記憶がないようだ。前世では見ることのなかった無邪気な笑顔、自分に甘える仕草、何よりもルシンダは気持ちを言葉にしてくれる。
「ハリスン様が大好きです!」
「私もルシンダが好きだよ」
気持ちが通い合うとはこんなに心が浮き立つものなのか。ふわふわとした雲の上を歩いているようで楽しい。未来はハリスンにとって素晴らしいものになるはずだった。違和感を抱くようになったのは十七歳を過ぎ本格的に二人で公務を始めた頃だ。
「ルシンダには難しいお話はよくわかりません」
視察先の地方の河川の工事現場での説明にルシンダは頬を膨らませた。ハリスンは頭を抱えたくなった。別に理解できなくていい。ハリスンだって全てを理解しているわけではない。ただこの工事は王家主導だと知らしめるために来ている。笑みを浮かべ「ご苦労様」ということがそれほど難しいことなのか?
ひとつ気になると次も気になる。夜会の振る舞いで見過ごせない場面を見た。
「まあ、アリア様のドレスはルシンダ様と同じ色ですわ。ちょっと配慮が足りないのではないかしら?」
「いいのよ。私は気にしていないわ」
ルシンダの取り巻きが一人の令嬢を囲み文句を言っている。ルシンダは口ではそう言いながら手に持っていた葡萄ジュースのグラスを傾けその女性のドレスにかけた。
「あ……」
「あら、ごめんなさい。手が滑ってしまったわ。ドレスは弁償するから我が家に請求して下さいね」
優しそうな声音で目は令嬢を睨みつけている。ドレスの色が同じだといってもデザインは違う。それにルシンダのドレスの方が遥かに高級で比べようもないのにそんなことで不機嫌になるなんて理解できない。もちろんルシンダはハリスンが見ていたことに気付いていない。
これがマリオンか? いくら生まれ変わってもこれほど性格が違うものになるのか。それ以降も注意深くルシンダを観察していたが次第に彼女の言動にある既視感を覚える。ライラだ。ライラによく似ている……。男性には媚びるように甘い声ですり寄る。自分が嫌いな女性には嫌がらせをする。
愕然とした……。もしルシンダがマリオンの生まれ変わりであっても受け入れられない。それでも婚約者だ。今さら正当な理由なく解消など出来ない。ハリスンは考えた。
(まだ、若くて未熟なだけだ。前世でマリオンは気苦労が多かった。今世では家族から愛され甘やかされているから仕方がない。年齢と共にしっかりしてくる。もう少し見守ってみよう)
「ハリスンさまあ。妃教育、難し過ぎてもう嫌です! ハリスン様から王妃様にお願いして下さいませんかあ?」
鼻にかかった甘い声が煩わしい。それでも優しく諭すように言った。
「これはルシンダが身につけるべき知識だろう?」
ルシンダは上目遣いで瞳を潤ませ悲しそうに眉を下げた。
「ハリスン様は私の味方ではないのですか?」
そういう問題ではない。彼女はもうすぐ十八歳で社交界では成人同様の扱いを受けるのに、まるで幼女と話しているようだ。
「もちろん味方だけどこれは君の仕事なんだ」
「え――。でもお父様は難しいことは臣下にさせればいいって言っていたわ。私は民が安心できるようにいつも笑顔でいることが仕事だって」
「……」
前世でライラも同じようなことを言っていたのを思い出した。
『難しいことはできる人がすればいいのよ。私は笑顔でみんなを幸せにするのが仕事なの!』
見た目はマリオンなのに内面がライラに見えるようになった。そうなると嫌悪感しかない。
ある日、一人で隣国に行く機会があった。その国に王子が生まれ祝いの品と国王からの祝辞を伝えに行った。それを無事に済ませるとお忍びでさらに隣国に足を延ばした。他国の文化を学ぶためという建前だったが本音ではルシンダにうんざりしていて帰国をのばす口実だった。
「平民のための学校? そんなものがあるのか」
護衛を連れて商家の息子のような格好で王都内を見て周ると真新しい建物があった。そこは平民が無償で学べる学校らしい。子供たちの歌う声が聞こえてくる。活気があり楽しそうだ。
「シンシアさま~」
「みんな上手だったわ」
子供と会話をする涼やかな女性の声の方を見ればそこには美しい女性が立っていた。凛として気品があり優し気な表情が温かい。ブラウンの髪に紅茶色の瞳、顔立ちは正統派の美人だ。
「まさか……マリオン?」
見た目はマリオンと似通ったところはない。雰囲気だって明るく笑顔でマリオンの面差しはないのに、彼女の魂はマリオンだとハリスンの心が感じ取った。
(何故こんなところにマリオンがいる? どうして違う国に生まれ変わったんだ?)
でもこれなら納得がいく。ルシンダはマリオンじゃなかった。たまたまマリオンによく似た外見をしていたので間違えてしまった。ハリスンは安堵するとその間違いを正さなければと考えた。
あの女性をすぐにでも攫ってしまいたかったが周りには多くの護衛がいる。きっとそれなりの身分だ。高位貴族なら慈善活動をして当然だし、心優しいマリオンの生まれ変わった姿だと思えば自然なことに思えた。お忍びで来て一目惚れをしたことにして求婚しよう。
(私は王太子だ。他国からとはいえ王族からの婚約の申し込みを無下には出来ないはずだ。あとは彼女の身分が問題だ。爵位が釣り合うかどうか……いざとなれば養子縁組などで何とでもなる)
ハリスンは今度こそ本当の運命の再会だと信じた。前世でマリオンを死なせてしまった報いで、きっと神様は意地悪をして遠回りをさせたのだ。今度はもう間違えない。部下に彼女の調査を命じハリスンは帰国をした。
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