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21.思わぬ僥倖(前世エレン)
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エレンはこの国の筆頭公爵家の娘として生まれた。いずれは王太子妃になることを両親は望み、幼いころから勉強に励み教養を身に着けその期待に応えてきた。
十歳になると王太子クリフトンと顔合わせをした。そして婚約者内定ということで妃教育が始まる。
最初の印象は優しくて穏やかな人。王子としての能力も高くその振る舞いも優雅だった。好みの男性ではないがもともと高位貴族の結婚相手は親の思惑で決まる。これは義務であり拒むことはできない。とりあえず悪い相手ではないと思った。ところが一緒に過ごすことが多くなると彼の粗が目についてくる。確かに学園などの成績は優秀だ。与えられた課題は完璧なのだが、彼はイレギュラーなことに対応出来ない人だった。そして自分が失敗や間違いをしたことを受け入れることが出来ない。自分のミスは側近の手配が悪いせい、だから側近のミスだと厳しく叱責する。周りの手柄は自分が導いたからだと自慢気にする。
(なんて狭量な男なの……)
エレンがクリフトンの間違いを指摘すれば目を吊り上げて睨んでくる。彼は自分が常に敬われる存在で完璧でなければ許せないのだ。側近に頭を下げられクリフトンがミスしたことを本人すら気付かないように、隣でエレンがフォローすることになった。
これが一生続くのかとうんざりしながら社交場ではクリフトンの隣で微笑む。
そんなとき隣国の王太子エイブラムと会った。エレンはクリフトンの婚約者と扱われていたので、その立ち位置で挨拶をした。彼の目は優しく自分を見ていた。そのことに胸が高鳴ったことを覚えている。
クリフトンが公務で城にいない時に代わりにエレンがエイブラムの相手をした。エレンはうっかり彼の間違いを指摘した。
(どうしよう。失礼だったわ。きっと小賢しい女だと思ったはずだわ)
「ブラックストン公爵令嬢は聡明ですね。あなたを婚約者に出来るクリフトンが羨ましいい。王太子の立場にいると間違いを指摘してくれる人間は少ない。だからといって自分自身で律することには限界がある。もし自分の隣にあなたがいればきっと自分を見失わないだろうな」
まさかそんな風に受け止められるとは思わなかった。不思議とエイブラムの言葉は特別に感じた。
「それは褒め過ぎです」
「そんなことはない! あなたは美しく頭がいい。機転も聞いて――」
「もう、やめてください」
エレンは顔を手で覆った。きっと真っ赤になっている。だってエレンはそこまで手放しに誉められたことがない。公爵令嬢ならば何でもできて当然だと思われているからだ。
気付いた時にはエイブラムを好きになっていた。でも叶わない恋。口に出すことも許されない。クリフトンといるとエイブラムと比べてしまう。なぜ自分は彼の自尊心を保つためにフォローしなければならないのかと苛立ち、つい遠慮なく指摘するようになってしまった。側近たちは顔を青ざめさせているが無視をした。そうするうちに段々と二人の仲は険悪になりまともに口を利かなくなっていった。
ある日、珍しく私室に呼び出された。クリフトンがエレンに公の場以外で話しかけるのはいつ振りか。向かいのソファーに座りながら「エレンと婚約はしない」と言ってくれないかとつい考えてしまった。
「エレン。君はエイブラムと結婚したくないかい?」
「えっ!!」
まるで自分の心を読んだかのようなことを言われ呆然とする。クリフトンは楽しげに話し出した。その提案は予想外なものだった。まさかがプライドの高いクリフトンが一目惚れをして必死になるなんて。でもエレンにとって魅力的な話だった。クリフトンはすでにエイブラムと話をつけていた。あとはエレンからも父に口添えをして欲しいと頼まれた。
「ええ。任せてちょうだい」
クリフトンを見直した。彼はエレンが思っていたより有能だったようで、あっという間に話をまとめエレンはエイブラムと婚約することが出来た。エレンは密かにクリフトンを見下していたことにこのとき気付いた。彼はきっとそれを敏感に感じ取っていてエレンを毛嫌いしていたに違いない。でも態度の悪さはお互いさまだ。それでもこの時ばかりはクリフトンに心から感謝した。
「私はなんて幸運なのかしら!」
慕っていた男性と結婚できる。自国で妃教育をほぼ終えているし、隣国は友好国で国内のことにも詳しいのでそれほど苦労しないはずだ。
自分に訪れた僥倖に感謝するも、マリオンに同情した。
彼女はおとなし性格だから王太子妃の立場はきっと荷が重い。今から妃教育を詰め込まれるのも大変だろうし、王妃はライラをお気に入りだから風当たりも強い。クリフトンは基本的に自己中心的なものの見方をするので、マリオンが苦しんでいても気付くかどうか疑問だ。それでも穏やかなマリオンならクリフトンの自尊心を刺激しないだろう。けれど常に彼の意志を探り先回りして態度で示すのは一朝一夕では出来ない。クリフトンは一見理想的な王子様だが、本当は傲慢で自分勝手だ。果たして二人はうまくやっていけるのか……。
それに父はエレンがクリフトンの婚約者になることを諦めたがこのまま引き下がるつもりはないようだ。エレンより五歳年下の従姉のアイリーンをゆくゆくはクリフトンの側室にさせるつもりでいる。エレンは二十歳でクリフトンより二歳年上だった。若い時の二歳差は大きい。クリフトンはそれも気に食わないようだった。マリオンはクリフトンの一歳下だから彼にとってちょうどいい。でも数年すればアイリーンも釣り合う歳になる。父はそれを狙っている。
エレンには何も出来ない。心の中でそっとマリオンを応援するだけだ。申し訳ないと思いながらエレンは隣国に嫁いで行った。
十歳になると王太子クリフトンと顔合わせをした。そして婚約者内定ということで妃教育が始まる。
最初の印象は優しくて穏やかな人。王子としての能力も高くその振る舞いも優雅だった。好みの男性ではないがもともと高位貴族の結婚相手は親の思惑で決まる。これは義務であり拒むことはできない。とりあえず悪い相手ではないと思った。ところが一緒に過ごすことが多くなると彼の粗が目についてくる。確かに学園などの成績は優秀だ。与えられた課題は完璧なのだが、彼はイレギュラーなことに対応出来ない人だった。そして自分が失敗や間違いをしたことを受け入れることが出来ない。自分のミスは側近の手配が悪いせい、だから側近のミスだと厳しく叱責する。周りの手柄は自分が導いたからだと自慢気にする。
(なんて狭量な男なの……)
エレンがクリフトンの間違いを指摘すれば目を吊り上げて睨んでくる。彼は自分が常に敬われる存在で完璧でなければ許せないのだ。側近に頭を下げられクリフトンがミスしたことを本人すら気付かないように、隣でエレンがフォローすることになった。
これが一生続くのかとうんざりしながら社交場ではクリフトンの隣で微笑む。
そんなとき隣国の王太子エイブラムと会った。エレンはクリフトンの婚約者と扱われていたので、その立ち位置で挨拶をした。彼の目は優しく自分を見ていた。そのことに胸が高鳴ったことを覚えている。
クリフトンが公務で城にいない時に代わりにエレンがエイブラムの相手をした。エレンはうっかり彼の間違いを指摘した。
(どうしよう。失礼だったわ。きっと小賢しい女だと思ったはずだわ)
「ブラックストン公爵令嬢は聡明ですね。あなたを婚約者に出来るクリフトンが羨ましいい。王太子の立場にいると間違いを指摘してくれる人間は少ない。だからといって自分自身で律することには限界がある。もし自分の隣にあなたがいればきっと自分を見失わないだろうな」
まさかそんな風に受け止められるとは思わなかった。不思議とエイブラムの言葉は特別に感じた。
「それは褒め過ぎです」
「そんなことはない! あなたは美しく頭がいい。機転も聞いて――」
「もう、やめてください」
エレンは顔を手で覆った。きっと真っ赤になっている。だってエレンはそこまで手放しに誉められたことがない。公爵令嬢ならば何でもできて当然だと思われているからだ。
気付いた時にはエイブラムを好きになっていた。でも叶わない恋。口に出すことも許されない。クリフトンといるとエイブラムと比べてしまう。なぜ自分は彼の自尊心を保つためにフォローしなければならないのかと苛立ち、つい遠慮なく指摘するようになってしまった。側近たちは顔を青ざめさせているが無視をした。そうするうちに段々と二人の仲は険悪になりまともに口を利かなくなっていった。
ある日、珍しく私室に呼び出された。クリフトンがエレンに公の場以外で話しかけるのはいつ振りか。向かいのソファーに座りながら「エレンと婚約はしない」と言ってくれないかとつい考えてしまった。
「エレン。君はエイブラムと結婚したくないかい?」
「えっ!!」
まるで自分の心を読んだかのようなことを言われ呆然とする。クリフトンは楽しげに話し出した。その提案は予想外なものだった。まさかがプライドの高いクリフトンが一目惚れをして必死になるなんて。でもエレンにとって魅力的な話だった。クリフトンはすでにエイブラムと話をつけていた。あとはエレンからも父に口添えをして欲しいと頼まれた。
「ええ。任せてちょうだい」
クリフトンを見直した。彼はエレンが思っていたより有能だったようで、あっという間に話をまとめエレンはエイブラムと婚約することが出来た。エレンは密かにクリフトンを見下していたことにこのとき気付いた。彼はきっとそれを敏感に感じ取っていてエレンを毛嫌いしていたに違いない。でも態度の悪さはお互いさまだ。それでもこの時ばかりはクリフトンに心から感謝した。
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