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9.愛しい婚約者(ブラッド)
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シンシアはソファーにもたれて目を閉じている。静かな寝息を立てていた。お茶とお菓子を食べてしばらくすると舟をこぎ出した。彼女も疲れているのだろう。
シンシアは私に頑張り過ぎだから休むように言うが、彼女こそ頑張り過ぎているのにその自覚がない。侍女からストールを受け取り冷えないようにかける。そっと隣に座り彼女のサラサラのブラウンの髪を一束掬いそっと口付けた。愛しい婚約者の寝顔を見ているだけで癒される。
そろそろ休暇を取らせてもらおう。数日くらいなら何とかなるはずだ。そして二人で湖畔にでも出かけてゆっくり休むつもりだ。確かに私が休まなければシンシアも休めない。
ブラッドはこの国のたった一人の王子で王太子の地位にいる。
自分の母とシンシアの母は学生時代からの親友だった。ブラッドが四歳の時、父のもとにバルフォア公爵が娘が生まれたと嬉しさ全開のだらしない顔で報告に来ていた。結婚してなかなか子供に恵まれなかった公爵にとって待望の第一子となる子供。母は親友の出産に大喜びをするとブラッドを連れて公爵夫人を労い生まれた子を祝うために意気込んで公爵邸に赴いた。
「シンシアよ。ブラッド様」
「シンシア……かわいい」
ブラッドはベビーベッドで眠る小さな乳児をそっと覗いた。丸い頬が赤くふくふくしている。手を伸ばし人差し指で頬を優しくツンと触れるとその子は目をぱっちりと開いた。そして紅茶色の澄んだ瞳でブラッドをじっと見た。次ににっこりと無邪気な笑顔を見せた。その瞬間ブラッドは前世を思い出した。頭の中をたくさんの記憶が襲う。一瞬息が止まりそうになる。でもすぐにたった一つの記憶以外は薄くなった。その一つがマリオンという名の女性のことだった。
(マリオン、この子はマリオンだ!)
不思議と混乱はしていなかった。ただ大切なことが鮮明になり、そのことだけしか考えられなかった。
マリオン……前世で愛しいと思った健気な少女のことだけ。そして確信していた。シンシアがマリオンの生まれ変わりであることを――。
(私たちは同じ時代に生まれ変わった。そして手の届くところにいる。ああ、神に感謝します!)
「ははうえ! ぼくシンシアとけっこんしたいです!!」
「ええ?!」
「まあ!!」
「あ゛あ゛!!」
母、公爵夫人。公爵の順である。ブラッドの急な結婚宣言に母と公爵夫人は目を丸くして驚き、公爵は睨みを利かせてブラッドを見下ろした。
前世で守れず非業の死を遂げた愛しい人と再会を果たせたなら、今度こそ一緒になって幸せになりたいと思うのは当然だ。ただ残念なことに記憶を思い出したところで四歳児には思慮が足りない。もちろん根回しもなく切望する気持ちのまま宣言した。待ちに待った生まれたばかりの娘を公爵が手放したくないのは当然だ。王のたった一人の子であるブラッドはすでに立太子をしている。
野心のある貴族なら王太子妃になれると諸手を上げて喜ぶだろうが、すでに権力がありこれ以上は面倒だから子供と静かに生活をしたいと望む公爵はあからさまに嫌がった。それに王太子妃なんて苦労ばかりだと首を振る。公爵は四歳児だからといって遠慮などなく小さな頭を押さえ「駄目だ!!」と言い放った。ブラッドはみるみるうちに瞳に涙をためた。
「うえ~ん!」
情緒はただの四歳児なので反対され悲しくなって大泣きをした。
(せっかく会えたのに、また離ればなれになってしまう……)
ベビーベッドのシンシアは周りの修羅状態など知らん顔できゃっきゃとはしゃいでいる。公爵は顔を顰め溜息をつき、母親同士は「あらあら」と苦笑いをした。
ブラッドは諦めなかった。四歳児はそれから毎日公爵邸を訪れ乳児にプロポーズを繰り返した。(今思えば毎日なんて周りに迷惑をかけてしまった)結局、公爵は根負けしてシンシアと友人として交流を持つことを許してくれた。そしてシンシアが十三歳になったときにブラッドと結婚したい意思があったら婚約を認めてくれることになった。
「ぼく、シンシアにすきになってもらえるようにがんばります!!」
ブラッドはシンシアが物心つく前からずっと側にいた。絵本を読んでかくれんぼもして遊んだ。もちろん自分自身の勉強もしっかりとこなした。そうでなければ大人を、とくに公爵を納得させられない。ブラッドはコンラッドの記憶を利用し何でも卒なくこなした。おかげで神童とまで言われるようになった。
シンシアは周りからの愛情をたくさん与えられ素直にすくすくと育った。もちろんブラッドも浴びせるほどの愛情を注いだ。とにかくシンシアは可愛い。笑ってくれるだけで天に召されそうになった。
公爵にもシンシアにも認めて欲しくてあらゆる努力をした。コンラッドの記憶は己を律するために役立った。王族、王太子であることにおごることなく周りを見ることができる。だが大人になり国を背負うという責任を自覚したときには正直戦慄した。前世では一騎士でしかなく自分と大切な人だけを守ることだけを考えていたが、王太子ともなれば国と民を背負う。いつも緊張し張り詰めていた。前世のコンラッドもブラッドも生真面目な性格だったので手抜きが出来ない。そんなときシンシアはブラッドの手を引き休ませる。「私の我儘に付き合って」という体で断れなくする。そうすると立ち止まり己を振り返り冷静になれる。
彼女の存在は余裕をなくし急くブラッドを落ち着かせてくれる。落ち込んでいる時には慰め鼓舞してくれる。そして包み込むような優しさで寄り添ってくれる。かけがえのない存在だ。本当はブラッドこそがシンシアを守りたいのに守ってもらっている気がする。
「シンシアが好きだ」
確かに一目でマリオンと気付き側にいて欲しいと思った。でも今はシンシアを愛しく思っている。マリオンだから好きなんじゃない。シンシアだから必要なんだ、好きなんだと言い切れる。溌溂として優しく、いつだって前向きで可愛い。惹かれないはずがない。シンシアとマリオンは別人だとよくわかる。きっと前世なんて思い出さなくても出会えればシンシアを愛した。でも前世の記憶のおかげで早く出会えることができた。
今の自分に前世の記憶は利用価値のある情報というだけで心を乱すものではない。あのときの悲しいことも苦しいことも、今の幸せが塗り替えてくれる。
「シンシア。愛しているよ」
ブラッドはシンシアの寝顔を見ながら幸せを噛みしめた。
シンシアは私に頑張り過ぎだから休むように言うが、彼女こそ頑張り過ぎているのにその自覚がない。侍女からストールを受け取り冷えないようにかける。そっと隣に座り彼女のサラサラのブラウンの髪を一束掬いそっと口付けた。愛しい婚約者の寝顔を見ているだけで癒される。
そろそろ休暇を取らせてもらおう。数日くらいなら何とかなるはずだ。そして二人で湖畔にでも出かけてゆっくり休むつもりだ。確かに私が休まなければシンシアも休めない。
ブラッドはこの国のたった一人の王子で王太子の地位にいる。
自分の母とシンシアの母は学生時代からの親友だった。ブラッドが四歳の時、父のもとにバルフォア公爵が娘が生まれたと嬉しさ全開のだらしない顔で報告に来ていた。結婚してなかなか子供に恵まれなかった公爵にとって待望の第一子となる子供。母は親友の出産に大喜びをするとブラッドを連れて公爵夫人を労い生まれた子を祝うために意気込んで公爵邸に赴いた。
「シンシアよ。ブラッド様」
「シンシア……かわいい」
ブラッドはベビーベッドで眠る小さな乳児をそっと覗いた。丸い頬が赤くふくふくしている。手を伸ばし人差し指で頬を優しくツンと触れるとその子は目をぱっちりと開いた。そして紅茶色の澄んだ瞳でブラッドをじっと見た。次ににっこりと無邪気な笑顔を見せた。その瞬間ブラッドは前世を思い出した。頭の中をたくさんの記憶が襲う。一瞬息が止まりそうになる。でもすぐにたった一つの記憶以外は薄くなった。その一つがマリオンという名の女性のことだった。
(マリオン、この子はマリオンだ!)
不思議と混乱はしていなかった。ただ大切なことが鮮明になり、そのことだけしか考えられなかった。
マリオン……前世で愛しいと思った健気な少女のことだけ。そして確信していた。シンシアがマリオンの生まれ変わりであることを――。
(私たちは同じ時代に生まれ変わった。そして手の届くところにいる。ああ、神に感謝します!)
「ははうえ! ぼくシンシアとけっこんしたいです!!」
「ええ?!」
「まあ!!」
「あ゛あ゛!!」
母、公爵夫人。公爵の順である。ブラッドの急な結婚宣言に母と公爵夫人は目を丸くして驚き、公爵は睨みを利かせてブラッドを見下ろした。
前世で守れず非業の死を遂げた愛しい人と再会を果たせたなら、今度こそ一緒になって幸せになりたいと思うのは当然だ。ただ残念なことに記憶を思い出したところで四歳児には思慮が足りない。もちろん根回しもなく切望する気持ちのまま宣言した。待ちに待った生まれたばかりの娘を公爵が手放したくないのは当然だ。王のたった一人の子であるブラッドはすでに立太子をしている。
野心のある貴族なら王太子妃になれると諸手を上げて喜ぶだろうが、すでに権力がありこれ以上は面倒だから子供と静かに生活をしたいと望む公爵はあからさまに嫌がった。それに王太子妃なんて苦労ばかりだと首を振る。公爵は四歳児だからといって遠慮などなく小さな頭を押さえ「駄目だ!!」と言い放った。ブラッドはみるみるうちに瞳に涙をためた。
「うえ~ん!」
情緒はただの四歳児なので反対され悲しくなって大泣きをした。
(せっかく会えたのに、また離ればなれになってしまう……)
ベビーベッドのシンシアは周りの修羅状態など知らん顔できゃっきゃとはしゃいでいる。公爵は顔を顰め溜息をつき、母親同士は「あらあら」と苦笑いをした。
ブラッドは諦めなかった。四歳児はそれから毎日公爵邸を訪れ乳児にプロポーズを繰り返した。(今思えば毎日なんて周りに迷惑をかけてしまった)結局、公爵は根負けしてシンシアと友人として交流を持つことを許してくれた。そしてシンシアが十三歳になったときにブラッドと結婚したい意思があったら婚約を認めてくれることになった。
「ぼく、シンシアにすきになってもらえるようにがんばります!!」
ブラッドはシンシアが物心つく前からずっと側にいた。絵本を読んでかくれんぼもして遊んだ。もちろん自分自身の勉強もしっかりとこなした。そうでなければ大人を、とくに公爵を納得させられない。ブラッドはコンラッドの記憶を利用し何でも卒なくこなした。おかげで神童とまで言われるようになった。
シンシアは周りからの愛情をたくさん与えられ素直にすくすくと育った。もちろんブラッドも浴びせるほどの愛情を注いだ。とにかくシンシアは可愛い。笑ってくれるだけで天に召されそうになった。
公爵にもシンシアにも認めて欲しくてあらゆる努力をした。コンラッドの記憶は己を律するために役立った。王族、王太子であることにおごることなく周りを見ることができる。だが大人になり国を背負うという責任を自覚したときには正直戦慄した。前世では一騎士でしかなく自分と大切な人だけを守ることだけを考えていたが、王太子ともなれば国と民を背負う。いつも緊張し張り詰めていた。前世のコンラッドもブラッドも生真面目な性格だったので手抜きが出来ない。そんなときシンシアはブラッドの手を引き休ませる。「私の我儘に付き合って」という体で断れなくする。そうすると立ち止まり己を振り返り冷静になれる。
彼女の存在は余裕をなくし急くブラッドを落ち着かせてくれる。落ち込んでいる時には慰め鼓舞してくれる。そして包み込むような優しさで寄り添ってくれる。かけがえのない存在だ。本当はブラッドこそがシンシアを守りたいのに守ってもらっている気がする。
「シンシアが好きだ」
確かに一目でマリオンと気付き側にいて欲しいと思った。でも今はシンシアを愛しく思っている。マリオンだから好きなんじゃない。シンシアだから必要なんだ、好きなんだと言い切れる。溌溂として優しく、いつだって前向きで可愛い。惹かれないはずがない。シンシアとマリオンは別人だとよくわかる。きっと前世なんて思い出さなくても出会えればシンシアを愛した。でも前世の記憶のおかげで早く出会えることができた。
今の自分に前世の記憶は利用価値のある情報というだけで心を乱すものではない。あのときの悲しいことも苦しいことも、今の幸せが塗り替えてくれる。
「シンシア。愛しているよ」
ブラッドはシンシアの寝顔を見ながら幸せを噛みしめた。
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