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3章

85話

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一郎達は2ヶ所の視察を行った上で解放軍と話を始める。

「廃村跡で決まりですかね…
モンスターを追い出して修理すれば使えますし、
あそこならばセントロイスの民達でも辿り着けるでしょう」

カインが真っ先に発言した。

一方で一郎は首を傾げ反論した。

「村の復興ならばそれで問題ないでしょう...
今回は国の立ち上げになります。
そしてセントロイスはこちらの存在がわかれば、すぐに戦争に発展する可能性があります。
よって守りやすい地形の盆地がいいと思われます」

「しかし今もセントロイスの住民達は教会や王族に苦しめられているのです。
一刻も早く救わなければ…リバーウッドはあくまでも一郎さんの役目は支援で私たちの方針に従ってください」

話がこじれてきた。

解放軍のリーダーとしては正しい振る舞いなのだろうが現実を見ていない様な気がする。

「わかりました。では、私達は物資の支援を行いますので後日リストを出してください。
それと解放軍の戦闘能力強化の為に教官をつれてきますので、参加者リストもお願いします」

解放軍との話し合いが終わった後、一郎は一人セントフリーの酒場で一杯引っ掛けていた。

ここは商人ギルドから近いこともあり商人の客が多い。

話の節々が聞こえてくるが主にリバーウッド方面との交易の話が多い。

セントロイスの町との交流は解放後、疎らになっている様だ。

一郎は酒と一緒に頼んだサラダと串焼きをつまみながらカウンターで食事を行う。

セントフリーはモハべ共和国に与する様になってから、リバーウッドに拠点を移動していた傭兵が戻ってきているそうだ。

 リバーウッドでは集団戦が主になっており、連携や協調性が重視されている。

事前の情報や対処方法が確立され始め、依頼の難易度が下がり報酬が少なくなってきている。

以前はシルバークラス傭兵団が受け持っていた討伐クエストも一つ下のブロンズクラスが傭兵団が事前の準備を行えば十分可能になってきた為である。

一度に大きく稼げる依頼は少なくなり、経験と実績を積み重ねて実力をつけた傭兵や依頼方法が合わない一部が報酬が高めのセントフリーに移動する傾向がある。

その為、セントフリーは近年モンスター素材とそれを利用した加工品が主な産業になっているそうだ。

地形の違いかセントフリーで加工された毛皮はリバーウッドでも評判であった。

「隣よろしいですか?」

隣には解放軍の一人ジャンヌが立っていた。

「えぇどうぞ」

カウンター越しに果実酒を頼み横に座った。

「一郎さん。私達解放軍は今後うまくいくのでしょうか。
民を解放することができるのか不安になってきました」

少しアルコールの入ったジャンヌは頬を少し赤め愚痴を零してきた。

「未来のことはわかりませんが、私たちは善処して行くだけですよ」

一郎はジャンヌの目を見ずに答える。

「でも一郎さんは廃村に国を立ち上げることに反対ですよね?」

ジャンヌは食い気味で言葉をかぶせてきた。

ここにくる前に結構飲んでいたのかもしれない。

正直、酔っ払いの相手をする気分ではないのだが依頼人の為、付き合わなければならない。

「個人的にはかなりの悪手だと思いますが依頼人の決定なので今は従いますよ」

「「今は」なんですね。私は一郎さんの言っていた盆地のほうがいいのですが私の力では湖のモンスターを倒すことができません。
個人的に一郎さんにあの湖の主を依頼することは可能ですか?」

ジャンヌは面白いことは言ってきた。

「仮に受けるとしてその報酬はいかほどですか?」

するとジャンヌは意を決して一郎に身を寄せ上目遣いで答える。

「私ではどうでしょうか?コレでも私はまだ清い体です。一郎さんの好みではありませんか?」

酔った勢いではなく真剣な目で答えてきた。

今の彼女に払える報酬は自分の身体だけであったのだろう。

その可憐な姿を自由に出来るのであれば靡く者もいるかもしれない。

「魅力的ではありますが私はつれを愛していますので、貴方を受け取ることはできません。
それではこうしましょう。
モンスターを倒した暁にはその素材と盆地の土地を半分所有させて頂いても宜しいですか?」

身を乗り出したジャンヌに笑顔を答える一郎であった。
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