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2章

73話

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ソルトロックの祝勝会が無事に終わり、用事をすませた一郎は活気を取り戻しつつあるソルトロックの街中を散策していた。

海での漁も本格的に再開され船着場はこれからさらに活気付くのだろう。

散策前に一朗は傭兵ギルドで報酬を受け取りに行った。

今回はあまり表立って行動しなかったので報酬はどの位になるか予想ができなかった。

そして作戦の一環とはいえ街の穀倉地帯を半分燃やしたり船着場を血の海にしたので過度な期待はしていない。

受付に問い合わせると別室に案内される。

しばらくするとソルトロックのギルドマスターがやってきた。

これはお説教タイムかな?

一朗は半ば覚悟しながら対応を待っていると

受付の職員が木の箱を机においた。

「これが一朗さんの今回の報酬です」

ギルドマスターの笑みが逆に怖い。

恐る恐る箱を開けるとなんと金貨がびっしりと詰まっていた。

その中には用紙と銀色のタグも入っていた。

「今回の防衛戦における報酬金貨100枚と傭兵ギルドのランクアップ認定書です。
その活躍に相応しいランク上げて起きました」

今回の功績でシルバーに昇格した。

罰金も特になく今回かかった経費を差し引いいてもしばらくは働かなくても大丈夫な金額を手に入れた。

その後このままソルトロックを拠点に活動しないかと誘われたが自宅がリバーウッドにある為、丁重に断った。

懐事情が暖かくなった一朗はマジッグバッグに報酬を入れると早速市場に足を運ぶ。

そして海の幸を買い漁った。

海の幸が手に入るのでリバーウッドの住民と海鮮バーベキューを行う為である。

口にあうかはわからないがまぁ不評ならマジックバッグに保管しておけばいいので問題はない。

うまくいけば新しい交易の品になり内陸のリバーウッドにも海産物が手に入りやすくなれば御の字である。

今後リバーウッドとソルトロックの間で行商が盛んになることが予想される。

ソルトロックは穀倉地帯が誰かさんのおかげで半分焼けてしまっている。

作物の安定をはかる為に他の街に頼るだろう。

そこで農業の生産が盛んなリバーウッド周辺は交易の相手としては相性が良い。

リバーウッドも内陸の為塩の安定供給の為にソルトロックからの商団が頻繁に来ることは有益である。

更にリバーウッド南区は物流を集める倉庫が数多くある為、その先にある鉱山で取れる鉄も取引が可能である。

鉄条網を作る為に鉄は欠かせないので今後はより密接な関係が構築できそうである。

 商談が通る様になればその途中の村にも金が落ち潤う。

 そして商団の護衛の仕事ができ傭兵の新しい稼ぎの場ができる。

 今後二つの町周辺はより物と人の動きが活発になるだろう。

 そして今後さらなる国力の向上に一郎は思いを馳せながら買い物を続けた。

しばらく町をぶらつくとバザー会場に出た。

中古の武器や鎧錬金術の素材なども売っている。

店舗を持たない難民の貴重な収入源の様である。

さながら闇市の様でもあったが、掘り出し物がないか一郎は鑑定を使用しながら
店を回った。

すると一つの杖が目に止まる。

鑑定の結果は次の通りであった。

========================
幻影の杖
己の思い浮かべ映像を幻影として出現することができる。
========================

商人は以前遺跡調査行なっていた傭兵から買い取ったものだそうだ。

なんでも幻を目の前に出すだけで戦闘の役に立たない為、売れ残ってしまうそうだ。

一郎はその杖の購入を決める。

商人の言い値で金貨10枚ほど渡した。

一朗の予想通りの仕様なら安い買い物である。

杖を購入した一郎は早速手頃な空き地で幻影の杖の実験を行う。

範囲は半径5メートル映像は思い浮かべ魔力を杖に流し込むと白い雲の様な物が出て次第に形と色がつき幻影が完成する。

幻影自体に攻撃能力はなく見えるだけ、思い浮かべるものを鮮明にしなければモザイクがかかった様な形になってしまった。

確かに囮にしては出せる範囲は狭すぎて戦闘で使うのは難しいのかもしれない。

「だいたい予想通りの結果だ。
これプロジェクターだ...」

武器とは違う用途に心弾ませる一朗であった。
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