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2章
72話
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「いやーようやく終わりましたね旦那」
「えぇ無事ソルトロックの街をモンスターの魔の手から防げてよかったです」
只今傭兵ギルド内の酒場と広場で祝勝会が行われている。
包囲戦が終わった後、1日かけてモンスターの死体と堀を埋め更地にした。
そして手に入った大量の獣型のモンスターは解体され大規模な祝勝会が開かれたのである。
出てきた食材はモンスターの肉と海の幸で近くのソルトロックの漁師達が格安で提供してくれた。
これで安心して漁業ができるお礼だそうだ。
そして宴に参加している大多数の参加者に料理が行き渡らない状況になっていた。
見かねた一郎が鉄条網を錬金術で形状変化させ金網を作り広場で即席のバーベキューを始めた。
肉や食材そして一郎が買いためていた野菜を一口大に切り次々と焼く
じゅうじゅう音を立ててながら食欲をそそる匂いが辺りに漂う。
こちらでは金網がないらしく一緒に飲んでいたメンバーは目を輝かせて見ていた。
始めは一郎とエクスプロの面々で盛り上がっていたのだが、
香ばしい匂いに誘われて次第に人が集まりだし参加しだした。
バーベキューの場所が一つでは収集がつかなくなった為、
一郎は次から次にバーベキューの設営をし始めたら、錬金術師達も同じものを作り出して広場の一角で即席バーベキ
ュー会場ができてしまった。
新鮮な食材をシンプルな調理で食べる。
新鮮な魚介が手に入るソルトロックでは都合の良いシステムかもしれない。
バーベキュー騒ぎが一段落し、また一郎がジョーンズと飲んでいると今度はシウバがやってきた。
「よう戦術の先生お疲れさん。悔しいがあんたを認めないといけないな……」
「これはこれは今回大活躍したジェノサイドのシウバさんじゃないんですか。
私は今回大したことしてませんよ?」
「ここの防衛指揮官のアンナさんから全て聞いたよ。
この包囲作戦全部先生が考えたそうじゃないか。
しかも俺たちが倒したモンスター達は既にどいつも衰弱してた。
全てあんたの戦略でこうなったんだろ?」
「まぁ終わったことですし良いじゃないですか?それよりもジェノサイドの息の合った部隊の動き勉強になりました。誰が指揮してたのですか?」
「俺の隣いる副長のエレナのことだな…俺は先頭切って戦うことしかできないから細かいことは全てこいつに任せてある」
シウバの後ろにいる傭兵には見えない大人しそうな女性が立っていた。
以前馬車の中で落ち込んでいるシウバを慰めていた女性である。
「初めまして一郎さん。ジェノサイドの副長を務めておりますエレナと申します。
一郎さんの活躍はかねがね耳にしております。
先日は弟のシウバが粗相をした様で申し訳ございません。
今夜は無事ソルトロック防衛を祝して飲みましょう」
その後エレナとシウバを含めていろいろな話をした。
ジェノサイドは元々モンスターによって親や村を失った孤児院の卒業生が生活して行く為に生まれた傭兵団だった。
当時からガキ大将だったシウバが中心にできたのだが当初は苦労していたらしい。
シウバの元には孤児院の卒業生や村の跳ねっ返りなど一癖も二癖もある荒くれ者が集まる。
そんな集団が傭兵になりモンスター退治を行う。
当然戦略は個々の力に頼った正面衝突。
怪我人が続出し報酬は治療費で消えていった。
思う様に成果を出せていない弟のシウバ達はエレナにとって悩みの種であった。
ランクの低いクエストでも怪我をして帰ってくる。
成果を中々上げられていないしシウバはエレナの悩みの種であった。
エレナは当時の傭兵ギルドで働いていた。
彼女は戦闘はまるっきしであったが生まれ持った特殊スキル「遠距離念話」を持っており半径3キロ程の指定の人物と会話ができるスキルであった。
傭兵ギルドでは通信係として重宝されていたらしい。
弟が傷だらけになって帰ってくるのを見かねた姉は最初相談に乗っていたがその戦い方に驚いた。
一歩間違えれば全滅もあり得る状況が多かったのである。
このままでは両親だけで弟までもモンスターに殺されてしまうのではないかと不安が日々募る。
ついに彼女は傭兵ギルドの職を辞めジェノサイドの傭兵団の一員になった。
彼女は元々傭兵ギルドで働いていた為、中堅の知り合いの傭兵から戦術を学び、
業務の一つであった戦闘の記録をコネで読み漁り指揮の仕方を学び今に至る。
そして遠距離念話のスキルを駆使し団員と連絡を取り指揮を行う。
団長の姉の指揮に初め団員達は不快に思っていたらしいが団長の一声で指示にした従うと、
円滑に敵が殲滅でき以前の様に怪我を負うことも少なくなった。
そしてジェノサイドは以前の様な無謀な特攻がなくなり次第に依頼も成功率も上がっていった。
そして荒くれ者がさらに集まり現在団員200人の中堅用兵団まで上り詰めたのである。
脳筋のシウバとその手綱を引く姉のエレナ傭兵達の集団意識が高く連携が取れていた。
一朗は過酷なこの世界で生き抜く為の成功例を目の当たりにした。
そして今後のリバーウッドの発展につながることに思考を巡らせる一郎であった。
「えぇ無事ソルトロックの街をモンスターの魔の手から防げてよかったです」
只今傭兵ギルド内の酒場と広場で祝勝会が行われている。
包囲戦が終わった後、1日かけてモンスターの死体と堀を埋め更地にした。
そして手に入った大量の獣型のモンスターは解体され大規模な祝勝会が開かれたのである。
出てきた食材はモンスターの肉と海の幸で近くのソルトロックの漁師達が格安で提供してくれた。
これで安心して漁業ができるお礼だそうだ。
そして宴に参加している大多数の参加者に料理が行き渡らない状況になっていた。
見かねた一郎が鉄条網を錬金術で形状変化させ金網を作り広場で即席のバーベキューを始めた。
肉や食材そして一郎が買いためていた野菜を一口大に切り次々と焼く
じゅうじゅう音を立ててながら食欲をそそる匂いが辺りに漂う。
こちらでは金網がないらしく一緒に飲んでいたメンバーは目を輝かせて見ていた。
始めは一郎とエクスプロの面々で盛り上がっていたのだが、
香ばしい匂いに誘われて次第に人が集まりだし参加しだした。
バーベキューの場所が一つでは収集がつかなくなった為、
一郎は次から次にバーベキューの設営をし始めたら、錬金術師達も同じものを作り出して広場の一角で即席バーベキ
ュー会場ができてしまった。
新鮮な食材をシンプルな調理で食べる。
新鮮な魚介が手に入るソルトロックでは都合の良いシステムかもしれない。
バーベキュー騒ぎが一段落し、また一郎がジョーンズと飲んでいると今度はシウバがやってきた。
「よう戦術の先生お疲れさん。悔しいがあんたを認めないといけないな……」
「これはこれは今回大活躍したジェノサイドのシウバさんじゃないんですか。
私は今回大したことしてませんよ?」
「ここの防衛指揮官のアンナさんから全て聞いたよ。
この包囲作戦全部先生が考えたそうじゃないか。
しかも俺たちが倒したモンスター達は既にどいつも衰弱してた。
全てあんたの戦略でこうなったんだろ?」
「まぁ終わったことですし良いじゃないですか?それよりもジェノサイドの息の合った部隊の動き勉強になりました。誰が指揮してたのですか?」
「俺の隣いる副長のエレナのことだな…俺は先頭切って戦うことしかできないから細かいことは全てこいつに任せてある」
シウバの後ろにいる傭兵には見えない大人しそうな女性が立っていた。
以前馬車の中で落ち込んでいるシウバを慰めていた女性である。
「初めまして一郎さん。ジェノサイドの副長を務めておりますエレナと申します。
一郎さんの活躍はかねがね耳にしております。
先日は弟のシウバが粗相をした様で申し訳ございません。
今夜は無事ソルトロック防衛を祝して飲みましょう」
その後エレナとシウバを含めていろいろな話をした。
ジェノサイドは元々モンスターによって親や村を失った孤児院の卒業生が生活して行く為に生まれた傭兵団だった。
当時からガキ大将だったシウバが中心にできたのだが当初は苦労していたらしい。
シウバの元には孤児院の卒業生や村の跳ねっ返りなど一癖も二癖もある荒くれ者が集まる。
そんな集団が傭兵になりモンスター退治を行う。
当然戦略は個々の力に頼った正面衝突。
怪我人が続出し報酬は治療費で消えていった。
思う様に成果を出せていない弟のシウバ達はエレナにとって悩みの種であった。
ランクの低いクエストでも怪我をして帰ってくる。
成果を中々上げられていないしシウバはエレナの悩みの種であった。
エレナは当時の傭兵ギルドで働いていた。
彼女は戦闘はまるっきしであったが生まれ持った特殊スキル「遠距離念話」を持っており半径3キロ程の指定の人物と会話ができるスキルであった。
傭兵ギルドでは通信係として重宝されていたらしい。
弟が傷だらけになって帰ってくるのを見かねた姉は最初相談に乗っていたがその戦い方に驚いた。
一歩間違えれば全滅もあり得る状況が多かったのである。
このままでは両親だけで弟までもモンスターに殺されてしまうのではないかと不安が日々募る。
ついに彼女は傭兵ギルドの職を辞めジェノサイドの傭兵団の一員になった。
彼女は元々傭兵ギルドで働いていた為、中堅の知り合いの傭兵から戦術を学び、
業務の一つであった戦闘の記録をコネで読み漁り指揮の仕方を学び今に至る。
そして遠距離念話のスキルを駆使し団員と連絡を取り指揮を行う。
団長の姉の指揮に初め団員達は不快に思っていたらしいが団長の一声で指示にした従うと、
円滑に敵が殲滅でき以前の様に怪我を負うことも少なくなった。
そしてジェノサイドは以前の様な無謀な特攻がなくなり次第に依頼も成功率も上がっていった。
そして荒くれ者がさらに集まり現在団員200人の中堅用兵団まで上り詰めたのである。
脳筋のシウバとその手綱を引く姉のエレナ傭兵達の集団意識が高く連携が取れていた。
一朗は過酷なこの世界で生き抜く為の成功例を目の当たりにした。
そして今後のリバーウッドの発展につながることに思考を巡らせる一郎であった。
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