上 下
118 / 123
4章

118話

しおりを挟む
その後、一郎は輩に対して尋問の始める。

下準備として輩を囲っている鉄条網から離れた森の中に即席の天幕と鉄条網の檻を作る。

次に一郎は一通り輩達に鑑定をかけ、戦闘に使えなさそうな者からスケルトンに命令させ一人ずつ連れていく。

天幕の中では新たに作られた鉄条網で囲み椅子が一つおいてあった。

そして、足元の正面にはクレイモアが置かれ、その奥で一郎が笑顔でお茶を飲んで待っていた。

ガタガタと震える輩に対し、一郎は笑顔のままで尋問を始める。

命乞いを始める者が殆どでペラペラと話してくれた。

一郎は命欲しさに出任せを言っている可能性も考慮して、メモを取りながら質問して言った。

そして最後に一郎は輩達にお願い事をする。

「では外の皆さんに聞こえるように断末魔をあげてください」

一郎がクレイモアに視線を送ると皆さまざまな悲鳴を森で喚いてくれた。

尋問が終わった輩は森の奥にある別の鉄条網の檻の中に入れられた。

周りはスケルトンに見張られているが食料と酒がある。

「あなたは私に協力してくれた大切な捕虜です。引き渡すまで命の保証をします。それまで食事でも楽しんでください」

飴と鞭である。

そして目の前にはその現実から逃れる為の酒と食料。今後の計画に支障をきたさないように彼らには従順に従ってもらうことにする。

捉えた輩の進退は最終的に決めてはいないが、彼らに一時的な身の安全を保障することで脱走を企てることは少ないだろう。

脱走を企てたところで酒の入った輩に遅れをとることはない。

尋問が中盤になって、ついに因縁の中年の頭が禿げ上がった中年の男の番になった。

中年の男はやるなら一思いにやれと開き直っていた。一郎に恨みを買っていた為どの道助からないと思っているのだろう。

想定の範囲内である。

一応質問したが、反抗的な態度をとり一切質問に応じない。

一郎はため息をついた後、元いた鉄条網の中に戻し尋問前の輩に聞こえるように話し出す。

「ご協力感謝します。あなたのおかげで組織の全容がわかりました。
前の人達の様な事をしないですみました。
これは少ない報酬ですが、受け取ってください。これからもよろしくお願いします」


一郎は中年の男に向かって金貨を一枚投げ入れる。

「では次はそこの大きな男の人にしましょうか」

一郎は中年の男と一緒にいた上半身裸の男を指差し連れて行く。

中年の男がこちらに向かってなんか言っていたが、一郎は手を振り森の中の天幕に移動する。

上半身裸の男は中年の男とは違いペラペラと喋り始めたが、一郎は最後に質問する。

「爆死と魔物の餌どっちがいいですか?明日の朝一にその答えを聞かせていただきます」

一郎はスケルトンに指揮し、上半身男の背中をナイフで何度か切りつける。

致命傷にならないように低級のポーションで回復させたが、痛々しい傷跡が残った。

そして、一郎は尋問前の輩と頭が禿げ上がった中年の男の所に上半身裸の男を縛って戻した。

去り際に一言

「そこの男のように、話してくれれば手荒な事をしなくて済んだのですが、残念です。
尋問はまた明日行いますのでその時に最後質問に答えてくださいね。よろしくお願いします」

一郎はその場を立ち去る。

そして酔っ払っている輩の集団に酒を追加し、さり気なく話を聞き始める。

酔った輩達は実に口が軽く、先ほどよりもより有益な情報を得ることができた。

そして、尋問前の輩と金貨をもらった中年と傷を負った上半身裸の男のいる鉄条網は、険悪な雰囲気のまま一夜が過ぎるのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

貞操逆転世界の温泉で、三助やることに成りました

峯松めだか(旧かぐつち)
ファンタジー
貞操逆転で1/100な異世界に迷い込みました 不意に迷い込んだ貞操逆転世界、男女比は1/100、色々違うけど、それなりに楽しくやらせていただきます。 カクヨムで11万文字ほど書けたので、こちらにも置かせていただきます。 ストック切れるまでは毎日投稿予定です ジャンルは割と謎、現実では無いから異世界だけど、剣と魔法では無いし、現代と言うにも若干微妙、恋愛と言うには雑音多め? デストピア文学ぽくも見えるしと言う感じに、ラブコメっぽいという事で良いですか?

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

ハズれギフトの追放冒険者、ワケありハーレムと荷物を運んで国を取る! #ハズワケ!

寝る犬
ファンタジー
【第3回HJ小説大賞後期「ノベルアップ+」部門 最終選考作品】 「ハズワケ!」あらすじ。 ギフト名【運び屋】。 ハズレギフトの烙印を押された主人公は、最高位のパーティをクビになった。 その上悪い噂を流されて、ギルド全員から村八分にされてしまう。 しかし彼のギフトには、使い方次第で無限の可能性があった。 けが人を運んだり、モンスターをリュックに詰めたり、一夜で城を建てたりとやりたい放題。 仲間になったロリっ子、ねこみみ何でもありの可愛い女の子たちと一緒に、ギフトを活かして、デリバリーからモンスター討伐、はては他国との戦争、世界を救う冒険まで、様々な荷物を運ぶ旅が今始まる。 ※ハーレムの女の子が合流するまで、マジメで自己肯定感の低い主人公の一人称はちょい暗めです。 ※明るい女の子たちが重い空気を吹き飛ばしてゆく様をお楽しみください(笑) ※タイトルの画像は「東雲いづる」先生に描いていただきました。

転生幼女の異世界冒険記〜自重?なにそれおいしいの?〜

MINAMI
ファンタジー
神の喧嘩に巻き込まれて死んでしまった お詫びということで沢山の チートをつけてもらってチートの塊になってしまう。 自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。

女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)

土岡太郎
ファンタジー
 自分の先祖の立派な生き方に憧れていた高校生の少女が、ある日子供助けて死んでしまう。 死んだ先で出会った別の世界の女神はなぜか彼女を気に入っていて、自分の世界で立派な女性として活躍ができるようにしてくれるという。ただし、女神は努力してこそ認められるという考え方なので最初から無双できるほどの能力を与えてくれなかった。少女は憧れの先祖のような立派な人になれるように異世界で愉快で頼れる仲間達と頑張る物語。 でも女神のお気に入りなので無双します。 *10/17  第一話から修正と改訂を初めています。よければ、読み直してみてください。 *R-15としていますが、読む人によってはそう感じるかもしないと思いそうしています。  あと少しパロディもあります。  小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様でも投稿しています。 YouTubeで、ゆっくりを使った音読を始めました。 良ければ、視聴してみてください。 【ゆっくり音読自作小説】女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮) https://youtu.be/cWCv2HSzbgU それに伴って、プロローグから修正をはじめました。 ツイッター始めました。 https://twitter.com/tero_oo

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

元獣医の令嬢は婚約破棄されましたが、もふもふたちに大人気です!

園宮りおん
恋愛
ゲーム好きの獣医、綾川詩織は事故にあい異世界に転生した。彼女が転生したのは神獣に守護された王国ファリーン。公爵家の令嬢ルナとして転生した詩織は16歳の時、王太子のジェラルドに婚約破棄を言い渡される。いわれのない罪まで背負わされて国を追われるルナだったが、それを知った神獣セイランは激怒する。彼女はかつてセイランの子を治療し、命を救った恩人だったのだ。王家は騒然となり彼女を呼び戻そうと奔走するが、ルナは『獣の治癒者』の称号と前世でやり込んでいたゲームキャラのスキルの力で気ままに旅を続けていく。 ☆いつもお読み頂きましてありがとうございます。皆さんの応援のお蔭でこの作品の第二巻が発売されることになりました。発売は2月下旬になります。また、それに伴って該当部分が取り下げられています。ご容赦くださいませ。

処理中です...