骸の王～異世界勇者召喚に巻き込まれました。骸を使ってしたたかに生きていきます。

４章

102話

アルカディアの会議が無事終わり、今後は作物の生産性の向上と並行して学園施設と気球の開発に着手する事になった。

「一郎さんそれではこれからどうしますか？」

一郎の手をさり気なく繋ぎながら隣を進むアルビー。

「そうだな。これからアルカディアに滞在する期間が長くなるからこちらに新居を立てようか」

一郎の顔は会議時の緊張した顔では無く、穏やか微笑みながらアルビー正門を出てすぐ横の広場にあるの酒場に向かう。

そこでは健康的な顔になったビアーズ一家が大衆食堂を切り盛りしていた。

一郎が報酬でもらっていた土地の一部に、アルビー出資することにより、短い期間に ビアーズは店を開店することができた。

食材は一郎が貰った報酬の米や傭兵ギルドからモンスターや獣の肉を下ろして営業を行なっている。

今のところ肉中心のメニューだかゆくゆくは盆地産の魚や野菜も取り入れて提供する予定だそうだ。

ビアーズの料理の腕前ならば今後も繁盛間違いないだろう。

値段がリーズナブルで味に定評のあるこのビアーズの店は連日満席になり、夕方にもなると席待ちの列ができる。

「おっ一郎さんにアルビーさんおつかれさま！今日も食べていくかい？いつものでいいかい？」

「お願いします」
しばらく席で待っていると、うすくスライスした肉とタマネギを甘辛く煮込んだ具を載せた丼もの。

そして近々位冷えたエールと野菜の浅ずけがきた。

向かいのアルビーも同じものを頼んでいた。

「しかし高級食材の米をこんな風に食べるとは思わなかったわ」

「俺がいたところでは庶民のジャンクフードなんだけど所変わればかな？」

こちらの世界ではまだ米の生産量が少ない為高級食材であった。

一郎は難民護衛の際の報酬で大量にもらった存分に米を堪能していた。

お腹が満たされた後新居のことを話す。

「まぁほとんど寝る為だけの場所だからそんなに広くなくていいんだけどな…」

今住んでいるアルカディアの仮の家もリビングと寝室と調合部屋がある質素な作りである。

「妾の方で考えたんだけどこんなのはどうかしら？」

アルビーは自身のマジックバッグから見取り図を取り出す。

そこには土地中央は広い池その奥に2階建の屋敷に入り口に母屋が二つの作りである。

「骨の出し入れが大変だからこの池に沈めておけば楽だと思って…
母屋の一つは研究施設にしてもうひとつは妾の商会の事務所を作るわ」

確かに骨ドラゴンを沈めるのにはちょうど良い大きさである。

今回の新居は会議や宴を行う事も想定して客室もありリバーウッドの家よりもだいぶ広くなる予定になる。

立てる場所は遺跡と岩場の間、正門近くの中心街からは離れているが、
色々と実験するのにはいい立地だ。

「了解それではこの計画通りに頼むよ。明日はリバーウッドに戻るけど一緒に行くかい？」

「えぇ妾もフィート親方さんと屋敷や学校の話があるのでいっしょにいきますわ」

翌日ジャンヌに伝達した後、早速リバーウッドに向かう。

一郎はジャンヌから頼まれたポーションの作成時に必要な空ビンと蓋を発注しした後、早速をネイガー学長に暫く拠点を盆地に移すこと魔法学校の設立の協力を願い出た。

「まぁ平和になったリバーウッドに納まるお主ではないと思っていたが…本腰をいれるみたいだな。
何預かってる子供達は任せておけ！学園で独り立ち出来るように鍛えておくぞ！
そちらの学園の教員はこちらで働いている教員にも声をかけておくはある程度は容易できるだろ」

「すませんお願いします」

ネイガー学長は快く協力をしてくれた。これで学園の設立が大きく前進した。

レオン達はネイガー学長の元で学べは問題ないだろう。脳筋にならないか若干不安であるが…

その後は昼間の学習風景を見た後、レオン達と自宅に帰り夕飯時に事情を話す。

レオン達の反応は様々だったが今盆地に行っても足を引っ張ると考え力をつけてから来るそうだ。

「まぁ週1位で戻って来るから留守の間この家は頼んだぞ」

「あぁ任せてとけ！俺たちも早く力をつけてアルカディアの力になれる様に日々精進するさ」

来た時よりも頼もしくなったレオン達に安心する一郎であった。