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18話
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「娘を見失った?どうゆうことだ!」
「申し訳ございませんローレンス様。アポロさんがローラ嬢を抱えてはるか彼方へ走り去りました」
ローレンスは末の娘のローラが始めた冒険者を家業を陰ながら見張りいざとなったら守れるように常に斥候を控えさせ見守ってきた。
戦闘の才能は一切ないが無理をせずに堅実に行っていた為、人よりは遅いもののあと少し実績を積めばFランクから抜け出せる事を事前に冒険者ギルドのギルド長から確認をとっていた。
ギルド長には過保護すぎではと言われたが仕方がない。
下働時代からの腐れ縁であるボッターの弟子ならば問題ないと思っていたがまさかの事態である。
人生は違えど同じ商人であった為、定期的に連絡を取り合っていた。
数年前、根無し草のボッターが行商を辞め、とある村で店を始めた時は驚いた。
その理由の一つに恐ろしいほど強い弟子の存在、出会いはモンスターの大群をひとりで殲滅、人を疑わないどこか抜けている少年。
無理難題を言ってもその強靭な身体能力で解決する。正直うちの末娘のローラとは反対の才能の塊であった。
ローラは幼少から仕事の際に傍においていたせいか、商人としての能力が高かった。
卓越した記憶力と数字に強いことからいずれ素晴らしい経営者になると思っていたが、なぜか英雄に憧れ冒険者になった。
ローラは冒険者として重要な戦闘能力が欠けていたが持ち前の頭脳でFランクながら地道に依頼をこなしていた。
取り分け採取依頼などは事前に情報を集め、リスクを抑えて臨時の仲間を組み。
短期間に最大の成果を出すなど、一部の依頼者には一目置かれる存在になっていた。
もはや冒険者にして置くには勿体無い才能であった。
そんな頭脳明晰冒険者のローラと脳筋商人のアポロはいい組み合わせだと思った為、今回の依頼を通じてお互いに高め合ってもらおうと思っていた。
念の為いつも通りローラにはバレない様に数人の斥候を付けていたのだが、アポロの身体能力を侮っていた
「状況把握の為、早馬で追ってください」
ローレンスは指示するとともにローラの無事を祈るばかりであった。
一方アポロとローラは順調に仮設村の方向に移動していた。
初めての商人としての仕事に興奮しているのか、アポロが街道を無視した最短距離を移動し始める。
ローラは引き攣りながらも黙認していたが森の木の上を跳躍しながら進み始めると思わず静止させた。
「あんた私を殺す気?急ぐのにも限度があるでしょう?」
ローラは顔を真っ青にして地面に座り込む。
アポロはオドオドしながら弁明を始める。
「仮設村での販売に心踊り、近道しちゃいました」
「近道ってどこに道があるの?」
周りは360度木々、鬱蒼とした森の中であった。
「ありません。ごめんなさい」
ローラは頭を下げしゅんとするアポロを見て、ため息をついた後話を始める。
「反省しているならいいわ。因みに今どの辺かわかる?」
「えっと半分ぐらいです」
アポロは成人が徒歩で1日かかる距離をものの1時間ほどで走破していた。
本人曰く荷物がある為、これでもスピードを落として慎重に移動していたとのことである。
思えば風がすごい割には衝撃はなく、船に乗っている様であった。
「となるとここはグレートボアの生息している森ね」
アポロがグレートボアの単語を聞くやいなや顔を明るくさせ周囲を見渡す。
「ローラさん結構いいサイズのグレートボアが近くにいるので狩ってきていいですか?」
赤い眼をキラキラさせて質問してくるアポロに、ローラは少し考え口を開く。
「いいわよ。ただし私も同行するわ。あなたの腕前も見ておきたいからね」
正直ローラにとってグレートボアを単独で倒すのは難しい。しかし、冒険者として護衛対象と離れるのは何か違う様な気がする。
そう思いローラはアポロの後をついていく。50メートルほど緩やかな斜面を下ると、アポロの言った通り発見できた。
森がひらけ陽射しが差し込む草むらでそれは寝そべりは昼寝をしていた。
しかし、その大きさはグレートボアというには大きく毛の色も通常の茶色と異なり、草むらと同じ深い緑色をしている。
そして何よりグレートボアとは異なり鈍く輝く2本の巨大な牙が見えた。
時折鼻をひくつかせているがその体格の大きさからか、可愛さは微塵も感じられず、ローラは危機感を募らせていった。
おそらくグレートボアの変異体である。見た目の凶悪さから当然討伐の難易度はグレートボアよりも上であることは明らかであった。
一方アポロはノリノリである。
「ローラさんでは僕がグレートボアを蹴り上げますので荷物を見ていて」
アポロは背負っていたポーションの木箱とそれより重い肩掛けのバッグを地面に置き走り出す。
ローラは止めようとしたが遅かった。自衛を含めて、ロングソードを抜き構えた。
しかしその後ローラの視線は空を見上げる。
グレートボアの巨体がゴム毬の様に飛んだ。なんてことはないアポロが横から蹴り上げたのである。
一呼吸置いてゴム毬に追従する様にアポロが跳躍し両手で拳を作り叩き落とした。
アポロの一撃と重力の力でグレートボアは勢いよく地面に叩き付けられる。
衝撃音とともにグレートボアの穴という穴からいろんなものが飛び出ている。
遅れてグレートボアの上に綺麗に着地し蔓延の笑みをこぼすアポロがいた。
「申し訳ございませんローレンス様。アポロさんがローラ嬢を抱えてはるか彼方へ走り去りました」
ローレンスは末の娘のローラが始めた冒険者を家業を陰ながら見張りいざとなったら守れるように常に斥候を控えさせ見守ってきた。
戦闘の才能は一切ないが無理をせずに堅実に行っていた為、人よりは遅いもののあと少し実績を積めばFランクから抜け出せる事を事前に冒険者ギルドのギルド長から確認をとっていた。
ギルド長には過保護すぎではと言われたが仕方がない。
下働時代からの腐れ縁であるボッターの弟子ならば問題ないと思っていたがまさかの事態である。
人生は違えど同じ商人であった為、定期的に連絡を取り合っていた。
数年前、根無し草のボッターが行商を辞め、とある村で店を始めた時は驚いた。
その理由の一つに恐ろしいほど強い弟子の存在、出会いはモンスターの大群をひとりで殲滅、人を疑わないどこか抜けている少年。
無理難題を言ってもその強靭な身体能力で解決する。正直うちの末娘のローラとは反対の才能の塊であった。
ローラは幼少から仕事の際に傍においていたせいか、商人としての能力が高かった。
卓越した記憶力と数字に強いことからいずれ素晴らしい経営者になると思っていたが、なぜか英雄に憧れ冒険者になった。
ローラは冒険者として重要な戦闘能力が欠けていたが持ち前の頭脳でFランクながら地道に依頼をこなしていた。
取り分け採取依頼などは事前に情報を集め、リスクを抑えて臨時の仲間を組み。
短期間に最大の成果を出すなど、一部の依頼者には一目置かれる存在になっていた。
もはや冒険者にして置くには勿体無い才能であった。
そんな頭脳明晰冒険者のローラと脳筋商人のアポロはいい組み合わせだと思った為、今回の依頼を通じてお互いに高め合ってもらおうと思っていた。
念の為いつも通りローラにはバレない様に数人の斥候を付けていたのだが、アポロの身体能力を侮っていた
「状況把握の為、早馬で追ってください」
ローレンスは指示するとともにローラの無事を祈るばかりであった。
一方アポロとローラは順調に仮設村の方向に移動していた。
初めての商人としての仕事に興奮しているのか、アポロが街道を無視した最短距離を移動し始める。
ローラは引き攣りながらも黙認していたが森の木の上を跳躍しながら進み始めると思わず静止させた。
「あんた私を殺す気?急ぐのにも限度があるでしょう?」
ローラは顔を真っ青にして地面に座り込む。
アポロはオドオドしながら弁明を始める。
「仮設村での販売に心踊り、近道しちゃいました」
「近道ってどこに道があるの?」
周りは360度木々、鬱蒼とした森の中であった。
「ありません。ごめんなさい」
ローラは頭を下げしゅんとするアポロを見て、ため息をついた後話を始める。
「反省しているならいいわ。因みに今どの辺かわかる?」
「えっと半分ぐらいです」
アポロは成人が徒歩で1日かかる距離をものの1時間ほどで走破していた。
本人曰く荷物がある為、これでもスピードを落として慎重に移動していたとのことである。
思えば風がすごい割には衝撃はなく、船に乗っている様であった。
「となるとここはグレートボアの生息している森ね」
アポロがグレートボアの単語を聞くやいなや顔を明るくさせ周囲を見渡す。
「ローラさん結構いいサイズのグレートボアが近くにいるので狩ってきていいですか?」
赤い眼をキラキラさせて質問してくるアポロに、ローラは少し考え口を開く。
「いいわよ。ただし私も同行するわ。あなたの腕前も見ておきたいからね」
正直ローラにとってグレートボアを単独で倒すのは難しい。しかし、冒険者として護衛対象と離れるのは何か違う様な気がする。
そう思いローラはアポロの後をついていく。50メートルほど緩やかな斜面を下ると、アポロの言った通り発見できた。
森がひらけ陽射しが差し込む草むらでそれは寝そべりは昼寝をしていた。
しかし、その大きさはグレートボアというには大きく毛の色も通常の茶色と異なり、草むらと同じ深い緑色をしている。
そして何よりグレートボアとは異なり鈍く輝く2本の巨大な牙が見えた。
時折鼻をひくつかせているがその体格の大きさからか、可愛さは微塵も感じられず、ローラは危機感を募らせていった。
おそらくグレートボアの変異体である。見た目の凶悪さから当然討伐の難易度はグレートボアよりも上であることは明らかであった。
一方アポロはノリノリである。
「ローラさんでは僕がグレートボアを蹴り上げますので荷物を見ていて」
アポロは背負っていたポーションの木箱とそれより重い肩掛けのバッグを地面に置き走り出す。
ローラは止めようとしたが遅かった。自衛を含めて、ロングソードを抜き構えた。
しかしその後ローラの視線は空を見上げる。
グレートボアの巨体がゴム毬の様に飛んだ。なんてことはないアポロが横から蹴り上げたのである。
一呼吸置いてゴム毬に追従する様にアポロが跳躍し両手で拳を作り叩き落とした。
アポロの一撃と重力の力でグレートボアは勢いよく地面に叩き付けられる。
衝撃音とともにグレートボアの穴という穴からいろんなものが飛び出ている。
遅れてグレートボアの上に綺麗に着地し蔓延の笑みをこぼすアポロがいた。
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