最強の商人〜脳筋商人とゆかいな仲間たち

1話

今日は待ちに待った成人の儀式の日です。

村の子供は15歳で成人の儀式を受け、神から加護で様々なスキルが授けられたりします。

大体の人はその加護を参考にその後の人生を進むことが多い様です。

戦闘能力に優れている人は冒険家や兵士に技工の加護を与えられた人は職人の道へと進んで生きます。

自分はどんな加護を貰っても昔からの夢に向かって突き進むつもりですが……

この日の為にしっかりと師匠達の元で勉強したので、神様がその努力にあった加護をくださることでしょう。

まだ幼さを残した青年は鬱蒼とした森の中、住み慣れたの小屋の前で背伸びをし、儀式を受ける為に教会に走り出す。

ソニックブームを発生させながら……。

青年が通った後はまるでハリケーン通り道の様に地面がえぐられ、周囲の木はなぎ倒されていた。


森を走り抜けた抜けた青年は、ふと思い出したかの様に走るスピードを落とす。

「おっといけない師匠から本気を出して走るなって言われてました。
ついついテンション上がって言いつけを忘れてしまいました…失敗失敗」

今日は教会の無い近所の村や集落の子供と合同で行う為、いつもは静かな教会が昼間の大衆食堂のように朝から賑わっていた。

青年は列に並ぼうとすると後ろから聞き慣れた声をかけられる。

「やぁアポロ。今日は念願の成人の儀式だな！よく寝れたか？
お前のことだから張り切りすぎてなにか壊してないか心配だよ」

「おはようございます。ボッター師匠。今日はまだ何も破壊してませんよ。
実は興奮していてあまり眠れませんでした。自分の希望にあったスキルが与えられるといいのですが……」

「まぁアポロのスキルは大体予想がつくが希望のスキルが授かるといいな。儀式が終わったら家によってくれ！今日はお前が成人になった祝いの宴を開いてやるからな！」

「何から何までありがとうございます。その時に儀式の結果も報告させていただきます。期待していてください。必ず師匠に恥じないスキルを授かりたいってきます」

「おっおう。くれぐれも”全力を出さずに歩いて“来るんだぞ」

アポロはボッター師匠に手を振り列の最後尾に並ぶ。

ボッター師匠はこの村を救った英雄でありアポロの目標でもある。

村が凶悪なモンスターの大群に襲われた時、颯爽と現れ村人の避難に大きく貢献し、その後も私財を出して村の復興と発展に多大な影響を及ぼした。

そんなボッター師匠の後ろ姿を見て、いつしかアポロも成人になったら師匠と同じ職業に就こうと心に決め成人前から色々と修行をつけてもらっていた。

今日は夢に向かって行く為に、胸を弾ませながら自分の順番を待つアポロであった。