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第1話
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夏休みも終わり、分厚い雲の覆う空に夏の余韻がのこり秋の体育祭シーズン特有の暑苦しさを演出している。外に出るという意志が自身のなかから消えていくのが分かった。
この秋にまで及ぶ残暑のように、あるいは街路樹のほんのり色付く木葉のように、もうすぐなくなっていくものなのかもしれない。いや、もしかしたらとうに季節は夏と秋を通りすぎ、冬になったのかもしれない。それでも自分はどこかで、いつか来る春一番を信じているのだろう。
ただ、そのすべての動植物に活力を与えるはずの桃色の風は、自分には色褪せて見えるだろう。それは何度厳しい寒さを耐え抜いても同じことだ。変わらない、色褪せた春が今年もやってくる。重く厳しい静寂の季節の先に、何を期待して生きていこう。
その問いは自分の心の奥底からあの暖かい春の記憶とこれからの春の虚無感を引き立たせた。
虚無の中に今日も、"ざわざわ"がひしめく。
僕は目を閉じ、"ざわざわ"に耳を澄ましながら思い出す。
暖かい春。あの人との記憶を。
この秋にまで及ぶ残暑のように、あるいは街路樹のほんのり色付く木葉のように、もうすぐなくなっていくものなのかもしれない。いや、もしかしたらとうに季節は夏と秋を通りすぎ、冬になったのかもしれない。それでも自分はどこかで、いつか来る春一番を信じているのだろう。
ただ、そのすべての動植物に活力を与えるはずの桃色の風は、自分には色褪せて見えるだろう。それは何度厳しい寒さを耐え抜いても同じことだ。変わらない、色褪せた春が今年もやってくる。重く厳しい静寂の季節の先に、何を期待して生きていこう。
その問いは自分の心の奥底からあの暖かい春の記憶とこれからの春の虚無感を引き立たせた。
虚無の中に今日も、"ざわざわ"がひしめく。
僕は目を閉じ、"ざわざわ"に耳を澄ましながら思い出す。
暖かい春。あの人との記憶を。
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