属性アリなヒロインはお好きですか?➡︎YESorNO

瀬那綴

文字の大きさ
上 下
5 / 5

第五話

しおりを挟む
母は生まれつき病弱で妹を産んだ際に他界した。
事件はその後に起こった。
父親は母が他界した数年後、八都寧の母と再婚し俺たちはその家に住んでいたがあまりの暮らしの違いと罪悪感でその家から出てきた。
しかし、父親はまた別の女を作り蒸発した。
心底父親を軽蔑し、憎んだ。
そこまでクズな父親だとは思っていなかったからこそ父親を余計に軽蔑し今まで母さんを騙していんだと知った。
八都寧の母の方も正式に父親と離婚はしたが八都寧の母は優しく、自分たちを迎え入れようとしてくれている。
それによって更に罪悪感が強まった。
最初は母の死がきっかけで父親がおかしくなったのだと思っていたがもう今となってはそんなのは関係ない。
その気持ちを紛らわすためにバイトを掛け持ちしている。
実際、お金に困ることは無いだろう。
八都寧の家から口座に八桁も振り込まれている訳だし。
だがこれを使うつもりは一切ない。
何度も断ってもいたが子供だけでは食べていけないでしょと言われ、受け入れた。
美莉亜さんも八都寧の母から俺がいない時は妹たちの面倒をみるということで来てくれていた。
このお金を使うのはあくまでも妹たちの進学の時と決めている。
最も危惧すべきは父親がこのお金に気づき、取りに来ることだ。
最近知ったことだがいろんな金融機関から金を借り、ギャンブルにつぎ込んでいるらしい。
通帳をみると記帳したばかりのためかバイト代も入っているからかなりの金額になっていた。
翌日、入れていたバイトが全部急遽無くなり、妹達の面倒を見ることになった。
それに伴い、美莉亜さんには今日は大丈夫と連絡した。
「お兄ちゃん、リリアお姉ちゃん来ないの?」
「来るわけないだろ。あいつも昨日疲れたんだし」
チャイムが鳴り、玄関を開けると東崎が立っていた。
「おはよう、戸神くん」
「えっ?なんで東崎がいんの?」
「何言ってるの?戸神くんがLIMEで今日家に来て欲しいってわざわざ住所まで送ってきたじゃない」
身に覚えのないことを聞かされ、LIMEを開くと確かに俺のアカウントで東崎に今日来て欲しいのと住所が書き込まれていた。
「桜紗っ!」
「あっバレた!」
桜紗が二階へと逃げていった。
「すまん、東崎。桜紗のイタズラみたいだ」
「別にいいわよ」
「リリアお姉さん、何か話そ?」
と紗枝が東崎の袖を掴む。
「いいかしら?戸神くん」
「まぁ、東崎がいいなら構わないぞ。折角の休みなのに悪いな」
「私も暇だったしちょうどいいわ」
「そうか、じゃあ俺は桜紗を叱ってくるわ」
案の定、クローゼットに隠れていた桜紗を叱りしばらくお菓子抜きにしておいた。 
その後に洗濯物を干していると東崎が手伝ってくれた。
「紗枝ちゃんに聞いたわ」
「なにを?」
「あんたが毎日バイトして、休みの日もバイトと家事をしてるって。すごいわね」
「そうか?俺にとってはこれが普通だからな。俺にとって紗枝も桜紗も大事な妹で俺が何とかしないといけないからなぁ、たしかに大変だけどな」
「それを言い訳に勉学が疎かになるのは別だけどね」
「あー、聞こえねぇな」
耳を塞ぎながらリビングへ戻り、ソファーに座る。
「もし困ったことがあるならいつでも言って。私に出来ることならなんだってするわ」
隣に座った東崎が微笑む。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

捨てられた王妃は情熱王子に攫われて

きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。 貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?  猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。  疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り―― ざまあ系の物語です。

夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜

梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーロットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。 そんなシャーロットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。 実はシャーロットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーロットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーロットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。 悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。 しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーロットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーロットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーロットは図々しく居座る計画を立てる。 そんなある日、シャーロットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。

むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ。

緑谷めい
恋愛
「むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ」  そう、むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。    私は、カトリーヌ・ナルセー。17歳。  ナルセー公爵家の長女であり、第2王子ハロルド殿下の婚約者である。父のナルセー公爵は、この国の宰相だ。  その父は、今、私の目の前で、顔面蒼白になっている。 「カトリーヌ、もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれぬから」  お父様、お気の毒ですけれど、お聞き間違いではございませんわ。では、もう一度言いますわよ。 「今日、王宮で、ハロルド様に往復ビンタを浴びせ、更に足で蹴りつけましたの」  

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

【完結】婚約者とのお茶の時に交換条件。「 飲んでみて?」

BBやっこ
恋愛
婚約者との交流といえば、お茶の時間。客間であっていたけど「飽きた」という言葉で、しょうがなくテラスにいる。毒物にできる植物もあるのに危機感がないのか、護衛を信用しているのかわからない婚約者。 王位継承権を持つ、一応王子だ。継承一位でもなければこの平和な国で、王になる事もない。はっきり言って微妙。その男とお茶の時間は妙な沈黙が続く。そして事件は起きた。 「起こしたの間違いでしょう?お嬢様。」

選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】 5歳の時、母が亡くなった。 原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。 そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。 これからは姉と呼ぶようにと言われた。 そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。 母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。 私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。 たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。 でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。 でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ…… 今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。 でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。 私は耐えられなかった。 もうすべてに……… 病が治る見込みだってないのに。 なんて滑稽なのだろう。 もういや…… 誰からも愛されないのも 誰からも必要とされないのも 治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。 気付けば私は家の外に出ていた。 元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。 特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。 私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。 これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

順番を待たなくなった側室と、順番を待つようになった皇帝のお話 〜陛下!どうか私のことは思い出さないで〜

白猫
恋愛
主人公のレーナマリアは、西の小国エルトネイル王国の第1王女。エルトネイル王国の国王であるレーナマリアの父は、アヴァンジェル帝国との争いを避けるため、皇帝ルクスフィードの元へ娘を側室として差し出すことにした。「側室なら食べるに困るわけでもないし、痛ぶられるわけでもないわ!」と特別な悲観もせず帝国へ渡ったレーナマリアだが、到着してすぐに己の甘さに気付かされることになる。皇帝ルクスフィードには、既に49人もの側室がいたのだ。自分が50番目の側室であると知ったレーナマリアは呆然としたが、「自分で変えられる状況でもないのだから、悩んでも仕方ないわ!」と今度は割り切る。明るい性格で毎日を楽しくぐうたらに過ごしていくが、ある日…側室たちが期待する皇帝との「閨の儀」の話を聞いてしまう。レーナマリアは、すっかり忘れていた皇帝の存在と、その皇帝と男女として交わることへの想像以上の拒絶感に苛まれ…そんな「望んでもいない順番待ちの列」に加わる気はない!と宣言すると、すぐに自分の人生のために生きる道を模索し始める。そして月日が流れ…いつの日か、逆に皇帝が彼女の列に並ぶことになってしまったのだ。立場逆転の恋愛劇、はたして二人の心は結ばれるのか? ➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。

婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました

Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、 あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。 ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。 けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。 『我慢するしかない』 『彼女といると疲れる』 私はルパート様に嫌われていたの? 本当は厭わしく思っていたの? だから私は決めました。 あなたを忘れようと… ※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

処理中です...