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第7章『一難去ってまた一難』
第1話『舞踏会に行くの?』
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《MHside》
「え?舞踏会?」
「もうすぐで建国記念日だろう?我が国の建国記念日は毎年国を挙げて盛大に祝うと決まっている。その前夜祭の舞踏会に俺たちが呼ばれたというわけだ」
随分夜遅く。ついさっき思い出したかのように唐突にレイの執務室に呼ばれた理由を、俺はすぐに理解することとなった。降り積もる雪もようやく解け始め大地が花々を咲かせる頃、初代皇帝はアルフェンロード大帝国を建国した。元の世界では、春と言えば新しい生活が始まる季節だったため、この国の建国記念日が春だということに酷く親近感を覚える。
「レイは毎年出席してるん?」
「……昨年まで未婚だったからな。警備についていた」
その間は何なんだ?と聞きたくなったが、あえて聞かないでおこう。大体理由は想像つく。レイはただ単に求婚をされるのが面倒だったんだろう。ディオンから聞いた話によると、舞踏会は既婚者も未婚者も出席するらしく、未婚者からすればいい出会いの場であるらしい。婚約者がいる貴族は婚約者と出席するのが暗黙のルールで、自身の婚約者を自慢をする場でもあるんだとか。自慢と言ったら人聞きが悪いが、まあつまり紹介だ。「私の彼氏なの!」「へ~?かっこいいじゃん」「でしょでしょ!?」「まあ私も彼氏できたけど」「は?嘘でしょ!?」的な女子のアレと同じことがこの世界でも起きているわけだ。本当に怖い、怖すぎる。
「今年は結婚もしたからな。皇帝陛下から直々に招待をされては行くしかないだろう」
「本音は?」
「……行きたくないな」
正直なレイの言葉と表情に、思わずクスッと笑ってしまった。何を笑っているとでも言いたそうなレイは無視しておいて…。舞踏会なんて初めてだ。所作はもう既にディオンとレイからもお墨付きを貰っているとしても、なんせ他の貴族に会ったことがほぼ皆無。レイとアメリアと…ぼいん令嬢ことオーレリア大公令嬢だけな気がする。レイほどの貴族だと盛大に結婚式をするらしいんだけど、俺たちはそんな面倒な式は全部省いちゃったからな。他の貴族に挨拶しようにもできなっかたし、俺の姿も見たことない人が大多数だし。
「おまえと結婚してからというもの、そういうものに顔を一切出していないしな。エーデルワイス大公夫人は本当に存在しているのかと噂になっているぞ」
「俺幽霊になっちゃてんの?」
「幽霊…かどうかは知らないが、結婚が面倒だから存在しない男と結婚したとまで言われている」
「うっわ。絶対あいつじゃん。そんな噂流すやつ一人しかいねえじゃん」
さすが、ぼいんぼいん。適当な噂を流して自分がレイの本当の妻だとでも言う気だろう。結構俺酷いこと言ったと思うんだけどなあ。どうやらまだ懲りていないみたいだ。俺の名でオナホプロジェクトが行われているのは周知の事実だろうに。それでも噂が広まるということは、その事業は俺が存在しないことを隠すためのカモフラージュとでも思われてんのか?
「建国記念日は一ヶ月後。服装やらは全てセバスとディオンに任せている。おまえは舞踏会に来る予定の貴族共の名と顔を覚えろ」
「全員?」
「重要人物だけだ」
素っ気なく渡された何枚かの書類。ペラペラと捲って確認するがなかなかにみんな癖が強そうだ。特にランベル伯爵夫妻。子供が十人いるらしい。いや十人って。歳は既に五十を迎えているというのに、夜な夜な淫らな声が隣町まで聞こえるとか、何事よ。隣町って、さすがに雄たけび上げても聞こえないだろうに。ていうか、その情報ここに書く必要あるんか?
「変な人だな~」
「おまえもなかなかだぞ」
「え!?いやん!嘘!」
「…………」
レイの冷たげな視線を避けながら、更に書類を捲る。一番最後の書類には、ぼいん令嬢が。レイもぼいん令嬢のこと警戒しているんだな。舞踏会、何にも起こらなかったらいいんだけど。と考える時点で大抵フラグは立っちゃてるから、まじ何かあると思った方がいいだろうね。
波乱が起きそうな予感を俺は特に否定することなく、そろそろ寝るかと考える。そして、レイにおやすみのキスをしようとしたが思いっきり避けられて終わったのだった。キスもした仲なのにね。
「避けんでよ」
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「え?舞踏会?」
「もうすぐで建国記念日だろう?我が国の建国記念日は毎年国を挙げて盛大に祝うと決まっている。その前夜祭の舞踏会に俺たちが呼ばれたというわけだ」
随分夜遅く。ついさっき思い出したかのように唐突にレイの執務室に呼ばれた理由を、俺はすぐに理解することとなった。降り積もる雪もようやく解け始め大地が花々を咲かせる頃、初代皇帝はアルフェンロード大帝国を建国した。元の世界では、春と言えば新しい生活が始まる季節だったため、この国の建国記念日が春だということに酷く親近感を覚える。
「レイは毎年出席してるん?」
「……昨年まで未婚だったからな。警備についていた」
その間は何なんだ?と聞きたくなったが、あえて聞かないでおこう。大体理由は想像つく。レイはただ単に求婚をされるのが面倒だったんだろう。ディオンから聞いた話によると、舞踏会は既婚者も未婚者も出席するらしく、未婚者からすればいい出会いの場であるらしい。婚約者がいる貴族は婚約者と出席するのが暗黙のルールで、自身の婚約者を自慢をする場でもあるんだとか。自慢と言ったら人聞きが悪いが、まあつまり紹介だ。「私の彼氏なの!」「へ~?かっこいいじゃん」「でしょでしょ!?」「まあ私も彼氏できたけど」「は?嘘でしょ!?」的な女子のアレと同じことがこの世界でも起きているわけだ。本当に怖い、怖すぎる。
「今年は結婚もしたからな。皇帝陛下から直々に招待をされては行くしかないだろう」
「本音は?」
「……行きたくないな」
正直なレイの言葉と表情に、思わずクスッと笑ってしまった。何を笑っているとでも言いたそうなレイは無視しておいて…。舞踏会なんて初めてだ。所作はもう既にディオンとレイからもお墨付きを貰っているとしても、なんせ他の貴族に会ったことがほぼ皆無。レイとアメリアと…ぼいん令嬢ことオーレリア大公令嬢だけな気がする。レイほどの貴族だと盛大に結婚式をするらしいんだけど、俺たちはそんな面倒な式は全部省いちゃったからな。他の貴族に挨拶しようにもできなっかたし、俺の姿も見たことない人が大多数だし。
「おまえと結婚してからというもの、そういうものに顔を一切出していないしな。エーデルワイス大公夫人は本当に存在しているのかと噂になっているぞ」
「俺幽霊になっちゃてんの?」
「幽霊…かどうかは知らないが、結婚が面倒だから存在しない男と結婚したとまで言われている」
「うっわ。絶対あいつじゃん。そんな噂流すやつ一人しかいねえじゃん」
さすが、ぼいんぼいん。適当な噂を流して自分がレイの本当の妻だとでも言う気だろう。結構俺酷いこと言ったと思うんだけどなあ。どうやらまだ懲りていないみたいだ。俺の名でオナホプロジェクトが行われているのは周知の事実だろうに。それでも噂が広まるということは、その事業は俺が存在しないことを隠すためのカモフラージュとでも思われてんのか?
「建国記念日は一ヶ月後。服装やらは全てセバスとディオンに任せている。おまえは舞踏会に来る予定の貴族共の名と顔を覚えろ」
「全員?」
「重要人物だけだ」
素っ気なく渡された何枚かの書類。ペラペラと捲って確認するがなかなかにみんな癖が強そうだ。特にランベル伯爵夫妻。子供が十人いるらしい。いや十人って。歳は既に五十を迎えているというのに、夜な夜な淫らな声が隣町まで聞こえるとか、何事よ。隣町って、さすがに雄たけび上げても聞こえないだろうに。ていうか、その情報ここに書く必要あるんか?
「変な人だな~」
「おまえもなかなかだぞ」
「え!?いやん!嘘!」
「…………」
レイの冷たげな視線を避けながら、更に書類を捲る。一番最後の書類には、ぼいん令嬢が。レイもぼいん令嬢のこと警戒しているんだな。舞踏会、何にも起こらなかったらいいんだけど。と考える時点で大抵フラグは立っちゃてるから、まじ何かあると思った方がいいだろうね。
波乱が起きそうな予感を俺は特に否定することなく、そろそろ寝るかと考える。そして、レイにおやすみのキスをしようとしたが思いっきり避けられて終わったのだった。キスもした仲なのにね。
「避けんでよ」
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