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〖197〗いつもと違う彼
しおりを挟むシオンを置いて、バレンはベットの方へ行ってしまった。
数メートル先にはジェイがいる。ボタンに手をかけたシオンは、それを外すのを躊躇った。
ここには、テイラーも、彼もいる。
複数人の前で辱められるなんて、想像しただけで指先が震えた。
──ジェイに懇願したら、この罰は免れるだろうか。
(そんなの嫌だ)
シオンはぶんぶんと首を振った。
自分の人生をめちゃくちゃにしたクズ野郎。
ずっと利用されてたことにも気づかずに彼だけを想っていた。
情けなくてたまらない。
こんな奴に助けを求めるわけにはいかないんだ。
「エル」
背後のベットがギジリと鳴る。
「全部脱いで、こっちおいで」
バレンの片手には、紐に吊るされた細長い球体があった。
それはひとりでに激しく暴れ回っている。
時折、チウ、と、変な鳴き声が聞こえた。
(あの中に、何か入ってる·····?)
暖かな気候なのに、指の先だけが冷たい。
シオンはシャツを脱ぎ、次にパンツを下ろした。
「下着も」
バレンが言う。
戸惑いながらも下着を脱ぐ。素っ裸になると、生暖かい風が身体を撫でた。
後ろは振り返らないまま、ベットへ向かった。
「早く」
「っ!」
腕を引っ張られ、マットの上へ転がり落ちる。
「ほら、四つん這いになって、お尻をこっちに」
彼は指示をするだけだ。
前までの優しい淫撫が嘘みたいに機械的なそれを聴きながら、シオンはうつ伏せになり、尻を突き上げた。
ふっ、と、笑い声が聞こえてくる。
柱に寄りかかったテイラーが口元を隠す。しかし、青紫色の目は、蔑むように細められた。
「かわいいお口が丸見えですね」
「·····!」
「ああ、もう。邪魔しないでくださいよ」
バレンが鬱陶しそうに言い返す。
「恥ずかしがり屋さんだから、すぐ窄んじゃう」
「ひぁっ」
尻に、とろみのある液体を垂らされる。
甘い香りがしてくる。
じんわりと暖かな熱を持ったそれは、割れ目を伝い、蕾を濡らしていった。
「?·····?、?」
力を入れようとしても、まるで麻酔を打たれたみたいに体が言うことを聞かない。
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