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〖194〗歪な関係
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離の屋敷の前までシオンを見送り、元来た道をもどる。
本殿へ向かっていた足はピタリと止まった。
ずっと感じていた気配が、シオンと離れると共に消えた。
自分を──否、シオンを、監視している者がいる。
イディオムの奴らだ。
なぜ組織の一員であるシオンを監視している?
彼らは味方どうしでは無いのだろうか。
再び神経を研ぎ澄ませる。
動物の足音、風、葉のこすれる音。遠くからは波の音。
今、ここにいるのは自分一人だ。
テオスはまた振り返り、帰路とは反対方向へ進み出した。
向かったのは、シオンが消えていった屋敷。
辺りに誰もいないことを確認し、敷地へ侵入する。
気配を消して廊下を進む。薄暗い道の先から、男の声が聞こえてきた。
引き戸の向こうからオレンジ色の光が漏れている。
そこから、数人の気配がした。
「·····お仕置なのに、もう─────」
(お仕置き?)
従業員が何かしくじったのか?
扉の向こうに、柔らかな黒髪がチラつく。
シオンだ。
早足に歩みを進めたテオスは、次に聞こえてきた声に立ち止まった。
「·····っ、ぁ、·····」
「·····?」
ぞくりと、鳥肌が立つ。
辛そうで、しかし弱く甘い、高い音色だ。
「ぁん·····っ」
そっと扉へ近付く。
中を覗いたテオスは顔をしかめた。
視線の先──広間の中央に、大きなベッドがある。
すけたカーテンの向こうにうずくまったシオンがいた。
細い体のシルエットが、びくりと震え上がる。
隙間から生脚が覗いた。
彼は裸だった。
「!?」
テオスは声を上げかけ、すんでのところで空気を飲み込んだ。
(いや、裸がなんだっていうんだ)
同性なのに背徳感を覚える必要なんてない。
これは偵察だ。あいつらが怪しい動きをしているから、確かめる必要がある。
決してシオンが心配だからとかではない。
テオスは自分に言い聞かせ、目を凝らした。
ベットから少し離れたソファに、褐色の男が腰掛けていた。
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