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〖164〗不思議な彼
しおりを挟む一体、何をするつもりだろう。
昨日とは別のやり方で嬲られることだって有り得る。
頭をよぎったのは、地下室にあった拷問器具。
一思いに殺されるよりもずっと恐ろしい。
耐え抜く決意をしたそばから、身体が震えそうだ。
「エル·····」
暖かい手が頬に触れる。
それが、顔にかかった髪を優しく払った。
「ん~」
「·····?」
バレンは何かを模索するように呟いた。
今度は何を企んでいるのか?
とうとう指先が震え出しそうになった時、重圧がのしかかってきた。
「俺が怖いんですか?」
「·····えっ」
起きていたことがバレている。
それどころか、思っていることまで、全てお見通しみたいだ。
硬い両腕が腰に回って、力の入らない身体を抱き寄せる。
素肌同士がピッタリと密着した。
「柔らかくて、心地いい·····」
筋肉がつかない体質だが、消して太ってることは無い。どっちかと言うと痩せているのに、柔らかいとは失礼な。
いや、そうじゃなくて。
「重いです」
「··········」
恐る恐る抗議して、彼をおしのけようとする。
しかし、返ってきたのは、言葉による返答ではなかった。
「ひぁ」
ちゅう、と、首筋に吸い付かれる。
ゾクゾクした快楽に意識が緩んだ隙に、彼の唇が、今度は胸の突起へ口付けを落とした。
「あんっ」
変な声が漏れてしまった。
慌てて口をつぐむ。
両手は、彼の指と絡まりあい、ベットへ押し付けられていた。
「·····あ·····っ」
乳頭の前に舌をチラつかせたバレンが、こちらを仰ぎみる。
濡れた赤が、日に照らされて艶めかしく光る。
触れられていないのに、そこが熱くなるみたいだ。シオンはモゴモゴと口を動かしたきり、押し黙った。
「ふふ」
彼が笑うと、吐息が薄付きを撫でた。
下唇を噛む。
彼はこちらをたのしげに眺めてから、ふっと目元を細めた。
「少し触れただけなのに」
蒸気したボルドーが真下に流される。
まだ少しすぼんだ突起が、ぷっくりと膨らんでいた。
「エッチなお胸ですね」
「·····ンっ·····」
とうとう、唇に吸い込まれる。
彼の口内は不思議だ。どうしたらそんなにも絶妙な刺激を与えられるのか不思議なほど、気持ちよくて、もどかしい。
「あぁ·····っ·····」
強く吸いつかれ、目を見開く。
吸引されたまま口が離れてゆくと、ちゅぽん、と、恥ずかしい音が響いた。
「ちっちゃいのに、ちゃんとお顔出してくれましたね」
濡らされた胸の突起は、ツンと上を見上げている。
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