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〖114〗2人きり
しおりを挟む腰を掴まれ、これ以上は不可能なほど彼へと引き寄せられる。
骨がぶつかり合う音がする。一瞬、目の前が真っ白になった。
「まずは楽しみたいから、二人きりにしてくれ」
彼の言葉に、支配人は二つ返事で部屋を出ていった。
扉が閉まると部屋は妙に静まり返った。
他人の空似だとしても、目の前の男はあまりにもエドワードにそっくりだった。
気がつけばまじまじと彼を見つめてしまっていた。
「さてと·····」
呟いた男が、こちらに視線を流す。
思わず仮面に伸びたシオンの手は、しかし鋭く振り払われた。
「ったく·····ちょっと優しくしてやっただけでいい気になりやがって」
彼は服の袖口で口元を拭った。
「·····?」
シオンは言葉を失う。
空気は、一瞬にして冷え込んだ気がした。
「·····へ·····?···───ぁ·····っ」
「まあ、あと少し時間あるし」
不意に体重をかけられ、仰向けに押し倒される。
覆いかぶさってきた男の仮面が剥がれ落ちた。
「·····エドワード·····?」
素顔を覗けば、他人の空似なんて可能性は消え去った。
女好きしそうな、甘くて少し意地悪な感じのする美形。
間違いなくエドワードだ。
「·····おままごと続けよっか」
「───あんっ♡」
パチュンっ、と、甘く腰を打ち付けられる。
下腹にじんわりと波が広がる。引き抜かれていった男根がまた奥まで入り込んで、重くて柔らかい一撃を打ち込んだ。
「あぁっ·····♡」
何故か、声が抑えられない。
媚薬を盛られた訳では無い。激しくされている訳でもないのに、自然に爛れた声が漏れてしまう。
はは、と、かわいた笑い声がこぼされた。
「"ああ、ほら····こんなにこぼれてきた"」
彼はわざとらしく言いながら、二本の指でシオンの陰茎をなぞる。
「あっ♡だめ·····っ」
イキそうになるとくぼみを強く握られた。
射精出来ない。シオンはつま先をぴんと伸ばした。
「"可愛いね"」
「やっ♡」
指先に噛みつかれ、舐め取られる。
緩やかな腰の動きが、少し速くなる。
「はうっ♡」
こんなに優しい腰使いは知らない。
彼はもっと自分勝手で、まるでこちらのことを、性欲を満たすための道具のように使うんだ。
「"もっと、可愛い声聞かせてよ"」
「~~~っ♡」
とろけるような声が耳元でささやく。
嘘ばっかりだ。
思ってもいないようなことを、こちらを弄ぶためだけにやすやすと言う。
完全に馬鹿にされている。
でもそんなことより──。
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