74 / 217
〖72〗彼の本心
しおりを挟むビーーーー、と、遠くからブザーの鳴る音が聞こえた。
三度目の精液を注ぎ込んだところで、背後に気配を感じた。
「3回戦が始まる」
顎で扉を指したのはクレイだ。
「分かってるっつの」
肩をすくめてみせるが、生暖かく脈打つ孔は中々良い具合だ。
「あんっ♡」
遊ぶように一突きしてから熱を引き抜く。
エドワードはシオンをクレイへ投げてよこした。
「ヤってけば?」
受け止めたクレイは無言のままだ。
「ちょうどほぐれてるし、今なら具合最高──」
言葉はふと中断された。
「なんだよその目」
青い瞳は、確かにエドワードを睨みつけていた。
「───はっ」
エドワードは呆れたようにため息を漏らし、扉へ向かってゆく。
「フィールドには近づけんなよ」
捨てセリフを最後に勢いよく扉がしまった。
───置いていかれたそれこそ、彼の本心だ。
おおかた、この幼い少年がフィールドの惨状を見るのを阻止したかったんだろう。
何もここまで酷くしなくたって、今日のコロシアムは3回戦で終わりだと言うのに。
腕の中で動いた少年を見下ろし、クレイはため息をついた。
シオンはすやすやと寝息を立てていた。
こうしてみると、やはり年齢よりもずっと幼く見える。
「おい」
「んん…」
何度か声をかける。
俯いた寝顔から伝ったのは、涙だった。
「ジル…」
「……。」
シオンの故郷や過去を何一つ知らない。
けれど、彼を見るとたった一瞬、思い出すのだ。
無くしたはずの、胸の悼みや、躊躇いを。
感情など無くさなければいけない。
誇りのため、死んだ弟達のため。
そのために、彼には犠牲になってもらわなければいけない。
「ん…クレイ?」
目を覚ましたシオンを抱きかかえ、クレイは彼をシャワー室へと連れていった。
「一人で洗えるか?」
椅子に座らせシャワーの蛇口を捻る。
シオンを振り返ると、彼はなぜか恥じらうように両足をもじつかせた。
「あれだけ精液を注がれれば、腹が痛むのは時間の問題だろう」
シオンの足を掴む。少し強引に股を開かせようとすると、シオンは叫び声を上げた。
「で、出来る」
シオンの顔は真っ赤だった。
「外にいる」
クレイがシャワー室を出ていく。
屈強な背中を見送って、シオンはため息をついた。
足の感覚は少しずつ戻ってきたものの、身体に蟠った熱がなかなか引かない。
少し冷たいシャワーを頭から浴びる。
自分は単純な奴だ。
クレイの、一瞬気遣うような視線が嬉しいなんて。
「んっ·····」
尻に力を入れると、白い白濁が溢れ出てきた。ゆっくりとそれを掻き出す。
1
お気に入りに追加
967
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。




ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる