海賊団に攫われた貧民〖イラストあり〗

亜依流.@.@

文字の大きさ
上 下
42 / 217

〖41〗倉庫

しおりを挟む






倉庫には先代から継がれてきた物品や、保存食が置かれている。

そんな場所を巫山戯た用途で汚されてはたまらない。

ズカズカと中へ入ってゆくリアムの背に、エドワードがため息を着いた。


「デリカシーのカケラも無い奴だな」


「他人の事を言える立場でもないだろう」


リヒトが笑う。

エドワードは軽く首を振り、部屋の中に進んだ。
一瞬感じた酷い嫌悪感の正体は分からなかった。


「はぁ?」


部屋の奥へ進んだ彼は、予想と違う光景に、思はず素っ頓狂な声をあげた。

置物の下敷きになったシオンがうつ伏せに寝転がっている。
こちらへ背を向けていたクレイが振り返った。


「全員揃って、どうかしたのか?」

















事の発端は数分前。

船内を探索していたシオンが船内奥の倉庫をみつけ、好奇心から侵入。シオンが中へ入ったのを見かけたクレイがその後を追い、クレイの足音に驚いたシオンが散らかった足場を踏み外し転倒。

結果、先程の状況になったというわけだ。


「幽霊とかだと思ったから···」


弁明はエドワードの笑い声にかき消される。
シオンは不服そうに頬をふくらませた。


「まじで餓鬼」


クレイは呆れたように首を振り、リヒトもふっとため息をつく。
すっかり笑いものだ。


「笑い事じゃねぇよ」


冷たい声が、呆れ返った場の温度を下げた。

ハッとして声の主を見る。
机へ足を投げ出したリアムが、不愉快そうにこちらを睨みつけている。覗いた鋭い犬歯は、今にも噛みつきそうな狼を思わせた。


「あの中の物品ひとつでも壊してみろ。お前の臓器全部売り払っても足りねぇぞ」


おぞましい台詞はとても冗談には聞こえない。
シオンは震え上がった。


「わぁ、怖い顔」


エドワードの間延びした声が、静かになった部屋をかろうじて励ますように聞こえる。
舌打ちをしたリアムの横顔は、無人島での出来事を白昼夢だと思わせる程冷たかった。


「ご、めんなさい···」


下唇を噛み、俯く。


「そう怒るな」


リヒトが宥める。
リアムは口を閉ざしたきり何も言わなくなってしまった。


「てかさぁ」


エドワードが、こちらへ面倒そうな視線を向ける。


「こいつどうすんの?」


「?」


突然、なんの話だろうか。
他の3人は顔を見合わせ、今一度こちらを振り返る。

「·····??」

「コロシアムの強制参加は十五以上。この見た目なら十四で通るんじゃないか?」

「ギリギリってとこだな」

「万一引っかかったら面倒だ」


3人が口々に話し出す。


「な、なんの話?」


口を挟んだシオンの声はとことん無視された。


「いい案がある」







しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...