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〖16〗決意
しおりを挟む「被害者面して、その癖能々と生きてる半端野郎·····反吐が出るぜ」
ハスキーな低音が呟く。
赤い瞳の冷酷さに応えるようにして、シルバーのピアスが煌めいた。
「生きるって事は、どんなに理不尽な運命も受け入れるって事だ」
リアムが、腰の拳銃を引き抜く。
銃口はシオンの額へ向けられた。
しなやかな指が、引き金に触れた。
「自分の言ったことも果たせねぇ出来損ないは、さっさと死んじまえよ」
シオンは絶句した。
こんなに不幸な境遇は、あんまりだと思っていた。
自分の力ではどうにも出来ない。
逃げる事も、抗うことも出来ない。
けれど───。
(ジルに会いたい)
生死を迫られた時、確かに生きたいと願った。
その為には、この運命を、受け入れなければいけない。
力の入らない足をそっと開く。
シオンは震える手で腿を押さえつけた。
「あ?」
リアムは、まるで重力を感じさせぬように、指先で拳銃を回転させる。
銃口が蕾を叩く。
シオンは震え上がった。
「·····て下さい·····」
「あ?」
「ここに、入れて·····」
一世一代の言葉を、リアムは唆られねぇと一蹴した。
「勃たせろよ」
シオンは、彼の前に跪く。
リアムを確認しながら股間へ手を伸ばす。幸い、エドワードの時のように振り払われることは無かった。
姿を現した男根にギョッと目を見開く。
通常サイズが既に驚くほどデカい。自分のものとは、まるで別種のような禍々しさだった。
「そんなんじゃ、いつまでたっても勃たねえよ」
後頭部を掴まれ、そこへ顔を押し付けられる。
シオンは、恐る恐る舌を突き出した。
亀頭の先を舐めてみる。
「っ·····ん·····」
やり方なんて分からない。
舌を使って必死に舐めていると、彼の両手に頭を固定された。
口の中に思い切り雄を押し込まれる。
「ん"·····っ、ん·····!」
えずいたシオンに構わず、リアムは両手を前後させた。
ただ目的を果たすためだけの行為だった。
息苦しさからやっと解放されると、うつ伏せにされ、すぐに身体を貫かれる。
禍々しいペニスが腹の奥をガツガツと突き上げる。
腹を破かれそうな衝撃だった。
すすり泣く声が、遠くで聞こえる。
自分のものだ。
快感の波に飲み込まれる頃、下腹のあたりで、何度目かの射精を受けとめた。
暗いうちから剣術の鍛錬に勤しむ。
毎朝、欠かさず行う訓練だ。
空が明るくなる頃、リアムは予定よりも早く鍛錬の手を止めた。
ふと、香ばしい匂いが香ってきた。
「·····?」
懐かしい匂いだ。
焼きたてのパンの香り。
船の中では長年口にすることのなかった物だ。
コックがいないとか、材料が揃わないからでは無い。
船に竈がなく、フライパンでの調理しか出来なかった為である。
調理場へ向かう。
途中、反対方向からクレイとエドワードがやってきた。
2人も、リアムと同じく、普段とは違う現象を不思議に思ったのだろう。
「お前、何してんの?」
調理場の扉を開けたエドワードが、素っ頓狂な声を上げる。
厨房に立っていた少年が振り返った。
「あ、おはようございます」
シオンはタオルで手をふき取りながら会釈する。
「料理するの得意だから、朝食を作ろうと思って·····」
丁度、鍋が沸騰しだした。
慌てて火を止めたシオンがはにかむ。
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