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〖1〗プロローグ
しおりを挟む騒音が近づいてくる。
真夜中、はっと目を覚ます。
握りしめた寝具は汗を吸い、ぐっしょりと濡れていた。
叫び声と、銃撃の音。
薄いカーテンの隙間から赤い光が揺れている。
「·····?」
少年はベットから起き上がる。
冷たい汗が、身体中の毛穴から湧き出てくる。
夏夜にしても、異常な暑さだ。
鼓動は警告を鳴らすようにうるさかった。
覚束無い足取りが窓へより、やがてカーテンを勢いよく剥ぎ取る。
窓に赤い飛沫が飛び散った。
数年前にも感じた事のある熱だ。
───まさかそんなはずが。
脳内に浮び上がるのは、心に刻まれた恐ろしい記憶。
────そんなはずがない。
窓の前に人がいた。
隣の店の店主だ。
そして贅肉だらけの体は、目の前で真っ二つに避けた。
真っ赤な視界の先に、背の高い人影があった。
手にした短剣から赤黒い液体が滴り落ちる。
靡くマントに、見覚えのある紋章が刻まれていた。
(まさか·····!)
温度のない口元はそっとほくそ笑んだ。
「みィつけた」
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