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二章
re.《442》不名誉挽回?
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一方のミチルは涙を散らしながら廊下を駆けた。
世話係は一定の距離を保って追いかけてくる。きっとコケそうになったら直ぐに保護できる範囲だ。
気の利くところもあったのか、はたまた号泣しながら走り出すトチ狂った獣人のおもりが面倒だから手を抜くことにしたのか。
今はどうされたって平常心には戻れないから、こちらにとっても好都合だ。
やがて道が明るくなって、裏庭の開放的な渡り廊下に出る。
体液を、それもアソコから出るのを冷凍保管し、定期的に服用している?
合理的主義のカタマリ。
本物のヘンタイだ。
ちょうど現在、さっきの部屋でレイモンドが口にしているのとおなじ単語を脳内で叫ぶ。
(ダリアの·····っ)
バカ、ヘンタイ、最低オトコ。
様々な罵詈雑言は、やはりヘンタイに落ち着く。
午後3時の庭は白い光が柔らかくなっている。そこへ埋もれるように、ミチルは草花へ飛び込んだ。
「うう」
とうとうへたり込んで、フーフー空気をはき出す。
恥ずかしくて死んでしまいそうだ。
(でも)
「なんで」
どうして、それだけじゃないんだ?
答えは簡単だ。
だって、彼が他の人と交ぐわってないとわかったから。
それを伝えに来た理由は知ってる。彼が言っていた、不名誉をそのままにしているのは我慢ならないと。
それでも、ダリアが自分以外を抱いていないのは事実だ。
それがわかったのが、飛び上がりたいほど嬉しいなんて。
「んふふ」
腑抜けた笑みがこぼれる。
笑ってる場合じゃない、最低なことされたのに。
慌てて両頬を抑えた時、視線を感じた。
「·····?」
ジェロンは渡り廊下の辺りだ。
視線は、前方の木陰から。
恐怖よりも好奇心が勝って、じっと見つめてみる。
果たして、ひょこりと何かが姿を現した。
「あ·····」
グレーの毛並みに、犬と似て非なる姿。
前に見かけた獣だ。
息を止めて見つめ合うこと暫く。
それが、のそのそとこちらへ近づいてくる。
見つめあったまま、灰色の塊は目の前で立ち止まった。
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