悪魔皇子達のイケニエ

亜依流.@.@

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二章

re.《333》いいよ

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「·····その様子じゃ·····もっと詳しく言ったら、泣いちゃうかなぁ·····」


髪をかきあげたら、途端に大人っぽく見える。

なんか変だと、そう思った直感が、警告を鳴らす。

こっちは、彼が傷つかないように、ひもじい思いをしないようにと必死で、悶えるような快感を耐えていたのだ。
なのに、その相手が考えるように唇をさする。それが、こっちの考えを全て知った上でどうしようかと試行錯誤しているみたいだ。

そんなの、気のせいだ。

(そうじゃないと)


「それは·····食事のため?」


問いかける。
相手はキュッと口角を上げた。
とても健やかな笑顔だ。


「事実的にはそうだね」


(事実的"には"·····?)


「とっても美味しいけど·····お胸だけじゃおなかいっぱいになれないよ。ミーちゃん(ママ)がこれからもご飯くれないなら、僕はまた狩りを増やさないと·····」

「そ、れは·····」


ミチルは言葉をなくして、数回口をパクパクさせた。

"狩り"。
それはあの、猛毒を持つ魔物の血肉を頬張るという、とてもこの世で最も崇高な種族がすべきでは無い蛮行。

その毒は、飢えをしのぐのと引き換えに、耐え難い苦痛で身体を苛む。
摂取したら死に至らしめる猛毒であるはずのそれで存命するしか無かった幼い子供だ。

(でも·····っ)

伸びた舌が下を見下ろす。
それを追うように、メラメラと輝くロゼが、隠されている布の下まで見ているように錯覚する。


「ふ、ぅ·····っ」


ミチルはスリーパーのすそをギュッと握りしめた。

望むまま、応えればいい。

そんなこと、人の命と天秤にかけるまでもない。
でも、張り裂けそうな疼きをほったらかして彼に差し出したら、大事に守ると決めた相手を裏切ることになる気がする。

(本当に、ルビーに、ここを·····?)

じんわり湿って熱を帯びているのに、指先は震える。

(そんなこと·····っ)

泣きそうだった。


「いいよ、ミーちゃん」


ごめんと、そよ風みたいな声が言う。


「·····え·····?」

















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