悪魔皇子達のイケニエ

亜依流.@.@

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二章

re.《304》意見

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事実だけを話すべきだと思っていた。
自分の感じたことなんて話しても、調査で邪魔になるだけだと。


「気まぐれで·····素直で」


表情一つ一つを思い返す。

気分次第で要求をのんでくれたところ。不満や喜びは表情に出るところ。

繊細すぎる眼差しや、こちらへ触れた手。


「とても·····乱暴するような相手には」


見えないと言いかけて、口を噤む。

彼は皇子達を殺すと言っていた。
そして、レイモンドを死に至らしめる呪いにかけた。


「そうだね。彼は·····君にとても固執しているみたいだ」


レイモンドの呪いについて言うことは戸惑われた。

知っていたのに告げられなかったのには意味がある。
恐らく、負担を減らすためだとか、重要項目の妨げにならないためだろう。
レイモンドはわざと、こちらにそれを隠したのだ。


「あの·····ごめんなさい·····」


終盤、とうとう、価値のない謝罪で報告を中断した。
最も重要だった謎の波動とターゲットとの関連も、血魔術の解除方法も聞き出せていない。
何も出来なかった。

役たたずだ。
ダリアが言いそうな言葉が脳内に反芻した。


「どうして謝るの?」


思っていたよりもずっと和やかな声が問いた。

分からないくせに謝るなと、そう言いたいのだろうか。
自信なさげに見た先で、相手が組んでいた足を解く。
どの部位を見ても狂いなく万能な身体だ。長くない沈黙の後、口火を切ったのはルシフェルだった。


「彼自身から引き出せた言葉は、些細なことから全て重要な情報だ。それをできるのは君だけなんだよ」


鼓膜を撫でるような声に、思わず息を止める。

彼の全てが本能的に苦手なのだろうか。
声を聞くだけで力が抜けるような、ムズムズする感覚は、獣化する時の感覚をずっと繰り返す気分だ。

ここへ来た時より、マナは成熟している。
まさか、それだけで獣化しそうな予感がするなんて、異常事態だ。

(でも·····)

もっと近くで声を聞きたい。

一瞬浮かび上がった謎の願望に、自分自身混乱する。
そんなことになったら、もしかしたら本当にどうにかなってしまうかもしれないのに。


「!」














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