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二章
re.《296》
しおりを挟む驚気と恍惚の混じった声色が、さっき吐息をふきかけたところで露呈する。
「こんなに暖かくって·····こんなに柔らかくって·····」
「·····へッ?ぁ、ゃ·····っ」
「·····いい匂いする·····」
「·····??·····ッ???」
彼の手はこちらを抱きすくめたまま、服のシーツを滑った。
抱き心地を堪能する指先が圧迫してくる。
(な、なに·····?)
なんだか、吐息が妙に熱い。
それが首筋を滑ると、奥歯が痒くなる。
「はぁ·····♡ぎゅー·····」
硬い身体と密着しあって逃げることも出来ない。
意味がわからない。
触れるところ全部が緊張で敏感になっている。
また擦り寄ってくる額のせいで、花の香りをまとった絹糸が、鼻をくすぐった。
「ミャぁ·····っ」
「··········────」
いつの間にか鳴き声が漏れてしまっていた。
こちらの肩口から顔を離した男が、少し慌てたように顔を覗き込んでくる。
瞬きする度、吸い込まれそうな瞳だ。
「あ·····ぇ·····?·····なに、いまの·····──」
「·····ッ」
慌てて口を噤んでも、もう遅い。
この反応からして、聞かれてしまったのは確定だろう。
使用人にすら馬鹿にされていた、王族の欠陥品。
そして彼らにとっては滑稽で面白い、そんな───。
「·····────かわいい·····ッ♡」
「·····ふぇ·····?」
めいっぱい息を吸い込まれる気配がする。
そしてまた、少し息が苦しい抱擁。
それから数分、この理解不能な状況は続いた。
腕は体の曲線を確認するように動き、マッサージでもされてるくらいの圧迫が続く。
頭がクラクラする。
酸欠で欠伸が漏れる。
相手はすぐに気がついて「眠い?」と問いかけてくる。
欠伸はうさぎにとって、自律神経やバランスを整えるためのものだ。
こんな状況で眠くなるわけが無い。
「あなたと一緒に眠りたい」
メニューにない要望にギョッとする。
「抱きしめたまま眠りたい·····ダメ?」
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