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二章
re.《290》囚われ人
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部屋はミチル以外の出入りを許さない。
完全な密室で、他に出口はないという。
扉の前で何度か深呼吸する。
地下だが、立派な両扉だ。レイモンドによれば相手はかなりワガママなクソガキ悪魔で、地下牢では唾を吐いたということらしい。
簡単な相手の要望は受け入れるのが吉。
割り当てる部屋は客室と変わらず、待遇を良くしているのは、ミチルとしてもありがたい。
それにしても、笑顔のレイモンドは相手をかなり嫌っているようだった。
好きであるはずは無いのだが個人的な恨みを感じる。
思い出していたミチルは、ブンブン首を振った。
今はこっちに集中するのだ。
聞き出したいのは、謎の波動とターゲットとの関連。引き起こしたのがターゲットなら、その殲滅方法を最も優先して導き出す。
次に血魔術の解除とその目的。
魔物の虐殺や波動を起こした目的に関しては二の次だ。まずは各地に起こる異常と、自分にも関わる血魔術をどうにかしなければいけない。
血魔術については、文献でさえ不明ばかりだ。
知識の乏しい自分では不安だが、時間を取っている余裕もない。
その他、彼の正体、そして彼が知る魔術については、最重要事項が完了したら、他のものとバトンパスだ。
(1番、重要な役割·····)
いくら深呼吸したって心臓はバクバク鳴って破裂しそうだ。
逃げることは出来ない。
逃げたくもない。
ミチルはそっとノブを捻った。
「··········?」
人の気配は無い。
まさか、逃げ出したのか?
(そんなことどうやって·····)
扉を閉め、慌てて部屋の奥を振り返る。
刹那────甘い花の香りがした。
「本当に来てくれた!」
「!!!」
突如死角から現れた声に、ミチルは声もなく叫んだ。
いつの間にか、部屋の中央に人がいる。
扉にピッタリ背を付けたミチルは、しかし、その人物を確認すると「あっ」と声を上げた。
輝くと白にも見える薄桜髪の青年。
身軽そうで、しかし万能のスタイルを併せ持つ美しいビジュアル。
街で出会い、そして寝室へ侵入してきた、あの変人だ。
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