悪魔皇子達のイケニエ

亜依流.@.@

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二章

re.《278》呪い

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───かなり、まずい。

下方向からオーロラの輝きが膨らむ。
レイモンドだ。

地上へ降り立った兵士たちは、まさに魔物の雪崩の先にいる。
再び防御壁をあみ出そうとしたレイモンドは、しかしその場に跪いた。


「!?」

「彼はもう使えないよ」


血術の呪い。

血を含む攻撃を喰らったものを呪うことが出来る。
呪いは様々だ。
しかし、こんなに早い効果は聞いたことがない。


「今は意識があるけど、そのうち·····───」


青年はふと言葉を止めた。

真っ直ぐ前方から、強い殺意を感じたためだ。


「なんだ。元はと言えば全部そっちのせいなのに」


(生け捕りにする余裕はない)

ヨハネスは決意した。

レイモンドらがいる方向へ猛進する魔物たちを止める術も無い。
彼らを犠牲にしてでも、必ず目の前の男を、一撃で処分するのだ。
そうでなければ、今後の被害は計り知れないだろう。

もしかすると、最も大切な者にまで危険が及ぶかもしれない。
そんなことは、絶対にさせない。


地面が崩れ始める。
足場は残されていない。どこへも逃げることは出来ないのは、相手も同様だ。

(正面から、心臓を貫く)

距離は100メートル。好戦的なタイプで、猛進派。
彼は必ず攻撃を仕掛けてくる。
ヨハネスは飛び出した。

身が砕けたって、この剣は命令通り必ず相手の心臓を突き刺すだろう。

薄桜色の輝きが舞って、こちらへ距離を詰めてくる。
引きつった笑みは興奮を隠す素振りもない。


「Bye!!!」


少しハスキーな声が攻撃を醸し出す瞬間。
そしてこちらが剣へ力を込めた、その瞬間。


────当たりは真っ白に包まれ、視界を阻むものが無くなり────世界から音が消えた。

白い空間が晴れると、砂煙が消え去った向こうには、眠る魔物達。
兵士たちは皆ざわめくが、誰一人として言葉を発することが出来ないようだった。


「·····?」


目の前の敵の表情も自分と同じく。
この様子では、彼の仕業ではない。

そして青年の身だけが、透明なカプセルに覆われる。

眩い光だ。
朝日ではない。

















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