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二章
re.《268》
しおりを挟むそっと服をめくられた。
恥ずかしいのにドキドキする。空気に晒された裸を見下ろしたら、しっかり膨れた突起が見えた。
両サイドから脇腹を撫でたそれぞれの手が、またそこへ伸びてゆく。
「ぁ·····違·····ンッ♡」
手袋も嫌なのに。
「ニャ·····♡ぁう·····♡」
いけないことさせてるって、分かってる。
ジェロンも拒否するどころか、嫌がる素振りひとつ見せないからいけないのだ。
だからミチルは、彼の手首に手を添えた。
「好きって言われたのが、嫌だったの」
今なら確かめられる気がする。
「私には身に余るお言葉です」
返答は淡白なものだった。
けれど、指先は熱い。
直に触れたら、もっと。
(もっと·····)
「手袋、や·····」
「·····」
甘やかされて、もっと欲張りになっている。
彼は冷たくて甘い。
無愛想で過保護。
反応は薄くて、しかしこちらのどんなに小さな異変や言葉も見落とさない。
「直接、触ってほし·····」
それは彼が精密な機械だからじゃない。
彼に触れられると特に解ってしまう。
「これより先をお望みなら────」
手袋を外しながら、ブルーの瞳はこちらを仰ぎ見た。
「ご満足いただけるまで御慰め致します」
途中で辞めることは無いと宣告された気分だ。
なんでも言うことを聞いてくれる彼が、自我を表明したみたいで嬉しいなんて、変だろうか。
裸の手が伸びてくる。
期待した胸の先は外されて、それは両脇を支えた。
カサついてぬるい手は、熱い身体に存在感を誇示する。
フーフーと荒くなった息遣いを指摘するように、彼が鼻先、口先へ軽いキスを落とす。
恥ずかしいのに治すことが出来ない。伸びてきた指に噛み付いた。
「ミャ·······~~~♡」
ちゅう、と、片乳を吸い上げられ、視界がとろける。
舌は器用に動き出して、時折敏感なそれをひねる。もう片方は手のひらを滑らせて優しく撫でられた。
快楽は下腹へ集中し始めた。それを知って、大きな手がお腹をさする。
ムズムズして、指を噛むのが辞められない。
噛みグセが治らないと言われても、もう文句は言えないだろう。
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