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二章
re.《250》気持ち
しおりを挟むズンと重たい一撃と共に、彼がこっちへかがみこんでくる。
「好きだ」
「にゃッ♡」
キュンとしまった所に、彼が熱をねじ込んでくる。
キツいのに、不思議と痛くない。濡れた奥に根元まで入り込んだり、はたまた擦るあいだにも、アヴェルはその3文字を囁いた。
結局その日は、彼の部屋で鳴き喚く羽目になった。
その間に告げられた告白の回数なんて数えてない。
とにかく、アヴェルから恐ろしいくらいの迫力を感じたのだけは確かだ。
一緒に寝てこようとするケモノから逃げ出すために仮病を使おうと思ったのに、「具合が悪い」と告げると、彼はこっちの身をガバッと姫抱きして部屋を飛び出すでは無いか。
違う、そうじゃない。
大人しく、レイモンドやジェロンを呼んで引き渡すか、部屋に帰してくれたらいい。
なんて言う暇もなく、結局身柄はレイモンドに明け渡された。正直ジェロンの方がいいけど、こういう時は饒舌な彼は気が利くから、心配無さそうだ。
「どうして仮病なんか使ったんですか?」
部屋に戻って1言目、あっけらかんとして聞いてきたレイモンドに、思わず前のめりにコケかける。
睨みつけたら、柔和な微笑みはさらににっこりと口角を持ち上げた。
逃れられない。
ちょっと考えて、ミチルはポツリと呟いた。
「帰りたかったから」
「何故?アヴェル様がお嫌いですか?」
今日のレイモンドは、なかなかはっきり物事を言う。
(嫌い?)
どうしたいか言えなかった。
いや───それ以前の話だ。
なぜそうしたいのか。自分の考えや気持ちなんて、主張しようとすら思わなかった。
だって、何かをしたりしなかったりするのに、そんなの必要とされたことない。
「その気付きが大きな一歩です」
何を汲み取ったのか、優しげな声がそう頷いた。
「少しづつでも良いのです。自分の気持ちを理解し、受け入れることが出来れば、それをもっと大切にできるでしょう」
そうすれば、偽らなくてもよくなると彼は言う。
仮に偽ってもその選択を尊重できると。自分自身を肯定できると言うレイモンドの言葉は、悲しいほど心のどこか弱いところに響くみたいだ。
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