悪魔皇子達のイケニエ

亜依流.@.@

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re.《245》ぶっ飛ばす

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結局簡潔に告げるしかなくなる。
大きな瞳はぱちぱち瞬きして、悲しそうに眉を下げた。
鳴き声は可愛らしい。こんな表情も好きだが、笑うともっと愛らしい。


「相手をぶっ飛ばしてやる」


俯いていたピンクがパッと見開かれる。

(くそ、可愛いな)

たったそれだけでそんな感想を持つ自分もどうかしてる。
こいつには、どうしたら敵じゃないとわかってもらえるだろうか。


「俺はお前の味方だ」


ミチルは滅多に話さない。
しかし臆病な彼は人を信じられない。
言葉が必要なのだ。
だから何度でも、こうやって言い聞かせてやればいい。

多分、皇子たちの中で、自分は器用なほうじゃない。
変わらなければいけない。
ミチルのために。


「分かったか?」


そう問いかけられたミチルは、薄い唇を引き結んだ。


「·····どうして?」


───もしかしたら、こんどはまた別の欲望でこっちを懐柔しようとしてるのかも。

だって悪魔はそうだ。
こんなふうにくっついてちゃダメだ。ゴツゴツした岩から降りようとしたら、相手はまた「気をつけろよ」と過保護に体を支えてくる。
お腹に回された褐色の手をどかそうとしても、相手は拒絶されてることすら気がついて無さそうだ。


「お前が好きだからだ」


抵抗を始めて1分くらいだった頃だ。
なんの前触れもない、短い言葉に、ミチルははたと動きをとめた。

「おい」と荒っぽくこっちを呼ぶこの口は、今、なんと言ったか?


「ああ、クソ。言葉にするとなんかしっくり来ねえな·····」


忙しなく髪をかきあげる。
いつもの堂々とした感じより、少しバツが悪そうに見える。

心地よいそよ風が流れていった。


「にゃ、な·····なん·····」

「あ?」


3秒ほど見つめ合って、パッと視線を逸らしてしまう。
黄金の瞳は真剣だ。


「なんでって·····だからお前が好きだからだって」


言ってるだろ、と、語尾はため息混じりだ。

そういう回答を求めてるんじゃない。


「にゃぁ·····」


降ろしてと言おうとする前に、思わず鳴き声が漏れる。


「甘えた声出すなよ·····どうにかしてやりたくなる」












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