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re.《240》深まる謎
しおりを挟む訂正しなければいけない。
───しかし、彼を外に出したくないのは、私情を多く紛らせた事実だ。
できるならば手の届く所に置いて、決して逃げないように首輪に繋いでしまいたい。
「·····───·····」
結局考えは言葉にならない。
この自分の決定が全て正しいのだ。
抑制するほど、ミチルをしばりつけておくことが出来る。
「·····出ていったところで、1人では何も出来ないだろう」
結果は良いでは無いか。
「一生を部屋の中で過ごすのが嫌なら、勝手な行動は慎むんだ」
「·····っ」
ピンクの瞳がこぼれ落ちそうだ。
またやってしまった。
(いや、悔いる必要は無い)
これ以上彼が好き勝手したら、今度こそ自分は何をするか分からない。
冷静に説くことなど到底できないだろう。
これでいいのだ。
「そのままお伝えすれば良いのでは?」
対して、モノクルの眼鏡が胡散臭い手下はそう一蹴した。
時は十数分前に遡る。
ミチルを連れて屋敷を戻ったダリアは、すぐに執務室へと向かった。
例の、非公式ギルドで発見された未登録能力者について、新たな情報が入った為だ。
コントロール力はまるで発現したばかりの子供のようでありながら、威力・速度は能力者の中でも極めて高い基準値。
不自然ばかりのこの問題に、今日更に、ヘンな情報が付け足された。
「魔物の死骸に残された、能力とは別の、謎の傷跡についてですが────一部から鋭い歯型が検出されました」
「··········歯型だと?」
「はい。謎の凶器によって抉られていたという報告の傷跡です。その凶器が、おそらく··········」
とうとうこの問題は難題へと突入した。
独特な傷跡が確認されたのは、全て特急魔物のバラディだという。
バラディは別名死の魔物だ。
血液には、長年循環されずに滞ったマナから出来上がる猛毒が含まれているためである。
一滴で民間の悪魔100人を殺すことが出来るだろう。
───それに、直接歯を立てていただと?
歯型。
抉られた痕。
抉られた肉はどこへ行ったのか?
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