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二章
re.《206》トゲ
しおりを挟む言葉には棘を感じる。
無理矢理することが出来るはずの大きな手は、おまけのようにこめかみをくすぐった。
屈み込んできた体躯の陰におおわれて、逃げ場は無いと知る。
陰の中で牙が光る。それは恐ろしいほど優しく耳元へリップ音を落とした。
「はァ·····発情した匂いやば······」
撫でた吐息に、思わず身震いする。
「ね、雄挿れる気満々でグチョグチョのまんこ、見せて欲しいなぁ·····」
「·····ッ♡、♡」
ありえないほど下品な発言だ。
けれど、間違いない。全部見通されている。
ミチルはそっと開脚した。
蒸れた蜜部がに風が通りぬけてゆく。
恐る恐る見上げた色男は、恍惚とした眼差しで微笑んだ。
「いいこだね·····」
「は、ぅ·····♡」
優しい振りをするのはずるい。
頭を撫で、首から肩、そして胸元へと、順番に降りてゆく手のひらが、腰に鈍い重さを響かせる。
乳頭を避けるように、胸の横や下乳を指圧された。
女じゃないんだから、そんなところを揉んだって気持ちよくない。
そう言いたいのに、むず痒いような、少し痛いような、けれどゾクゾクした心地良さに兎耳が項垂れる。
「また閉じかけてる」
指摘されて、カッと顔が熱くなる。
「どうなってるのか·····ちゃんと見せてよ」
こんなに汚くて恥ずかしいところを自ら見せるのは、無理やりされるのとは訳が違う。
彼はわかって命じているのだ。
それなのに望み通り恥ずかしくてたまらなくなってしまうから、喜ばせているのと変わらない。
(いじわる、いやなのに·····)
じわ、と、奥から新たに湧いた気配に戸惑う。
翡翠に見つめられるほど、そこは熱くなってゆく。
「ぁぁ·····♡ゃン·····♡」
いやらしく胸を揉む圧迫感に身をくねらせる。
手の端が時折、さっき沢山吸われて熟した乳頭をかすめるのは偶然じゃない。
「·····ぁ·····♡そこ·····♡」
「ん、どこ?」
「·····ニャ·····♡」
もどかしい。
チラチラ上を見上げても少し蒸気した美形があるだけで、何も解決しない。
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