悪魔皇子達のイケニエ

二章

re.《１７８》

標的は乳頭だ。
吸い付かれ、限界まで腫れ上がった実を甘噛みされる。
刺激はビリビリと子宮に甘電流を流す。
またナカへ注がれながら、潮を吹いていた。


意識が飛ぶ中で、彼へ寄せた様々な想いが込み上げた。

本当は気がついているのだ。
この執着も、言動も、ダリアは昔とは違っている。

それが悪魔の本能である支配欲から来るものでは到底説明できないことも知っている。

では何なのか？

誰かを特別に思ってしまうことが、怖くて仕方がない。
誰も心に入れなければ、裏切られても、失っても、何も感じない。
あんなにも恐ろしい事をした彼を、自分ではもうどうすることも出来ない。

受け入れるなんて、許されない。
ルシフェルを闇に突き落とした自分が、そんなことを望んではいけないのだ。

だから何も受け付けない。

意識が朦朧とする中、熱い手に抱きしめられた記憶が最後だった。











部屋を満たすのは、怪しいベットの軋み音と、悲痛にも恍惚と喘ぐ幼い声。

ミチルを案ずるせいか、孤独なミチルが望んだせいか───ココへ呼び寄せられたワケだが、力を失った今、とりあえず特別な使用人よりもことの一部始終を見守るほか無いのが現状だ。
"彼"は暇つぶしに過去を振り返った。

ある者はそれの存在を知るのに永遠の時間がかかった。
ある者は、なんとしてでもそれを手に入れようとし───しかしソレが全てであったが故に、ソレの為に自己を犠牲にした。

そしてこのある者は、どうなろうが手に入れようとしている。

本当にそうだろうか？
我が身の断片でありながら、本心を読むことは安易ではない。

   計画は成功するだろう。

ヨハネスの仕掛けた能力は、彼らのマナを注がれるだけ発揮する。
自我を制御される中、ミチルは失うことの恐怖や、彼らを拒む理由が曖昧になってゆくだろう。
問題なくマナを吸収出来るようになり、存在の消滅から免れると共に子へやる為のマナを蓄積し始めるはずだ。

そうしてマナ供給量が満たされた時───ミチルの記憶から、彼にとって世にも凄惨な出来事が抹消される。

そして、最も大切な記憶を失うだろう。