悪魔皇子達のイケニエ

re.《９９》だめ

「うさぎちゃん」

「ひゃぅッ」


耳元に囁かれる甘い呼び名。
成人した男が、こっちのことを怖がらせないようにと、わざと似合わない呼び方をする。
それだけで、耳から首筋をゾクゾクとしたものが通り過ぎてゆく。

ココに彼のものを咥えたら、意識がくらむほど気持ちいい。
エッチするのも嫌じゃない。それが自分の勤めなら、なおさら、拒んでいいものでは無いのだ。

(でも·····)


「うさぎちゃん·····」


かきあげられていた片方の髪がほぐれおちた。
顔が見えなくなると、少し心配になる。
彼に、ココが正常じゃないと、知られたくない。

女性器みたいだと言われて使われ続け、ついにそうなってしまったのだ。
じゃあ、と、相手が提案をもちかけてきた。


「·····挿入れないから·····ここに、キスしてもいい？」

「·····ふぇ·····？」


予想もしない問いかけに、変な声が漏れる。
「少しだけ」。そう言うのは、初めてのことでは無い。


「こ、ここ、·····？·····──あっ！」


待てをできない手が下着を引っ張る。
それはぐっしょり濡れていた。

足を開かされて、少し涼しい風が濡れたところを撫でる。


「ぁんっ♡」


1度目は弾けるようなリップ音。
そして真っ赤な舌が覗いた時には、逃げられないほど快楽に期待していた。


「にゃッ♡♡」


ぬるりと全体を撫でて、舌の先だけが内もも、そしてふちをなぞる。


「だめ·····ッ」


こんなところ、絶対に口をつけていい場所じゃないのに。

じんわり熱くなる視線の先で、まだブラウスシャツを着たままの男が、ギシリとベットをきしませる。
伸ばした手を捕らえてきたのは無意識だろう。いつも優しい彼がそれくらい必死なのだと分かると、鼓動はさらに早まった。
硬くてしなやかな指に慌てていたら、秘密の場所で息を吸い込む気配がした。


「にゃあぁ♡」


内側をえぐられて、離れていった舌がまた直ぐにそこへ密着する。
ぺちゃぺちゃと浅い音が響き始める。目の前がまたぼやけた。


「美味しい」

「へぅ♡ぁ·····♡·····ぁ·····ッッ♡♡」


ヨハネスはやめてくれなかった。


「パクパク動いてる·····」