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二章
re.《60》
しおりを挟む★誤字、脱字のご指摘ありがとうございます😭
どうして自分の夢なのに、何一つ思い通りにならないのだ。
「ねぇ·····」
「邪魔するな」
ズボンの袖口に手を伸ばしたら、なんと相手は、それを靴先ではたいたでは無いか。
虫を煙たがるようなそれだ。
ダリアもびっくりの無関心である。
「うう·····」
また泣きたくなってきた。
この、いじわる大悪魔め。
なにが世界の支配者だ。なにが、偉大なるアビス・サタンだ。
子が子なら親も親。
この親にしてこの子あり?
見た目は彼の息子たちよりも若いから、よほど救いようがなく見える。
「··········」
実際には文句はひとつも口にされない。
言ったところで、ハエが飛んでいるくらいにしか思われないのだ。
「!」
突如、目の前に揃えられた靴が立ち止まった。
「また泣くのか?安い涙だな」
もはや怒りもわかない。
「こんなに安い涙が、この俺を惑わせるのだから·····本当にどうしたものか·····」
「·····?」
何、1人でブツブツ言ってるんだ。
依然として見下ろしてくる美青年から顔を背ける。
「尽く苛立たしい」と呟いた無感情な声には、もう絶対に反応してやらない。
「いいことを教えてやろうか」
次の提案は無視する訳にはいかなかった。
「ルシのこと?」
やっと答える気になったのだろうか。
白い男の手が伸びてくる。
立ち上がるのを助けてくれるのかと思ったら、すました顔はこちらの頬をつねりあげた。
ミチルはあっけに取られて相手を見上げることになった。
「さっきから誰に話しかけているんだ?ピンクの目玉は飾りのようだな?」
「······························?」
夢の中だから痛みなんて無いはずだが、左頬が妙に熱い。
あまりにも自然な暴力と罵倒に開いた口がふさがらない。
「この俺に話しかける時は、俺の名前を呼べ」
5秒後、ミチルはおもむろに彼の名前を呟いた。
1回目は、マゴコロがこもってないと、悪魔が言うにはあまりにも変な理由で却下された。震えた声が再び彼を呼んだ時、仁王立ちしていた男は長い足を折り曲げた。
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